CD-RWドライブ


2005年1月6日(木曜日)、ウランバートルにあるモンゴル教育大学で開催された、ダルハディン湿地に関するシンポジウムに出席して来た。今回は、1月3日(月曜日)、関西空港9:40発の大韓航空機による渡航であった。

渡航に際しては、新潟を離れる前に「シンポジウムのプレゼンテーションで使用するファイルを『パワーポイント(Microsoft PowerPoint)』で作成し、それを『CD-R』に焼き付ける」という作業が必要であった。ところが、ここで困った問題が生じていた。それは「私の『iBook』が『DVD-ROM』ドライブ搭載機種なので『CD-R』が作成できない」という、物理的な制約であった(1)。

2004年12月27日(月曜日)、新潟大学理学部生物学科図書室にある比較的新しい「iMac (OS X)」が、インターネットを介した「afp://」で、私の「iBook」にアクセス可能であることを確認した。それから、私の「iBook」にあるパワーポイントのファイルを読み込み、正常に作動することを確認した。

さて、今度は「CD-R」への書き込みが可能かどうかを調べる番である。すると、この「iMac」は、何度やっても「CD-R」を排出してしまうのであった。この「iMac」にインストールされている「OS X」では、以前の「OS 9」に常備されていた「Apple システム・プロフィール」に相当するアプリケーションが分からず、どのドライブが搭載されているかを調べる術が、私には無かった。で、結局、この機種を導入した担当者から「予算が少なかったので、一番安いものにした」という情報を聞き出し「おそらく『CD-ROM』ドライブ搭載機種であろう」という判断になった。また、これ以外に図書室に常備されている古い「iMac(OS 9)」3台が「CD-ROM」ドライブ搭載機種であることは、既に確かめていた。要するに「目処が立った」と思ったのも束の間、私が使用可能な「PC」では「CD-R」への書き込みが出来ないのであった。

「CD-R」の作成に関しては、他にも色々と検討してみた。例えば「私の友人の懸川雅市さんや藤塚治義さんに、パワーポイントのファイルをメールの添付書類として送り、彼らが所有する『PC』で作成してもらった『CD-R』を宅配便で送ってもらう」というような、なんとも、まどろっこしい手段であった(彼らの「PC (Windows OS)」は「CD-RW」と「DVD-ROM」両用の、いわゆるコンボドライブが搭載されている機種のようである)

12月28日(火曜日)、こうなったら、もう最後の手段である。渡辺勇一先生にお願いし、先生が所有する「Macintosh G4」で「CD-R」を作成してもらうことになった。私のほうの進行状況をかんがみ、更に「先生の都合の良い日に」ということで、年明けの元旦に時間を割いていただくことになった。これで一安心である。

ところが「好事、魔多し」とはよく言ったもので、大晦日(金曜日)の午後3時頃、私の「iBook」が突然、うんともすんとも言わなくなり、起動不能になってしまったのであった。どうも、パワーポイントのファイルを扱うようになってから、システムの調子が悪くなっているようであった。そこで「Apple Hardware Test」を試み、まずハードウエア本体に問題がないことを確かめた。次に「iBook Software Install」のための「CD-ROM」つまり「インストールCD」から起動し、システムの修復を試みた。

これが、難関であった。私の「iBook」は、この「インストールCD」から立ち上がることは出来ても、肝心のハードディスクドライブを認識してくれないのであった。このままではパワーポイントのファイルが取り出せず、シンポジウムへの出席自体が危うくなってしまう。何度も何度も「インストールCD」からの再起動を繰り返し、漸く「iBook」がハードディスクドライブを認識してくれたのは、半ば諦めかけた2時間後の午後5時頃であった。それから「インストールCD」にある「Disk First Aid」を使用し、ハードディスクドライブ内のシステムの修復をおこなった。これで、なんとか間に合った。

ところが、ところが、である。2005年の元旦(土曜日)になって「iBook」を起動しようとしても、また、うんともすんとも言わなくなっていたのである。翌1月2日(日曜日)の朝には新潟を離れ、大阪まで移動しなければならない。焦りは、頂点に達していた。その日は結局「iBook」を立ち上げるだけで4時間も掛かってしまい、もう今度は「いつ壊れてもいいように」と、パワーポイントのファイルをメールの添付書類として渡辺先生に送ったのであった。

今回の「CD-R」作成の件では、大勢の人々に迷惑を掛けてしまった。ただ、これも、私の「iBook」が「CD-RW」ドライブ搭載機種であったなら、ひとりで解決できた問題でもあった。いつも思うのだが「本当に必要とする人には、その必要なものが与えられない」という、なんとも腑に落ちない現実が、この世の中には存在するようである。

[脚注]
(1) 将来プランとして「学会講演を再開するのは研究職に就いてから」と決めていた。そのため、未だ研究職に就けないでいる現状では「CD-R」への書き込みは念頭になく、中古の「iBook」購入に際しては、それが「CD-RW」ドライブ搭載機種か否かは、さほど大事ではなかった。まあ「見通しの甘いやつだ」と批判されても致し方ないところではあるが、お金のない研究生が自腹を切って「PC」を購入する必要に迫られたときは、なるべく安上がりなほうを選ぶものである。そうは言っても、研究費で「PC」を購入することを当然のように考えている人には、理解できない心情であるのかもしれない。


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