プロラクチンと皮膚の変化

Mucous Gland 1Hypodermic
Mucous Gland 2

クロサンショウウオの雄の背中側(中央部)の皮膚の矢状切片(アザン染色; Hasumi and Iwasawa, 1992)。ce=表皮の角質層、ct=結合組織、e=表皮、g=顆粒腺、m=筋組織、mg=粘液腺。スケール=100μm。

(A) 2月の冬眠中の雄(実験開始時のコントロール)。角質化した表皮、粘液が一杯に詰まった粘液腺、皮下の結合組織の緻密層(矢印と矢印の間)に注目。粘液腺の開口部(矢尻)には、ほんの僅かながら粘液の分泌が認められる。これが、サンショウウオの成体が陸上にいるときの状態である(皮膚の表面が粘液でねばつくことはない)。

(B) プロラクチンが投与され、陸域に維持された雄。皮下の結合組織層(皮下組織、矢印と矢印の間)は密であるのに、粘液腺は全く空になっている。この結果は「プロラクチンが皮下組織の著しい増大を引き起こし、それが動物を陸上から水中へと移動させることになる」という仮説を支持しない。

(C) 典型的水生型の雄(比較のため)。皮下組織は著しく粗で(矢印の下方、厚さ2〜3mm)、粘液腺は空である。

粘液腺内の粘液は、pH2.5のアルシアンブルーで群青色に染まる。これは、粘液の成分が「酸性ムコ多糖類」であることを示唆する。


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