(A) 2月の冬眠中の雄(実験開始時のコントロール)。角質化した表皮、粘液が一杯に詰まった粘液腺、皮下の結合組織の緻密層(矢印と矢印の間)に注目。粘液腺の開口部(矢尻)には、ほんの僅かながら粘液の分泌が認められる。これが、サンショウウオの成体が陸上にいるときの状態である(皮膚の表面が粘液でねばつくことはない)。
(B) プロラクチンが投与され、陸域に維持された雄。皮下の結合組織層(皮下組織、矢印と矢印の間)は密であるのに、粘液腺は全く空になっている。この結果は「プロラクチンが皮下組織の著しい増大を引き起こし、それが動物を陸上から水中へと移動させることになる」という仮説を支持しない。
(C) 典型的水生型の雄(比較のため)。皮下組織は著しく粗で(矢印の下方、厚さ2〜3mm)、粘液腺は空である。
粘液腺内の粘液は、pH2.5のアルシアンブルーで群青色に染まる。これは、粘液の成分が「酸性ムコ多糖類」であることを示唆する。