北極亭日乗


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平成十六年五月


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平成十六年五月三十日(日曜)曇

 五月も亦、早々と終わりの日迎へたり。為すべき事山積、為さざる日無く為せど遅々として進展せず。新年より此の方、時に余裕持ちて月終へたる例無し。悔やみたふは無けれど、巳んぬる哉。時の流れ早過ぎて、老ひの身にては追ひ駆け行くも出来ぬか。なれば追ふは止め、我が老ひの時を生き行くのみか。残日録幾日続き行くか分らねど、欲張らずゆるりと行かんか。

 首相訪朝、拉致家族五人帰国の二十二日よりテレビ・新聞連日の報道。加へて何やかや次から次の新ニュース。耄碌爺の手に余る世の動きに此の処、些かうんざりの日々なり。散歩とて我が家近辺そぞろ歩きおれば、早朝より救急車のサイレン耳に鋭く刺さりて和まず、刺々しき我が心の行き所無き日多し。とまれ、再会果たせし蓮池、地村さん家族の新生活に幸多からん事を祈り、曽我さん家族再会の一刻も早からん事を願ふて止まず。

                    ☆   ☆

 我らがコスモバルク奮闘激走するも惜しくも敗れ八着。二十時間もかかる長距離輸送で疲れ無き筈は無く、20度そこそこの北海道から出掛け行きて30度の東京で走るとなれば、容易な事じゃなからふ。其の悪条件の中、十八頭中八着なれば大勝利。バルクの後ろには未だ十頭が走りおる。頑張りたり、よくぞ走りし我らがバルク。気温も下がる菊花賞で勝てばよし。其れ迄、のんびり北の馬場を駆け遊べ。

                    ☆   ☆

 二十八日、起床洗顔為してテレビつければ又々凶報。イラク・バグダッド南方マフムーディーヤにて二十七日夕(日本時間二十七日深夜)、日本人フリージャーナリスト二人(橋田信介氏、小川功太郎氏)襲撃さるの報。安否不明なるも、「一人死亡、一人負傷」の情報有りと伝ふ。夜のニュースにては、襲撃現場近くの病院にて二遺体(橋田氏とイラク人通訳の可能性)、現場より十キロ離れし町で一遺体(小川氏の可能性)を確認と報じたり。

 先の三人、二人の拘束・人質事件騒ぎ収まりたと思へば又かの感。夕刊読むに、外務省もイラクに居る報道関係者の正確なる人数及び活動場所は把握しおらぬと云ふ。幾ら危険情報を流し渡航見合わせを訴へても、「危険を顧みず、戦地へ赴き報道するが記者の使命」と出掛け行くなれば最早止めよふ無し。我「万人を感動させる記事を書き、写真を撮って、無事にお帰り下さい」と見送るのみ。死して帰らば「ご苦労さん」のみ。

 報道に依れば、橋田氏は近著「イラクの中心で、バカとさけぶ」の中で、戦場取材に出掛くる理由を「ドラマチックだからですよ。そこに人が生きて、あるいは死んで、……一歩間違へば自分も傷つくわけですから、それはもうエキセントリックだし……」と語り、「安全なら行かない、危険なら行く」「ニュースの中心にならないと、どんな映像を撮影してもお金にならない」と書き記しおる由。なれど今回、ニュースの中心に成りたるは間違い無けれど、金にはなるまいに……。人の生き方様々、他人が口出す事にてはあらねば語るまじ。

 正午前、地下鉄大通駅広場にて入手せる読売号外、全文を記し置く。

 《 2邦人襲撃される/バグダッド南方/サマワの帰途、銃撃/61歳・33歳フリー記者 1人死亡の情報 》

 外務省に入った連絡によると、イラク・バグダッドの南方約30キロのマフムーディーヤで二十七日夕(日本時間二十七日深夜)、日本人フリージャーナリスト二人を含む四人が乗った車両が銃撃を受け、炎上した。ジャーナリストは、橋田信介さん(61)(バンコク在住)と小川功太郎さん(33)と見られ、安否は不明。外務省には、「一人死亡、一人不明」との情報が入っており、確認を急いでいる。
 車両には、イラク人の運転手と通訳の二人も乗っていた。銃撃で負傷した運転手の親族が二十七日午後八時半(日本時間午前一時半)、在バグダッド日本大使館に連絡した。
 四人は、バグダッドから、陸上自衛隊が活動しているイラク南部のサマワを訪れた後、バグダッドに戻る途中だった。
 運転手の証言などによると、四人の車両は走行中、後ろから近づいてきた車両一台に乗った武装グループから銃で襲撃されたという。
 橋田さんと小川さんは日本大使館職員と面識があり、大使館は小川さんのイラク入国を把握していた。運転手の持っていた写真と、旅券の申請書類で二人の氏名などが明らかになった。

                    ★   ★

 二十九日、札幌ドーム。コンサドーレ対湘南ベルマーレ戦は、1−1で引き分けとなりコンサ2勝目成らず。通算成績1勝9敗5分け。勝ち点8、順位最下位変わらず。
 次節六月五日、対ベガルタ仙台戦(仙台スタジアム)。

 一つ上のチームとの対戦、失礼ながら、湘南なれば戴きと思ひ居りたに残念なり。試合開始より果敢なる攻撃見せ、二試合連続の先制点。今日は……と思はせたが〆悪し。自陣ゴール前にてもたつき居たのでは敵の思ふ壷、後半に精神力・集中力の弛緩見へ凡ミス繰り返し重なれば勝てぬも道理と、我納得す。



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平成十六年五月二十二日(土曜)晴

 午前七時起床、外に出ずれば本日晴。気温15度前後なれど気分良き日なり。首相訪朝を控へ斯く晴れ渡りたれば吉報間違い無しを思ひ、入りてこうして日乗を認む。朝より日乗記すも珍しも、訪朝への期待我が心にも在る証なるか。願はくは今宵安らかに寝れんことを……朝より其ればかり願ふか。

 十六日に苗植へし我がプランター菜園の面々、順調に生育中なり。トマト、シシトウ、エンドウ等皆々植へし時の倍近くになりて、エンドウ早蔓延ばし始めたるに依り竹の棒立て遣らねばならぬ状況。昨年、我ら素人なれどミニトマト等結構な収穫有りて食卓賑わし呉れたる故か、女房喜々として水遣り手入れも入念に万事怠り無し。今は更にプランターの数増やし、何やらの豆植へんと思案中なる様子にて如何が相成る事か。

 さて今夜、日乗を如何な形にて締め括る事になるか……。

                    ☆   ☆

 日朝首脳会談は本日午前十一過ぎ、平壌市郊外・大同江迎賓館にて始まり、会談冒頭、金総書記「『二〇〇二年九月に平壌でお会いし、拉致という問題が生じたが、国交正常化を成功させる意思と抱負をもって改めて訪朝されたことをうれしく思う』と、拉致と国交を明確に結びつけて言及した」と報道伝へたり。約一時間半の首脳会談骨子次の通り。

    ・両首脳は日朝平壌宣言の履行を確認
    ・金総書記が拉致被害者家族8人の帰国に同意。5人が即日帰国
    ・曽我ひとみさんの家族3人は本人の希望で帰国見送り
    ・金総書記は安否不明者10人について本格的な再調査を約束
    ・核問題の平和的解決に向け6か国協議の進展に努力
    ・金総書記はミサイル発射の凍結継続を確認
    ・日本は国際機関を通じ食糧25万トンと1000万ドル相当の医薬品を支援
    ・小泉首相は北朝鮮が日朝平壌宣言を履行する限り、経済制裁措置を発動しないと表明
    ・日朝国交正常化交渉の再開について今後協議
                                     (2004.5.23 毎日)
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 成果は? 行き詰まりし日朝関係を二〇〇二年九月の「日朝平壌宣言」へ立ち戻らせ、日朝国交正常化交渉再開(交渉時期につき具体的な合意無し)へ糸口を付けたる事、拉致家族五人を連れ戻したる事……他に何が在るか。安否未確認の十人問題、核・ミサイル問題共に確たるもの無く進展無しと云ふてよからふ。「『包括的解決』の視点不可欠」と多くの識者語りおりたに、政府交渉に何らの戦略も窺ひ得ず周到なる用意在るも感ぜられなんだは何故だ。

 当方首相訪朝の切り札で得しは家族五人の帰国のみ、方や自ら犯したる国家的犯罪を切り札に食糧支援・医療支援を取り付けおる。不可解なる外交交渉、将又交渉結果なり。此れでは家族連絡会より不満の声出るも当然。横田滋会長曰く、「一番悪ひ結果が出た。食糧支援などは五人の帰国と引き換へとの疑念を持たせるものだし、経済制裁もしなひと云ふ。疑念を感じる」と。又或る者は「二回も金正日に騙されて帰って来て、総理にはプライドが有るのか」と憤りたり。国民の幾人が「今回訪朝成果在り」と認むるか、後日の検証興味深し。

 午後九時十七分、地村、蓮池さんの子供五人が羽田空港に到着。一年七か月ぶり父母と再会せり。テレビ観つつ安堵せるも、曽我ひとみさんの胸中思へば手放しにて喜べず、女房の「ひとみさん、可哀想ね……」の一言に我が心中も亦複雑なり。ジェンキンス氏の赦免、米大統領に直談判して認めさせるが小泉首相の役目ならん。米への貢献並々ならぬ我が国の頼みとあらば無碍に断りもしまい。「脱走兵」と云ふて幾十年も前の出来事、大統領権限にて恩赦或いは訴追免除出来ぬ筈無し。首相は即刻、米へ飛ぶべし。

                    ◇……………◇          ◇……………◇

               北朝鮮による拉致事件をめぐる動き (2004.5.4 読売・朝日より作成)

1990. 9.24

91. 1,30
 97. 2. 3
11.11


 99.12. 1


2002. 9.17

9.28

 10.15
10.24
29


11.14
12. 4
12
03. 1.10
7.31


  8.27


12.20
 04. 1.13

2. 9
 11

25

 4. 1

  6
22

 29

5. 4
5.12
5.22
金丸信・元副総理ら自民、社会両党の代表が訪朝し、金日成主席(当時)と会談(28日まで)
第1回日朝国交正常化交渉(31日まで)
衆院予算委員会で横田めぐみさんの拉致疑惑が取り上げられる
森喜朗自民党総務会長(当時)ら連立与党3党の訪朝団が訪朝。国交正常化交渉の早期再開で朝鮮労働党と一致。北朝鮮側は「行方不明者の調査を行う」意向を表明(14日まで)
社民党の村山富市元首相を代表とする超党派の国会議員団が訪朝。日本人拉致疑惑は北朝鮮が「行方不明者」として引き続き調査することで朝鮮労働党と合意(3日まで)
小泉首相が訪朝し、金正日総書記との間で「日朝平壌宣言」に調印。金総書記は拉致を認めて謝罪、「被害者8人死亡、5人生存」と伝える
政府調査団が訪朝。北朝鮮側は「死亡」とされる8人について「遺骨は流失した」などとする不自然な情報や、死亡確認書を提出(1日まで)
拉致被害者5人が北朝鮮から日本に帰国
福田官房長官が「5人は日本で家族の帰国を待つ」とする政府方針を発表
クアラルンプールで第12回日朝国交正常化交渉。北朝鮮が日本の要求した拉致被害者5人の家族の帰国日程確定と核開発計画の即時放棄を拒否(30日まで)
朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)が北朝鮮への重油供給中断決定
拉致被害者支援法が成立
北朝鮮が核施設再稼働を宣言
北朝鮮が核不拡散条約(NPT)脱退を宣言
政府の拉致問題専門幹事会で、5人の家族帰国は国交正常化交渉再開までに実現、代償には一切応じない、10人の情報提供も引き続き求める――との政府方針を確認
北京で6か国協議を開催。日朝協議で金永日(キム・ヨンイル)外務次官は「拉致間題を含む諸問題を平壌宣言にのっとって一つ一つ解決していく」と表明(29日まで)
平沢勝栄衆院議員らが北京で北朝鮮高官と会談(2旧まで)
麻薬密輸容疑で北朝鮮に拘束された日本人男性との面会のため、外務省当局者が訪朝。北朝鮮側は拉致問題協議に応じず(17日まで)
日本独自の判断で経済制裁を可能にする改正外為法が成立
外務省の田中均外務審議官と藪中三十ニアジア大洋州局長が訪朝。拉致問題などをめぐる日朝政府間交渉を再開するが、議論は平行線(14日まで)
中国・北京で6か国協議。並行して藪中局長が北朝鮮高官と拉致問題で協議(28日まで)
自民党の山崎拓・前副総裁と平沢氏が中国・大連を訪問。北朝鮮高官と会談(2日まで)
自民、公明の両党が、「特定船舶入港禁止法案」を国会に提出
北朝鮮の竜川駅で大規模列車爆発事故。政府は25日に10万ドルの医療物資支援発表
米政府が2003年版の国際テロリズム報告で、北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定。理由に日本人拉致問題を明記
北京で田中、藪中両氏が日朝政府間交渉
北京で第3回6者協議へ向けて、核問題を話し合う作業部会
小泉首相が平壌訪問。2度目の首脳会談

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   日朝首脳会談の要旨(2004.5.23 毎日)

 【平壌・堀山明子】22日に行われた小泉首相と金総書記の首脳会談要旨は次の通り(日本側発表)。
 《日朝関係正常化》 総書記 平壌宣言にもかかわらず、02年9月以降、事態が複雑化したことは大変失望した。しかし、小泉首相の訪朝を歓迎し、今回の会談を重視している。
 首相 お互いの現在の不正常な関係を正常化しなければならない。両国の敵対関係を友好関係に変える。対立関係を協力関係に変えていくことが両国にとって最も利益になる。そういう大局的な話をしたいと思い、あえて再訪朝した。日本は、平壌宣言が順守されている限り、いわゆる経済制裁を発動する考えはない。
 《拉致家族の帰国》 首相 拉致被害者の家族8人の帰国を直ちに実施してほしい。8人全員が今回、一緒に帰れるように図ってほしい。
 総書記 家族が離れ離れになるのは望ましくない。(日本に)行きたい人は行ってもらう。ただ、ジェンキンス氏は日本に行くことを不安に思っている。首相が直接、ジェンキンス氏と会って、話をしたらどうか。(結論は)本人の意思に任せる。うまくいかなけれぱ、第三国で、例えぱ北京で家族が再会するのもひとつの案ではないか。
 《安否不明者の調査》 首相 安否不明とされる方々について、日本の家族は「生きている」と信じている。きちんとした真相究明が必要だ。新たに拉致被害者と認定される場合も、真相究明が必要となる。よど号犯の引き渡しを求める。
 総書記 (生きていると思いたい)家族の気持ちは分かる。今まで関係機関に調査を命じていたが、今回の会談を踏まえ、改めて早期に本格的な徹底した調査をしたい。結果については日本側にも早期に伝える。
 《核問題》 首相 北朝鮮の核開発は日本の安全保障上の脅威であり、絶対に認められない。核の完全な廃棄、国際的な検証に基づく廃棄が必要だ。これは北朝鮮の利益になる。ブッシュ米大統領は北朝鮮を侵略する意図はないことを明言し、6か国協議を通じた平和的解決を望んでいる。核を完全に廃棄して得られるものと、核を持つことによって得られるものは、天と地ほど違う。北朝鮮が核廃棄をすれば、国際社会は喜んで北朝鮮を国際社会に受け入れようとしている。このチャンスを逃してはいけない。6か国協議で大きな一歩を踏み出してもらいたい。
 総書記 我々は核を持ちたいと思っているのではない。朝鮮半島の非核化が最終目的だ。しかし、米国が敵視政策をとっているため、核抑止力を持たざるを得ない状況に置かれている。6か国協議では、北朝鮮も譲歩し、同時行動原則に基づく一括解決を提唱、その第一歩として「凍結対補償」を提案し、非核化への一歩を踏み出した。凍結すれば検証も当然行う。
 《ミサイル問題》 首相 日本にとっても大きな問題だ。平壌宣言のミサイル発射の保留について確認を求める。
 総書記 平壌宣言は順守するので、全く心配に及ばない。
 《人道支援》 首相 人道的観点に立ち、国際機関を通じて食糧25万トンおよびlOOO万ドル相当の医薬品の人道支援を早期に行う。
 総書記 感謝する。

             ◇------------------------------------------◇

   朝鮮中央放送・平壌放送の報道全文(2004.5.23 毎日)

 小泉純一郎首相と金正日総書記の会談について、北朝鮮の朝鮮中央放送と平壌放送が22日午後4時に伝えた報道の全文は次の通り。
 「偉大な領導者金正日同志と小泉純一郎総理の闇で行われた対面と会談に関する報道」
 朝鮮民主主義人民共和国国防委員会委員長である偉大な領導者金正日同志は22日、朝日平壌宣言の履行と両国間の信頼関係の回復のために訪問した日本国・小泉純一郎総理と会い、会談を行った。
 これには、わが方(北朝鮮側)から姜錫柱第1外務次官、相手側(日本側)からは山崎正昭内閣官房副長官、別所浩郎内閣総理大臣秘書官、田中均外務省外務審議官、藪中三十二外務省アジア大洋州局長とその他の随行員が同席した。
 対面と会談では、去る02年9月に採択された朝日平壌宣言を再確認し、その履行に関する諸問題を討議し、全般的な国際問題と双務関係の改善で提起される一連の問題に関して意見を交換した。
 金正日同志は、朝日関係の改善で提起される原則的問題について明らかにした。金正日同志は、地理的に近く歴史的にも連係(関係)の深かった両国が、戦後半世紀を超えて不正常な状態にあるのは、どの面からみても百害あって一利なしのことだ、とし、朝日両国が互いに仲むつまじく過ごし、共存、共栄していくことが双方の利益にも合致し、アジアと世界の平和と安定にも有益だ、と強調した。
 金正日同志は、不正常な朝日関係を正常化することは今日、わが政治家らに委ねられた歴史的な使命であるため、両国人民の念願と利益のために互いに大局的な立場で決心して取り組めば、解決できない問題はないであろう、と述べた。
 金正日同志は、共和国政府は今後も朝日平壌宣言の履行のために積極的に努力するであろう、とし、朝日関係改善の進展の可否は日本の同盟国がいかなる態度と立場をとるかに多くかかっている、と述べた。
 小泉総理は、これまで共和国との関係において好ましくないことがあったことに対して遺憾の意を表し、朝日平壌宣言を重視してそれを誠実に履行する過程を通じて敵対関係を協力関係にし、両国関係を正常化していくという意志を表明した。
 彼は、日本は今後、反共和国「制裁法」の発動を中止し、在日朝鮮人らを差別せず友好的に接することと、両国間の信頼回復のために共和国に対する人道主義支援を即時再開し、コメ25万トンと1000万米ドル相当の医薬品を提供することについて確言した。
 対面と会談は真摯かつ虚心坦懐な雰囲気の中で行われた。
 朝日両首脳の今回の対面と会談は、両国間の信頼を回復して関係を改善し、アジアおよび世界の平和と安定を図る上で重要な意義を持つ歴史的な出来事となる。【RP】

                    ◇……………◇          ◇……………◇

 次から次のテレビ報道観おれば、今宵到底安らかに眠れそうに無し。

 二十三日追記。昨夜、首相は米大統領に直談判せよと記しが、今朝の読売朝刊読みて又々心曇りたり。米国防省スポークスマン声明に曰く、「米政府は日本政府に対して、ジェンキンス軍曹は統一軍事裁判法の対象であり、極めて重い罪に問われていることを通告している。同法に従って適切な措置が取られることになる。司法措置は、現在の国籍に影響されない」と。「声明によると、ジェンキンス氏は@他兵士に脱走を教唆(二件)A脱走B利敵行為C非忠誠の奨励(二件)――の四種類、六件で罪に問われている」と云ふ。巳んぬる哉、か。

                    ☆   ☆

 二十一日午前の参院本会議にて自民、公明、民主三党等の賛成多数に依り裁判員法可決、成立せり。此れに依り裁判員制度は二〇〇九年五月迄に運用開始し、国民の司法参加可能となるも、制度の仕組み国民に周知浸透しおるとは言へず、広報活動の徹底図るが先ず肝要なり。運用開始の暁には我是非にも参加せんと思ひ居れど、法の内容に今一つ明確さ欠く部分存しおれば躊躇在り。法に不備、不明在らば改むるが正道なれば、施行前とて憚らず改正為して、国民皆納得し制度参加出来る「法」にして貰ひたし

    裁判員法骨子
 [対象事件]殺人や傷害致死など一定の重大な事件
 [合議体の構成]原則として裁判官三人、裁判員六人。被告が起訴事実を認めている場合は裁判官一人、裁判員四人の構成も可能
 [裁判員の選任]二十歳以上の有権者から無作為に抽出。七十歳以上の高齢者や議会開会中の地方議員、学生のほか、育児・介護など「やむを得ない事由」があれば辞退できる
 [評決]合議体の過半数で決定。裁判官と裁判員双方の各一人以上の賛成が必要
 [裁判員の守秘義務]裁判員や元裁判員は「評議の秘密その他の職務上知り得た秘密」を漏らしてはならない。違反した場合は、六か月以下の懲役または五十万円以下の罰金を科す

 上記骨子[裁判員の選任]に於ける辞退可能基準が不明確。「やむを得ない事由」とは? 選任は裁判官が面接の上、決めるらしが、裁判員としての適否判断基準明確ならずして公平なる選任可能なるや。例へば「不公平な裁判の恐れある人は除外」と云ふて、「恐れある人」とは如何な人か解らじ。[裁判員の守秘義務]に於ける「評議の秘密その他の職務上知り得た秘密」とは如何な秘密なるや。斯様な抽象的表現にては「秘密」の範囲際限無く広がり行きはせぬか。我とせば罰則を伴のふ斯様な守秘義務負ひたくは無し。

                    ☆   ☆

 高遠菜穂子氏が帰国後初の記者会見(代表取材)に二十日応じ、其の内容二十一日付朝刊に掲載されり。記事内容、会見の概略のみにて詳細は解らぬも、我一点気になりて論評に至らず。

 「自己責任論」につき高遠氏は、「死ぬかもしれないという覚悟のもと、考えて行動していた」と述べ、四月七日拘束直後は「気に障ることをすれば殺されるという恐怖でいっぱいだった」と語りおる。我の中にて「死を覚悟」と「殺される恐怖」が繋がらぬ。「死を覚悟」して尚「死を恐れる」が人間と云ふてしまえば其れ迄。が、「殺される恐怖」を感じし後も「死を覚悟のもと」と公言せるは解せぬ。「死を覚悟」なる言葉、軽々には遣ふまじ。

                    ★   ★

 二十二日、山形県総合運動公園。コンサドーレ対モンテディオ山形戦は、1−2でコンサ八連敗。通算成績1勝9敗4分け。勝ち点7、最下位変わらず。
 次節二十九日、対湘南ベルマーレ戦(札幌ドーム)。

 ありゃりゃの八連敗、引き分け挟みてまさかの九連敗。最悪のどん底と謂へば言へるが、J1時代2002年のチーム記録に並んだだけと思へば最悪には非ず。どん底なれば其れ以下は無く、此れより反転して連勝に継ぐ連勝かも知れぬ。気長に待とふ不如帰。

 二位と十二位最下位、素人目にも力の差は歴然。一対一で悉く負けていては試合にならぬ。コンサ戦士も己が未熟を思ひ知ったらふ。明日から性根を入れ替へて練習に励むべし。試合に成らぬ試合で1点奪ひしは天晴れ。此れを糧に精進せいや。



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平成十六年五月二十日(木曜)曇

 彼方も此方も「うっかりミス」では相済まぬ。三笠署、釧路方面本部総務課で発覚せし文書破棄問題を受けての道警内部調査で、一九九八年度より二〇〇二年度の五年間に道警二十四部署にて七十二点の会計文書が廃棄、紛失せる事実判明と本日発表あり。内十九点は「旅費」「交際費」等に関する文書にて、裏金問題で道警が内部調査の対象とせし文書。十七点は道監査委員実施の特別監査の対象文書なり。

 「保存期間が五年の会計文書を三年と間違へたり、他の文書と紛れて間違へて捨てた可能性が高い」と、道警総務課長及び会計課長は「うっかりミス」と弁明しおると云ふが、誰が見ても「不正隠しの為に処分」としか見へぬ。幾ら弁明に努めても、誰もが皆「道警なればやりかねぬ」と思ひおる。疑惑の上に又一つ疑惑を積み上げたるの感。道民の批判頂点に達しおるも顧みず、「うっかりミス」と言ひ繕ひての証拠湮滅とは恐れ入谷の鬼子母神ならぬコンコンチキ。斯様な組織に治安維持を任せ置きて大丈夫なるや、大いに不安なり。今我は「馬鹿にすな。いい加減にせんと、怒るでほんまに」の気分。

                    ☆   ☆

 十八日朝告示の党代表選に岡田克也幹事長が立候補、他に立候補の動き無く、同日夕の両院議員総会にて新代表に選出されたり。幹事長・藤井裕久、政調会長・仙谷由人、国対委員長・川端達夫の各人事固まるも、年金法案と三党合意、参院選等諸々の問題抱え前途多難の雲行き。

                    ☆   ☆

 十七日夜、小沢氏、民主代表を辞退の報。理由は小泉首相と同じ年金義務化前の未加入なりと。

 小沢氏曰く「任意加入の時期だったとはいえ、国民年金への加入を推奨し、社会保障制度の確立を推進すべき立場にある国会議員が、国民年金に加入していなかったことについては深く反省している。年金不信は頂点に達しており、政治責任は全く無いと言う訳にはいかない。政治的にけじめをつける必要がある。次の政権を担う民主党の代表に私がなることはふさわしくない」と云ひて、首相と刺し違へる心積もり無きにしも非ずなるも、首相「それじゃ、私も同様に」とは行くまいに。此れも「未納三兄弟」を口にせし前代表の後遺症か。後任は岡田幹事長で固まる動きなり。

                    ☆   ☆

 バレーボール・アテネ五輪女子世界最終予選兼アジア予選第五日の十四日、東京体育館にて共に全勝で迎へし日本−韓国戦は、日本が3−0で韓国を破り五戦全勝で八年ぶり九回目のオリンピック出場を手中にせり。柳本監督の柔軟なる采配と、オリンピック出場唯一点に集中して錬磨汗流し来し選手諸君の一途な情熱と努力に絶大なる拍手喝采贈りたし。目出度し。就寝前、祝いて奮闘せし大和乙女に御神酒をば一献捧げ奉らん。

 七年ぶりに日本代表入りで主将務めし吉原知子のチーム掌握力文句無し。引退復帰の成田郁久美は十二分にリベロ役を果たし、同竹下佳江は1m59の短躯駆使して見事なるセッター。一度は日本代表辞退の大友愛は文句無しの大復活。大山加奈は目標見失わず逆境に耐へて強靭なるアタッカーに成長せり。木村沙織は高校生らしからぬ堂々たる試合ぶりにて観衆を唸らせたり。残る辻知恵、佐々木みき、大村加奈子、高橋みゆき、杉山祥子、栗原恵各選手の活躍も亦忘れてならじ。皆々一致団結しての夢成就なればギリシャにての活躍間違い無しを思ひ、胸躍るなり。

 各競技にて女子着々とアテネ出場権を獲得せる中、男子些か不甲斐無き状況。大和男子よ、奮起せよ! 昔知る我なれば、「情け無し」の思ひのみ込み上ぐ。

                    ☆   ☆

 十四日。菅代表の辞任を受け、民主新代表に就任要請されおりし小沢一郎代表代行は岡田幹事長と会談、要請受諾せり。小沢氏の希望通り十八日に代表選を告示、同日両院議員総会にて選出の予定。小沢氏以外に出馬の動き無く、代表就任は確実。

 九月迄の暫定ながら、挙党一致の執行部人事は現体制一新の構へ。三党合意の扱いにつき記者会見にて「私の政治理念、哲学、信条、信念は、どの様な立場になってもかわらない」と語りおるを考へれば、三党合意反故の可能性も孕み我には先行き見へず。

                    ☆   ☆

 小泉首相は十四日午後、再訪朝する旨正式表明せり。二十二日日帰りにて平壌訪問、金正日総書記と会談為し、拉致問題の打開と日朝国交正常化交渉の再開を目指す方針らし。政府・与党連絡会議にて小泉首相は「日朝平壌宣言に則して、拉致を含む日朝間の諸問題、核など安全保障上の諸問題を包括的に解決した上で、日朝国交正常化を実現したい。進展が見られる可能性が高いと判断し、訪朝を決断した」と語りしと新聞報じおりたり。

 我が愚考なれど、経済援助を持ち出せば拉致被害者五人の家族八人の帰国は即解決となろふが、死亡・未入国を主張せる十人につきては従前通り取り合わぬと思はる。拉致被害者家族会は勿論、党内からも突き上げ有る中、此れでは帰れぬと十人の真相解明の為の調査委員会設置を要求せば首脳会談の行き掛り上、認めるやも知れぬが、何処迄本気で実効有る行動を為すか甚だ疑問。核廃棄、ミサイル撤去等は僅か一日の会談にて決着のつく問題ではなかろふし、六か国協議の積極審議を促せど柳に風と受け流すは必定。「諸問題の包括的解決」への戦略持ちての訪朝か。出たとこ勝負の会談なれば、成果など望むべくも無し。

 経済援助約して家族八人連れ帰り、拉致の疑い有る者の調査委員会設置で合意したと云ふて戻りたれば成果無しに等しく、再訪朝の意味無く、相手が「為て遣ったり」と北叟笑むが落ち。拉致の「国家犯罪」であるを認めさせねば解決とは成らぬを胆に銘じよ。更に核問題、六か国協議につき何らかの成果引き出さねば米・英・韓、中国ですら「何の為の訪朝か」と笑ふであろうふ。小泉首相及び手筈整へし外務省の田中・薮中両氏に言ひたし。「相手の機嫌取りはすな。毅然たる態度にて安易な妥協はすな。核、ミサイル問題に進展無ければ家族帰国のみにて経済援助を約すな。金正日が虚仮にする態度に出たらば即刻会談中止、経済制裁為すを宣して帰り来れ」と。

                    ☆   ☆

 十四日。道立羽幌病院で二月中旬、当時勤務の女医(32)が自発呼吸の出来ぬ男性患者(90)の人工呼吸器を取り外し死亡させ、殺人容疑にて道警の事情聴取受けたることども報じらる。聴取に対し女医は「今でも自分の判断は間違っていなかったと思ふ」と語り、「信念に基づいて行いし行為で、是非は司法の判断に委ねたひ」と述べおる由。

 患者は二月十四日正午頃、昼食を喉に詰まらせ心肺停止状態にて病院に運ばれた。医師の蘇生処置により心臓は再拍動せるも自発呼吸戻らず、意識不明のまま人工呼吸器を装着。搬送約一時間後、女医は「患者は脳死状態です。治療しても病状は変わらないかも知れない。此の侭、呼吸器装着を続けるかどうか検討して下さい」と家族に話し、患者親族は病院内で相談の結果、装着停止を希望する旨女医に告げた。女医は翌十五日午前に呼吸器を外し、其の結果、患者は十五分後に死亡した。
 ――以上が事の顛末なり。

 女医の此の措置は治療中止(消極的安楽死)であって、所謂安楽死(積極的安楽死)とは明確に区別されるもの。東海大学病院に於ける安楽死事件に対する一九九五年三月の横浜地裁判例、安楽死として法的に容認されるには@耐へ難き肉体的苦痛が存する事A治療による回復の見込み無き事B苦痛を除去するに他の手段無き事C患者又は家族の明確なる意思表示がある事――の四条件を引き合ひに論ずべきに非ず。「延命治療中止の場合にても**を満たす必要あり」を基に論ずべきなり。なれば、今回治療中止行為に当たりACの条件が満たされおりたかどふか。

 道警は、につきて「回復見込み判断の為の診断不十分」、Cにつきては「患者の意思確認無し」として消極的安楽死とは認めず、殺人容疑にて聴取せしと云ふ。病院側見解も亦、「安楽死を認める要件を満たしおらず、呼吸器を取り外すべきではなかった」と。心肺停止状態で搬入され、蘇生処置により心臓動きだせど自発呼吸出来ず意識不明、瞳孔散大・対光反射消失とあっても尚、医師は回復見込み無しとは診断せぬものか。意識不明では患者の意思確認は不能、家族の意思表示に躊躇逡巡在れば「明確なる」に合致せぬか。女医が「脳死状態」を口にせなんだら、家族は呼吸器取り外しを拒否せしか。

 不謹慎なる言ひ様なれど、蘇生処置にて心拍、自発呼吸共に戻りておれば問題生ぜず、心拍のみ戻りたが不幸と思はれてならず。医者なれば人の命助くるが本分故、懸命に蘇生処置施すは当然。結果、心拍戻りても自発呼吸出来ず回復の見込み無き延命治療なれば、患者の尊厳に鑑み治療中止を決断するも亦医者として当然ならん。なれど其の決断、一医師単独にて為せる程軽きものにては非ず。当該女医の如く延命治療に確固不動の信念持ちおりても尚、否だからこそ、複数医師の合意・判断を仰ぐべきであったやに思はるる。我、女医の行為を殺人とは見ず。医療行為の範疇内と解釈す。

                    ☆   ☆

 十四日付朝刊に「未納議員衆参110人超す」の報。在職中に未加入・未納期間有りし議員数以下の通り(十三日現在)。自民61(衆院45、参院16)、民主33(衆院17、参院16)、公明14(衆院7、参院7)、共産1(衆院)、社民1(衆院)、みどりの会議1(参院)、無所属1(参院)の計112議員。社民は土井たか子氏、みどりは中村敦夫氏、無所属は西川きよし氏なり。自民は党として納付状況の調査・公表せず、個々の議員に任せおるに依り実際の数は不明。公表せる議員少なきは未加入・未納議員多き故と解すが妥当か。

 「未納問題を政争の具にすな」「為すべきは年金改革論議」の声在れど、皆保険制度作り今又制度改革為さんとせる議員が斯様なことでは国民が納得しまい。「国会議員は我々と違ってどっさり貰へる議員年金が有るから、国民年金になど関心も知識も持たぬのだ」と怒り、呆れる我ら国民を何と見るかや。政治家の「うっかりミス」などと云ふてもらっては困る。本筋を歪めるな、一刻も早く本筋へ戻れと云ふも、此の侭ではならぬ。先ず以て全国会議員は保険料納付状況をつぶさに公表すべし。然る後、未納分全てを納付せよ。規則、法変へてでも為せ。次に議員年金廃止を決めよ。議員優遇の制度を議員自ら作るなど不届き千万、即刻廃止が妥当――と考へるが如何に。

                    ★   ★

 十九日、札幌厚別公園競技場。コンサドーレ対水戸ホーリーホック戦は、1−2でコンサ七連敗。通算成績1勝8敗4分け。勝ち点7、順位最下位は共に変わらず。
 次節二十二日、対モンテディオ山形戦(山形県総合運動公園)。

 何処迄続く泥濘ぞ。辛抱強きコンササポーターとて限界在るを知れ! 今節観客六千。徐々に減りおる現状に危機感有りや無しや。などと、我一人憤りても詮無きか。慈眼もて眺むれば勝てるチームへ変身の兆し見へなくも無し、今暫し沈黙せん。

          ◇     ◇

 十五日、横浜三ツ沢球技場。コンサドーレ対横浜FC戦は、1−2でコンサ六連敗。通算成績1勝7敗4分け、勝ち点7。順位最下位変わらず。
 次節十九日、対水戸ホーリーホック戦(札幌厚別公園競技場)。

 後半に入りパス繋がりてリズムに乗り同点、此の調子なれば逆転勝利と思はれたに……。現在のコンサの力量にては十二人居りても勝てぬに、十人となりては最早お手上げ。MF中尾、警告男とは謂へ何たる御粗末か。プレー中ならぬ其れ以前の警告、何を考へおるかや。餓鬼じゃあるまいに、己の感情を制御出来ぬなればプロの座を辞せ。見苦しき上、チームに百害在りて一利無し。今後出場させるなれば、「審判に対し一切異議・抗議行動を見せるでない。出来なくば即解雇!」と申し伝へよ。



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平成十六年五月十三日(木曜)雨

 若き頃は雨に濡れる舗道をぼんやり眺めるが好きであったに、今はもう気が滅入るばかりにて好かず。今日の雨、桜を散らしおるか。老いの無聊慰める手立てもなければ日がな一日、猫どもの背など撫で摩り彼方でごろり此方でごろりの体たらくにて終わりたり。

                    ☆   ☆

 年金法案衆院通過後とは天晴れ、公明の神崎代表、冬柴幹事長、北側政調会長ら年金未納十三人を発表。党規約に基づき譴責、戒告処分にて辞任は無し。姑息なり。民主は衆参両院の常任、特別委員長五人が辞任の意向表明。さて我らの道内関係議員はと見れば、御多分に漏れず二十八人中十三人が未加入・未納期間有り。各党調べれば幾人出で来るか見当つかずの様相。制度が悪い、複雑過ぎると云ふて当の議員さんが作りし制度。其の反省も無く、現行制度より悪しき制度を作らふと云ふ方々。何を今更だらふ。

 国民年金未加入・未納問題は年金改革論議の本質に非ずの意見有るも然に非ず。国民年金未納率四割を超え、制度崩壊の危機的状況を何とする。制度作りし者が未加入・保険料未納で、我らに加入せい金払へと云へるかや。未納高々何か月、此れで責任問われ辞任だ何だと謂はれては間尺に合わぬと思ひ居るなれば不埒千万許し難し。問題起きる度に官僚に丸投げし綻び繕ふてきた報いが現在の危機的状況を招きしを理解せぬかや、馬鹿たれめが。汝等が為すべきは政府案を廃案にし、国民年金制度の一元化を基礎に新たな制度を作る事。其れが出来ぬ未納兄弟なれば即刻議員辞職すべきなり。

   雨は降る降る心も濡れる越すに越されぬ馬鹿の壁
 冷や酒ぐびりと呑み干して早々に床に就くが一番か。寝付けぬなれば耳澄まし雨の夜曲を聴きましょか、シトシトピッチャンシトピッチャン……此れじゃ全く眠れません。

                    ☆   ☆

 年金改革関連法案は十一日、衆院本会議にて一部修正のうえ賛成多数で可決、衆院を通過せり。民主党は既定方針通り三党合意に基づき修正案に賛成せるも、本体政府案には反対。又、懸念せし通り小沢代表代行、藤井裕久・元蔵相ら九人が三党合意を不満として本会議を欠席、昨十日の「全国会議員が一人残らず、此処で決まった事を、一致した行動を取って頂きたい」との菅代表発言も無駄に終わりたり。三党合意を批判せる共産、社民両党は両案に反対。

 年金法案の衆院審議は不十分、拙速に過ぎる。欠陥だらけと指摘される中身の議論無くては話に成らぬ。国民年金未加入・保険料未納問題ばかりが騒がしく、法案の中身・問題点等を明らかにせぬまま衆院通過では、国民の理解など到底得られはせぬ。18.30%の保険料率に企業、現役世代が耐へられるか。給付水準は現役世代の平均所得の50%以上を維持と云ふて、実は給付開始時のことに過ぎず、其の後はどんどん目減りするでは誰も加入したくあるまひ。法案の基本が「現行制度を維持」では改革にはならぬ。やはり此の法案は廃案とし、「公的年金制度一元化」を基本に一から出直すべきなり。参院審議にては法案の問題点、欠陥をば十二分に抉り出し野党結束して廃案目指すべし。

 民主党が自民、公明と合意せしは「公的年金制度の一元化検討」を付則に盛り込むを評価せしと解するも、政府の基本はあくまでも「現行制度を維持」に在るを忘るまじ。一元化の実現につきて、公明党・神崎代表は「所得の把握、納税者番号制度の導入等課題があり、出来るものかどうか議論していきたい」と云ひ、自民党・堀内総務会長は「簡単な話ではない」と云ふて、共に「一元化は困難」を匂はせおる故、民主もたもたせば「一元化検討」など雲散霧消せるやも知れず。此処は思い切りて「合意」破棄し、政府案廃案目指すがよし。

 民主新代表選出は、話し合いに依る候補者一本化の方針を決め、調整を岡田幹事長に一任せり。岡田氏は当面、小沢代表代行を軸に調整を進める考へらし。暫定とは云へ、三党合意に反対せし人物を選びて党が纏まるかや。疑問なり。

                    ☆   ☆

 十一日。道警旭川署及び弟子屈署の裏金問題に関する内部調査結果、道議会総務委員会に報告せり。内容従前報告と変わり映えせず、道警本部等上層部の関与につき一切言及無く、責任悉く下部個人に帰する内容。芦刈本部長ら道警幹部は「やる事は尽くした」と云ふも、我到底納得し得ず。内部調査の限界と云へば其れ迄なれど、此処に来て尚自浄の動き無く説明責任果たし得ぬは最悪にて、我らの不信と怒り募るばかりなり。斯様な状況にては道監査委員の特別監査への全面協力など望むべくも無く、うやむやなる侭に幕引き終へる可能性否定できずを考ふれば腹立ちて酒不味く寝付き悪し。

                    ☆   ☆

 十日。鈴木宗男・前衆院議員、札幌で開きしセミナーにて「今夏七月参院選に北海道選挙区から無所属で立候補する」と表明せり。昨年十一月の衆院選出馬を胃癌手術の為断念しおる故、参院選出馬は予定の行動か。推す者がいるにせよ、受託収賄罪等にて公判中の刑事被告人が立候補するは不謹慎、有権者を愚弄するものなり。思考停止・判断力無き国会議員の常套手段、選挙に勝ちて「禊は済んだ」と胸張る積もりか。無罪確定せし後に国政復帰を考へるが尋常なる道筋と思ふが、如何。「選挙に出る事はルール違反でも、規制される事でもない。最終判決が出て初めて判断するべき事で、やましい事は無い」と言ふて憚らぬ鈴木氏の鉄面皮恐れ入るばかりなり。

 野中広務・元自民党幹事長、支持者の歌手・松山千春氏の出席ありたにせよ、セミナー参加者約二千人は驚きなり。後援会組織未だ健在なりを誇示。時代遅れと言はれようが尚、利益誘導型政治を望んで止まぬ連中も亦健在と云ふ事か。ダーティーだらふと疑惑の総合商社だらふと、金と仕事を廻し呉るる鈴木先生は良い先生。何としても政界に復帰させねば此の不況風収まらずの思ひならん。松山氏「次の衆院選迄なんて待てない」と決起を促したる由。有権者が変わらねば、政治意識を高めねばと言ふたとて、易々と変わる訳も無く、鈴木先生の国政復帰の道を断つは至難か。

                    ☆   ☆

 福田官房長官に先手を取られ批判の矛先集中せし菅代表、十日夕開かれし民主党両院議員懇談会にて代表辞任を正式表明せり。辞任と引き換へに年金改革関連法案に関する自民、公明、民主の三党合意の党内了承を取り付けたる形なり。我早々に退くがよしと言ふたに、漸くと云ふべきか渋々と云ふべきか、此処迄遅れたは三党合意の行方思案しての事なるか。然有れど福田長官辞任の後、テレビ局梯子して己が未納の弁明に努めるなどは党首の為すべき事に非ず。先手取りし者は潔さ目立ち拍手喝采、後手に回りし者は周章狼狽ばかり目立ちて辞めろ辞めろの大合唱。勝敗云ふ迄も無し。出処進退真に以て難事なり。

 年金改革の基本・枠組みが政府与党と異なる民主党が、何故「合意」なのか。保険料を引き上げて給付額を下げて行く政府案に我ら国民呆れ返り、野党結束して廃案に持ち込む流れ。七月参院選は年金改革を争点に勝利する心積もりが何とした事かと、「談合だ、擦り寄りだ」と反対するも道理、撤回要求せる者出で来るも尤もなり。民主案寄りの「公的年金制度の一元化検討を付則に盛り込む」が気に入りしか。此れとて「一元化実施の為の検討」とは云ひおらず、検討のみの御題目に過ぎぬやも知れぬに、執行部が独断専行で為したが如き「合意」、我には解せぬなり。

 代表後任人事は十二日代表選告示、十四日選出の日程で決めるらし。九月代表選迄の暫定故、代表選など行はず小沢代表代行が横滑りせば済もうが、小沢氏側近が十日朝に「両院議員懇談会で三党合意が了承になれば、小沢氏は代表代行を辞める。次の代表も絶対に受けない」と語りたと云うふし、三党合意撤回を要求しおる張本人なれば其れは無理と云ふ事か。しかし九月迄の暫定、分裂の危機も孕む党内事情の中、貧乏籖引くに等しい代表選に立つ者が居るかや。

 菅代表は懇談会冒頭発言を「どういう結論が出たとしても、全国会議員が一人残らず、此処で決まった事を、一致した行動を取って頂きたい。此の事が出来ない様では、百年たっても、此の党は政権に辿り着く事は出来ない」と締め括りたは、党が割れるを懸念してか。三党合意了承取り付けたものの一枚岩とは言へず、特に合意撤回を要求し来たった旧自由党系議員が明十一日の衆院本会議にて年金法案修正案に全員賛成するかは疑問。又本会議欠席の可能性も否定し得ず、「一致した行動」は到底無理にてあれば分裂も視野内か。

                    ☆   ☆

 九日。網走、北見にて最高気温27.0度と今年初の夏日を記録せり。札幌にても今年初めて20度を超し21.9度。北海道神宮の標本木ソメイヨシノは八割以上花開き、札幌管区気象台満開を宣せり。焼き肉為す花見客で賑はう円山公園、家族連れが芝生の上で弁当を広げる大通公園の様子、テレビニュース報じたり。

          ◇     ◇

 涙流れ来てならなんだ朝刊の記事、記し置く。

    忠犬の衷心 北アルプスで遭難主人の死みとる

 富山県大山町の北アルプスで五日、男性の遺体が見つかった。そばには男性の飼い犬が。救助隊が近づくと山へ消え、約十三キロ離れた岐阜県飛騨市神岡町で発見された男性の車のそばに犬の姿があった。遭難から四日間ほど、男性のもとを離れなかったとみられる。救助に携わった人たちは「主人が救助されるのを待ち続けたのでは」と話している。

 亡くなったのは、名古屋市南区明治、会社員鈴木茂さん(51)で、死因は凍死だった。犬は、メスで五歳の甲斐犬「弥助」。鈴木さんは犬と四月二十九日に入山した。黒部ダム南西にある北ノ俣岳(2662メートル)の尾根で五日朝、横浜市の公務員原岳広さん(33)が遺体を見つけた。

 あたりは風雨が強く悪天候が続いていた。富山県警山岳警備隊に通報した原さんは「黒い毛の中型犬が、遺体に付き添うようにしていた。私が手招きすると、ほえて、遺体のそばから離れようとしなかった」と語る。

 近くに、引き裂かれた跡のあるヤッケのズボンが残っていた。原さんには「動かなくなった主人を犬が何とか運ぼうとした」ように思えた。

 山岳警備隊は天候の回復を待って、翌六日に遺体の収容作業を行った。隊員らが到着した時も弥助は遺体のそばにいたが、弥助はそのまま山中に走り去ってしまった。

 鈴木さんの車はこの約五時間後、岐阜県飛騨市神岡町で見つかる。隊員が駆けつけると「犬は車のそばをとぼとぼと歩いていた」といい、そこで保護された。

 県警の調べによると、鈴木さんは二日か三日に死亡したとみられる。付近は三日から強風が吹き荒れた。四日は氷点下まで冷え込んだ。

 遺体収容に協力した太郎平小屋の五十島博文さん(64)は「犬は寒さの中で空腹に耐えながら救助を待ち、険しい山道を駆けて、主人が戻って来ると信じて車に向かった。犬と人間のつながりのすごさを感じた」と話している。

 家族の話によると、弥助は鈴木さんが約三年前から飼い始めた。「やっちゃん」と呼ばれてかわいがられた。

 弥助は六日夜、大沢野署で家族に渡された。その時、家族もこれまで聞いたことがないような甲高い声で鳴いた。          (2004.5.9 読売新聞)

                    ☆   ☆

 七日。福田康夫官房長官、国民年金保険料未納の責任を取り辞任せり。森首相時、中川秀直官房長官更迭に伴ひ官房長官に就任してより在任千二百八十九日目。外交・防衛分野にては小泉内閣の政策決定をリードせる人物の辞任故、首相の痛手大なるは確かなり。何故に今、官房長官の辞任か。一つ、閣僚の国民年金未加入・未納問題長引きて七月参院選に悪影響ありてはの遠謀。二つ、未納閣僚の進退問題をば官房長官一人の辞任にて断ち切りたしの思ひ。三つ、「対応遅し」の批判小泉内閣に集中するを回避、批判の矛先民主党・菅代表へ向かしめ以て菅代表を辞任に追い込むの策――。表向き公の理由、此の三点か。然らば福田氏個人の理由無きや在りや。我が下種の勘繰りで申せば、イラク、北朝鮮の難問抱へし上、日々閣内の瑣事ごたつき弁明・釈明するに疲れたるが一番の理由なり。今が潮時、渡りに船の辞任と我思はれてならず。官邸を去る際の微笑みが其を物語りおらふ。

 「私自身を含め、閣僚の中に年金未加入未納の問題があったことが判明し、政治に対する国民の信頼を失ったことは慚愧に堪えない。更に、私自身の年金保険料の未払い発表までの対応の仕方に不手際があり、内閣のスポークスマンとして、内閣の提出法案の取り纏めである内閣官房の責任者として政治不信を増幅してしまったことについて、国民の皆様にお詫びを申し上げる」と恰好良く辞任せる福田氏とは対照的に、無様なるは「未納三兄弟」と捲し立てたはいいが自身も未納兄弟に仲間入りせる菅代表。脇甘し。相手の非を追及するに、先ず以て己に非無きを精査確認せなんだとは……。敵に食らい付くなれば其れ相応の準備為さねば、逆に己の牙を圧し折られるが落ち。年金改正法案審議で成果出せぬ中、転がり込んだ「閣僚の未加入・未納」の好餌に我を忘れたかの如き反応。思考停止、判断停止のまま「未納三兄弟」を口にせしか。政権交代を狙ふ最大野党の代表が斯くありては如何ともし難し。

 官房長官辞任となりたれば、菅代表の辞任最早避けよう無し。本人は不本意と考へるやも知れぬが、留任は党内混乱の因。後任人事を思ふと、其れが党内混乱の因にも成りかねぬ状況なれど、心配するは後にして先ずは辞任。七月参院選を控へ議員・党員の突き上げ激しくなるは必定、早々に退くがよし。福田氏にせよ菅氏にせよ、辞任と言ふて高々官房長官の座、党代表の座を下りるだけの話にて、議員辞職する訳で無し気楽なものだらふ。我にせば、「国民の皆様にお詫び申し上げる」からには議員辞職以外無きと考へるが……。

                    ★   ★

 九日、佐賀・鳥栖スタジアム。コンサドーレ対サガン鳥栖戦は、1−2でコンサ泥沼の五連敗。通算成績1勝6敗4分け、勝ち点7。順位最下位は変わらず。
 次節十五日、対横浜FC戦(横浜市三ツ沢球技場)。

 我熱烈なるサポーターにはあらねど、地元チームなれば些かの思い入れ持ちて試合結果を眺むるなり。攻めてミス、守りてミスにては勝てる筈も無く、「素人、引っ込め!」の罵声飛び交ひし惨憺たる現状に声無し。何処迄続く泥濘ぞ。哀れなり、情け無し。此の儘なればコンサ存亡の危機間近しを思ふ。

 柳下監督、記者会見にて曰く「プロのチームとは云へぬ。未だアマチュアのチーム。此れから戦へる選手を選んでゆく」と。監督の「アクションサッカー」もプロチームで可能なる事にて、アマチームにては如何にも成らぬ。勝って幾らのプロの世界で、勝利への執念無く、勝つ為に戦ふの姿勢無ければ残されし道は引退のみ。プロとして戦へぬ者は即刻辞めて戴くのが礼儀、チームの為にも亦選手本人の為にも最善の策なり。温情後々仇と成り易し。



 

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平成十六年五月六日(木曜)晴

 早朝五時半、風の音にて目覚む。身繕いて外に出でみれば、殊の外風強くして付近の樹木大きく揺れ動くを見、枝々若葉震わせてざわめくを聴く。近所の車庫扉がたがた鳴りて騒がしく、昨晩捨てしか塵芥集積場のゴミ袋二つ吹き飛ばされて路上を転がりいたり。何時もなれば既に烏数羽飛び来りて屋根やら電柱やらに止まり、虎視眈々ゴミ狙いおる時刻なれど、風強き故か今朝は其の姿無く嗄れ声も聴かず。未だ塒に留まりしか、斯様なる日は朝寝するがよかろうふさ。烏にも生き難き御時世、気疲れも多かろふから休養するが良し……などと寝呆け頭が勝手に思ひおりたり。

 連休中三、四日は生憎の雨。其れにても円山公園に花見客訪れ雨除け天幕など張りて酒宴開く者多しと報じらる。最終日五日は連休中一番の好天、気温も17度を超へて円山の人出幾万を数へ、花より団子の宴其処此処に在りて賑はい深夜に及びたりと。連休だとて我が生活変わり映え無く、何処へ出掛くるでも無く五日間過ぎ行きたり。女房我共に人込みに入るが苦手なれば、皆々行楽に繰り出す此の時期は家に籠もるが例年の事。朝寝坊して日がな一日のんべんだらり、銭湯に暖簾掛かれば出掛け行きて湯に浸かり、戻りて酒酌めば云ふ事無しの極楽暮らしにてありき。

 今朝は曇天なりしも昼前には晴れたり。気温14度風些か強ければ躊躇ひたるも、明るき日差しに誘はれて自転車道に出掛くる。沿道の桜咲き誇り花びら風に散り舞ひ、其の下にて数組花見しおるを見る。連休明けての花見とは豪儀なりと見やれば、集ひし面々御老体のみ。散り行く桜花に、やがて散り行く己が命を重ね見おりしか。酒酌みて共に何を思ふや。杜甫の詩にあり
    一片 花飛びて 春を減卻す
    風 万点を飄へして 正に人を愁へしむ 
    且つ看ん 尽きんと欲する花の眼を経るを
    厭う莫かれ 多きを傷む酒の唇に入るを
 人皆此の世の過客なれば旅の途中に舞ひ散る桜を愛で、酒に酔ふも一興。「皆の衆、思ひ煩ふ事勿れ」と声掛けやるも邪魔、皆々酔ひて民謡など唄ひ手拍子打ち鳴らし、さんざめきて朗らなれば我微笑み黙して通り過ぐ。

                    ☆   ☆

 経営陣が此の体たらくにては会社が傾くも道理なり。上から下迄、無責任氾濫の世とは申せ、人命に拘わる製品を作り販売する会社の最高責任者にあるまじき所業にて、何故に斯様な人間が其の地位に就き居たるか不思議でならず。二〇〇二年一月横浜市で起きしタイヤ脱落事故(主婦岡本紫穂さん死亡、四歳と一歳の長男、二男が軽傷)で神奈川県警は六日、三菱ふそう前会長・宇佐美隆氏ら当時の三菱自動車幹部ら五人を道路運送車両法違反(虚偽報告)、二人を業務上過失致死傷容疑で逮捕せり。

 車軸と車輪を繋ぐハブと云ふ部品に重大なる欠陥在るを知りつつ、リコールの経費負担回避せんと欠陥隠蔽に狂奔したる結果が、二〇〇二年のタイヤ脱落事故に顕在化したと云ふべきか。「会社ぐるみの殺人と思っている」と語りし紫穂さんの母親の言葉、正に其の通りなり。走る凶器と形容される車の欠陥を会社ぐるみで隠蔽、其の結果もたらされたる理不尽極まり無き死。此を「会社ぐるみの殺人」と言はずして何と言ふかや。会長と其の取り巻き連中の無責任が無辜の女性の命を奪ひ、幼子から永遠に母親を奪ひ去りしこと断じて許し難し。「隠蔽に加担せし関係者一同、厳罰に処するが相当」と我思慮す。

 そも経営の肝要は消費者・世間一般大衆を喜ばせるに在って、営利を貪るが第一義に非ず。お客より会社が大事と考ふる、経営の要諦を解せぬ人間をトップに選任せしは何者か。報道に「伯父は三菱銀行(当時)頭取から第二十一代日銀総裁に就任した宇佐美洵氏ということもあって、社内では『プリンス的な存在』と言われた」とあるところからして、経営手腕などは二の次、門閥重視の選任でありしか。亦曰く「前会長と同世代のOBは『はっきり意見を言う人や自分の立場を危うくする優秀な人材を次々に販売会社など社外に出した』と指摘。別の幹部も『周囲にはイエスマンばかりが残った。企業防衛に傾きすぎた体制に誰も文句を言わなかったのでは』と話す」と。事実なれば然も有りなん、然も無ければ斯様な大事出来する訳無し。

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 四日、北朝鮮に因る日本人拉致問題に関する日朝協議が中国・北京にて始まりたり。田中外務審議官、薮中アジア大洋州局長訪朝しての二月の政府間交渉も突破口見出せず膠着状態続きおる故、関係者は勿論我ら皆々今度こその思ひ強からん。今回協議、拉致被害者の家族八人の日本帰国を最優先に取り組むが政府方針にて、「北朝鮮側帰国確約せば、小泉首相自ら平壌を再訪、金正日総書記と日朝首脳会談開催の用意在り」との提案為す予定と新聞、テレビ報ず。此れに対し被害者五人より歓迎の声、未だ解明されおらぬ拉致被害者の肉親より再訪反対・慎重期すべしの声諸々有りて、共に正論なれば両者に禍根残さぬ交渉をば期待したし。

 家族帰国につきては、北朝鮮側の「当初約束通り、先ず五人を一旦北朝鮮に帰すべし」の原則論を変へぬ姿勢にて一向に進展無きまま今日に至りおる状況。同様、拉致の可能性在りとする不明十人についての調査解明要求につきても未だ何ら回答無く、拉致問題は既に決着済みと無視しおる状況。二〇〇二年九月の日朝首脳会談にて拉致を認めた上は、素直に謝罪し当方の要求に従ふが尋常なる対応だらふに、我らとは些か思考回路が違ふか。理屈、屁理屈捏ね回すもよかろふが妥協が無くては交渉にならぬ。自分の不実、誤謬を棚に上げて相手の非ばかり論ふていては対話すら成り立たぬ。

 飴と鞭使い分けるも必要なれど、当方に非無く先方にのみ存するにより御機嫌取り一切無用、毅然たる態度をもって臨むべし。己の要求が十全に満たされぬ限り納得せぬ北朝鮮の態度変わらぬなれば、遠慮は要らぬ、「話にならぬ」と一喝せよ。然る後、改正外為法による経済制裁発動を通告、特定船舶入港禁止法の即時成立施行を目指す等々たっぷり恫喝せし後、早々に交渉打ち切るがよし。訳の分からぬ輩でも、金と物が手に入らねばどうにもなるまひ。

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 二日、イラクでの戦闘終結宣言から早一年を迎ふ。未だ武装兵力との戦闘続きて、四月の米兵死者約百三十人。此の数、昨年三、四両月の戦死者合計百十五人を上回りて、戦後統治の困難を象徴せり。払ひたる犠牲に見合ふた戦なりしや。アブグレイブ刑務所にて起きしイラク人収容者への虐待事件を見るに、フセイン圧政からの解放者、民主主義の伝道者と認められず歓迎もされぬ米軍の、自らが払ひたる犠牲に対する憎悪の報復に思へてならず。報道に拠るに昨一日、ブッシュ大統領ラジオ演説為し「イラクでの民主化の失敗はテロリストを勢いづかせ、米国への危険を増し、中東の希望を消し去ることになる」とて、イラク復興への強い意志をば示せりと云ふ。我、其の志尊しと称賛せるを憚らず。なれど、其の強引なる為し方には大いなる懸念湧き来たりて止まず。

 「イラクにおける主要な戦闘は終わった。米国と同盟諸国はイラクでの戦闘に打ち勝った」。戦争開始から四十四日目、全土掌握から十八日目。昨年五月一日夕(日本時間二日午前)、米カリフォルニア州サンディエゴ沖の米空母「エイブラハム・リンカーン」艦上にて、ブッシュ米大統領が高らかに戦闘終結宣言なせるを思ふ。此の戦をば始むる前、チェイニー副大統領曰く「米軍はフセイン圧政よりの解放者なりとて歓迎されざるは無し」と、又ラムズフェルド国防長官曰く「イラク戦後復興は数週間にて道筋がつこふ」と。斯くの如き楽観論が如何にしてブッシュ政権内に蔓延せしか。斯様な認識に立ちてイラク戦争を始めたとせば余程の思ひ上がりか間抜け、戦地へ赴きし兵士が気の毒なり。イラクの現実は全て此の楽観論より発したるものと我断定す。

 現状を見れば、一年前「テロとの戦いは今後も続く」として「戦争終結宣言」せず「戦闘終結宣言」とせしは正解なるも、戦が何時終結せるか見通せぬなれば完全正解とは言へぬなり。更に完全正解出来ぬなればブッシュ・ドクトリンの見直しは必至とならふ。「ブッシュ政権のイラク政策不支持52%、イラク戦争自体が間違い48%」(ニューヨーク・タイムズ紙とCBSテレビの共同世論調査結果より)の世論をブッシュ政権がどう認識し理解するか。大統領選を控へイラク政策の失敗許されぬ今、一年前の宣言を如何考へ噛み締め居るかやブッシュ殿。

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 五日、札幌厚別公園競技場。コンサドーレ対川崎フロンターレ戦は、0−2でコンサ四連敗。通算成績1勝5敗4分け、勝ち点7。順位最下位変わらず。
 次節九日、対サガン鳥栖戦(佐賀・鳥栖スタジアム)。

 観客は「首位・川崎が相手故、負けても致し方無し」などと考へはせぬ。最下位が首位を打ち砕くを信じ皆々応援しおるに、情け無き事なり。寝惚けおるかやコンサイレブン。試合前に一汗流したる後、本番に臨みおるやには見へず。寝惚け眼のままピッチに立ちおるやに見へてならず。試合開始後三分、ミドルを打ち込まれるなんぞは寝惚け以外に考へられず。毎度、同様失点喫して尚改善見られぬは寝惚けに相違無し。斯く成りて残る手立ては唯一つ、試合前練習の後、休憩などせず即本番に臨むよふにすべし。

 前半シュート数、両チーム共に四本。質を別にせばコンサも負けはせなんだが、問題は後半。果敢に攻める姿勢衰へぬ川崎は五本放つも、集中力欠きがちのコンサは二本のみ。後半の攻め弱く、勝利への執着皆無が如き戦ぶり哀れなり。然れども、敗北の中にも一縷の光明在り。何も為さぬ選手多き中、「何とかしたし」と動きしMF岡田、「FW、MF攻め込まぬなれば」とボールをキープしつつ攻め上がったDF吉瀬。今暫し見守らん。

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 二日、札幌厚別公園競技場。コンサドーレ対アビスパ福岡戦は、1−2でコンサ三連敗。通算成績1勝4敗4分け、勝ち点7。初の最下位転落。
 次節五日、対川崎フロンターレ戦(札幌厚別公園競技場)。

 「今が最悪の状態、此れからは上り調子」と云へる状態には非ず。何処迄負け続けるか分からぬ状態なり。此の戦いぶりなれば高校チームにも勝てぬだらふ。既にプロとは言い難し。



              
                  
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