北極亭日乗 |
平成十五年十月 |
平成十五年十月二十八日(火曜)晴 日中一時天気晴朗に成りて此の所にては一番の暖かさとなりたり。外歩きには持って来いの日和、のんびり散歩など為して名残の柔らかき陽光に老身を晒すも亦良きなるも、女房が責っ付きおる冬備えの事どももありてそれも為せじ。その天気とて午後には曇りて雨模様、釣瓶落としの秋の陽に急かさるる外仕事一向に捗らず、歯治療の事もあり陽落ちて早ぽつりぽつりと来たれば途中なれど終わりとせり。月末の連休のんびりできぬを覚悟す。傘持ちて歯医者へ――。 消炎剤服用せしも回復せず噛むに不自由せし右上奥歯、本日遂に抜歯す。抜きしは一本なれど奥歯根こそぎ引き抜かれたる感じにて、口腔内の欠落感大なり。抜歯せる後、医師曰く「抜きし歯の手前も少々ぐらつきおる故危ふくなるも近し」。若きより歯の扱い粗雑にし来る報いなるは重々承知なれど、止血の脱脂綿噛みいる患者には強烈なる一撃にて、眩暈するが如くして我が家に辿り着きたる有様。淋しくも悲しく、亦哀れなる我が身なり。戻りて程なく銭湯に出掛けたるが原因か、午後十時になるも微少ながら出血続きぬ。 衆院選公示日。三時過ぎ、我が町内商店街に早速街頭演説をぶつ候補来るか、時折風に乗りて拡声機の声聞こへいたり。銭湯にても話題はやはり選挙にて、我が選挙区の情勢は元より全道選挙区候補の当落判定までせる者居りたれど、「そりゃ、違うべさ」「いや、その通りだべ」相半ばして談議長きに及び、皆々逆上せ気味にて湯屋を後にせり。我抜歯による出血にて口開くこと出来ず、唯頷きて聞きおりたれど、皆々それぞれに贔屓の候補有るようなれば、裸の付き合いにても下手に当落判定せぬが無難と思いつ戻りたり。 ☆ ☆ 政権公約(マニフェスト)選挙とも呼称されおる今回総選挙。読売新聞社が先頃実施せる立候補予定者に対するアンケート調査結果に依れば、政権公約が自分の主張と異なりても遵守すると答えしは全体の四割強と謂ふ。自民12%、社民16%、民主44%、保守新50%、公明55%、共産81%。此の数字、如何に見るや。 政権の選択を有権者に迫る「政権公約」を、政権を担う議員が無視するとは如何な事か。所属議員の88%が従わぬ自民の公約が有権者・我ら国民の為のものか。マニフェストを以って政権交代を訴える民主が遵守44%では有権者・我ら国民は愚弄されおる思い。各政党に自党の政権公約を支持せぬ者の数多きは何故か、各政党党首遊説の第一義は此の疑問に答えるに在り。明確にして納得し得る答え無くば「毎度お馴染みの選挙」のままにて、報道が煽るほどには盛り上がらず投票率伸び悩むは確かなり。 読売新聞に載りし主なる政党頭目の第一声斯くの如きなり。後日検証の為、記し置く。(抜粋略) 自民・小泉総裁「自民党は改革政党になった。ようやく景気にもわずかながら明るい兆しが見えてきた。今回の選挙はこの兆しを本物にするために、自民党を中心とした安定勢力のもとで改革を進めていくか、それとも小泉は退陣すべし、野党が首相になった方がいいか、そのどちらを選択するのかが大きな争点だと思う」(東京・町田市で) 民主・菅代表「今回の選挙はまさに政権交代、政権選択の選挙になった。三つの目標を言いたい。脱官僚政治、脱集権政治、脱腐敗政治だ。官僚中心、集権国家、腐敗が、国と地方合わせて七百兆円という借金をもたらしている。政権交代なくしては、腐敗の根を絶つことができない」(福岡市で) 公明・神崎代表「公明党が連立政権に加わることで、政治が安定し、生活者の視点に立った改革が着実に実現している。自公保三党の連立政権に引き続き、さまざまな改革を断行させてほしい。庶民の生活を守るためにも、庶民の生活を前進させるためにも、この選挙、勝たせてほしい」(横浜市で) 共産・志位委員長「財界が主役、アメリカのいいなり、これが今の政治の実体だ。共産党がメスを入れ、憲法通り国民が主人公の政治を作る。第一の争点は、財界のための政治から国民のための政治への転換だ。第二の争点はアメリカいいなりの政治を断ち切ることだ」(横浜市で) 社民・土井党首「今回の争点は憲法だ。自民党の公約の中には改憲の案を出すと書いてある。九条を変えれば、『戦争の放棄』を放棄することになる。最も大事なことは、戦争をしないことだ。平和憲法が危なくなってきている今、憲法の精神を基本に据え、戦争のない社会を守っていくため、頑張っていく」(沖縄市で) 保守新・熊谷代表「今回の選挙は、日本を閉塞感と鬱屈感の世界に後戻りさせるか、二十一世紀の花開く世界にするか、大変、大事な戦いだ。老後や雇用に対する不安の解消は国民の切実な願いだ。我々は、命をかけて改革に立ち上がっている。連立与覚がしっかり手を組んで、安定した政治体制を作りたい」(東京・荒川区で) 無所属の会・田名部代表「三年前の衆院選の後、多くの国会議員が逮捕されたり、辞職したりした。一体これで、国が良くなるのか。不況にして、景気対策だと言って金をつぎ込んで、景気が良くならなくても、謝りもしない。そんな方を選んだ有権者のみなさんの責任だ。次の世代の子や孫のことを考えて、少子高齢化時代にどういう国にするかということを、しっかりしていきたい」(東京・江東区で) 自由連合・徳田代表「今回の衆院選は、国民が老後の生活に安心を、子供たちが将来に希望を持てるような国にするための選挙にしたい。国民の暮らしと命を守るのが政治。とくに弱い人、お年寄り、子供に優しい温かい施策をするのが、本当の政治だ。日本に生まれてよかった、住んでよかった、老後も日本で送れて本当によかったと思える国にするために頑張りたい」 (鹿児島市で) ☆ ☆ 「地位に恋々、九州男児らしからぬ往生際の悪さよ」とこき下ろされし日本道路公団の藤井総裁に二十四日、解任辞令交付されたり。されど藤井氏、法廷闘争の構えを見せおれば決着せりとは言い難きか。 藤井氏の代理人弁護士が「解任は違法にて、一方的に強行されたり。藤井氏の名誉と人格が侵害さるる。依って解任への法的対応を為す」旨の談話を出しおる所からして、解任取り消しの行政訴訟と解任処分執行停止の申し立ての二本立てで攻め来るは必定。国交相もその腹積もりあって解任決断せしと我には思わるる故、共に悔い無き法廷闘争をば展開するが良かろふ。さすれば、解任は「改革の一端」とする小泉さんと、「疑惑隠しだ」とせる菅さんの言い争いにも決着がつくと謂ふもの。 藤井総裁の一連の行為が日本道路公団法第一三条二項「その他役員たるに適しないと認めるとき」に該当するか、「処分の理由となる具体的な事実が明示されていない」とする藤井氏側の言い分が妥当か、両者共に総裁任期切れの期日・来年四月十五日など考慮に入れず、丁々発止三百代言同士言い合ふて裁判官の判定に委ねるが適当。我らも楽しみに拝見、傾聴仕る。 石原国交相の辞表提出要求から十九日、聴聞の日から一週間経過しての結末。官僚一人の更迭に約三週間の迷走、何故に? 大臣の権限などたかがしれたものか、斯くも小さきものか。官僚の頭目は大臣の指示通り辞表を書くが慣例なれば、更迭・解任規定の法制化など不要とし来たった故の綻びか。傍目には此れも官僚支配の弊害、疲弊せる行政府の在り様を反映しての姿に見え来るが、如何。 藤井氏を拗らせし起因は何処に在りや。我思ふ、石原国交相の若さに一因在りと。藤井氏に「斯様な若造に……」の思い無きにしも非ず。その証拠に「若造に嘗められてたまるかい。一つ痛い目に」と発したるが例なるイニシャル話。政治の怖さを知らぬ洟垂れ小僧故、公の場で得々と喋るに違い無しと踏んで仕掛けた罠とせば……。そうとも知らず石原氏、恩人・小泉さんを窮地に追いやるやも知れぬ種を蒔いてしもうた。民主の菅さんは「改革の一端など真っ赤な嘘。政官癒着の疑惑隠し」と口角泡を飛ばしおる。藤井氏、己が策略見事に決まりてせせら笑いしおるやも知れず。 ☆ ☆ 衆院選公示日前の二十七日、中曽根氏「出馬せず」の記者会見を為せり。石原・都知事にとりては「宮沢氏は辞めて然るべき人だが、中曽根氏は余人に代え難き人」であったろふが、此れが事の流れと謂ふもの。「定年制を設けるのは、官僚的発想だ。若くて能力の無い人もいるし、年を取っても若い人の二、三倍働ける人もいる。判断するのは選挙民だ」と宣いし事、御もっとも。自負せる御老体に冷や水を掛けるが如き物言いするなど失礼千万、議員引退を表明したることなれば我ら多くを語るべきに非ず。長のご苦労に合掌。 ☆ ☆ 二十五日、室蘭市入江運動公園陸上競技場。コンサドーレ対大宮アルディージャ戦は、0−1でコンサ連敗。通算成績12勝17敗11分け。勝ち点47、順位九位は共に変わらず。四試合を残し今季の負け越し決定。 ★ ★ ◆28日=衆院選公示、政権選択問う戦い。景気・年金が争点、小選挙区・比例に1159人届け出。道内小選挙区40人、比例単独11人が立候補。 ◆27日=バグダッドで連続自爆テロ、34人死亡。赤十字へ車突入、復興計画に影。3警察署も標的、負傷200人超す。シリア人の男を逮捕。 ⇒コメ作況指数「90」に。全国平均最終値、10年ぶりの不作。 ◆26日=バグダッド、米国防副長官宿舎を砲撃。16人死傷、ロケット弾6−8発。 ◆25日=日本、2005年安保理入り。非常任理事国の「アジア枠」確実に。 ⇒郵便局員「客の2億着服」。返還迫られ首絞め、大阪府警が傷害逮捕。 ⇒アフガン、地方軍閥の解体開始。10万人の武装解除目指す。 ⇒年金改革に反対、イタリアでゼネスト。交通、金融窓口ストップ。 ⇒故蒋介石総統夫人、宋美齢氏がニューヨークの自宅で死去。 ⇒藤井総裁を解任。道路公団問題、国交相が通知。 ⇒珠洲原発建設、断念含め見直し。北陸電力社長が表明。 ⇒「マッハの怪鳥」コンコルド、ニューヨーク―ロンドン間で最終飛行。27年間の歴史に幕。 ⇒社交ダンスの父、中川三郎さん死去。 ⇒日本テレビのプロデューサーが視聴率の買収工作。「担当番組見て」と調査世帯に謝礼。 ⇒ヤミ金事件高金利容疑、山口組総本部を捜索。五菱会系、収益の7割上納か。 ⇒閉店後の薬局、男性刺殺。外国人?2人組、女性薬剤師もけが。 ⇒4か月の長男を床にたたきつけて殺害、25歳父親を逮捕。 ⇒校舎で女児に暴行未遂、33歳小学教諭逮捕。(八王子市) ⇒タイヤ脱落母子死傷事故、三菱自本社など捜索。業過致死傷容疑、構造的欠陥放置か。 ⇒北大医学部奨学寄付金、47教授に計5億円。昨年度、最高は藤堂氏の5200万円。 (以上、読売新聞から) |
平成十五年十月二十三日(木曜)晴 中食に温かき素麺を食して後、老いの無聊を慰めんと窓辺より路面打つ雨をば眺めおりて、不意に思い出だせり。コンサが根拠・札幌ドームにて初勝利せしは昨年の今日なるを。何故思い出だせるものか。奇妙なり。あの日は雨降りおらず晴れたる一日と記憶する。市原に1−0で勝利、天気晴朗気分爽快、札幌ドーム万歳、コンサ万歳と年甲斐も無く浮かれいた日。雨との関連にて思い出だせしものとも思われず、奇妙。J1昇格の夢潰へて何かしら抜け落ちて空洞となりし心の一部が変動を起こせし故、と強引に理由付けるも到底納得しうるものにてはあらじ。 窓の網戸外すこと、出来るなれば硝子拭き、物置の整理、新鮮トマトを供給しくれたプランター菜園の土壌の始末と手当て、散水栓の囲い、木の冬囲い用品の買い出し等々、此の月末迄に為し置く事多し。女房の催促日毎に多くなり来るも喧しけれど、我が気が急くも確かにて、残る日も僅かなれば早々に重き腰上げねばと思いおる。されど今日の雨など眺めおれば外の気配寒々しく、またぞろ億劫の虫這い出し来たりて気の萎え行くを覚ゆ。 歯周炎なるか先々週十九日より右上奥歯ぐらつき、痛みありて噛むことならず、二十日嫌々歯医者へ赴きぬ。抜かねばならぬと言ふ医師の言制して、我「鎮痛剤にて暫し様子を見たし」と強弁。なればとの医師の処方にて消炎剤を服用し来たれど、尚強く噛むことならず不快のままなれば本日再受診す。抜歯かと思いきや、今暫く薬剤を服用せんとの言。薬のみにては完治せざるを知りおりても、患者に抜歯を納得させんが為の措置ならん、次回必ず抜かれるに相違無しなど考えつ帰宅せり。 ☆ ☆ 受託収賄罪で公判中なりし鈴木宗男前衆院議員が、十八日地元事務所のある釧路市で記者会見、胃癌治療を理由に十一月衆院選への出馬断念を表明せり。八月二十九日の保釈以降、後援会回りを精力的にこなし、盟友松山千春氏と新党結成しての出馬を模索しおると聞き及びたれば、ややっ、の思い。官僚を恫喝支配せし辣腕政治家鈴木宗男を以てしても癌には勝てなんだと謂ふことか。 地元道七区(釧路、根室)にては自民・北村直人氏、民主・仲野博子氏、共産・八木靖彦氏が立候補を予定して既に余人の割り込む隙間無き状況。その上、一連の事件に対する世間の眼も未だ厳しく、自民党を離党しおる今、無所属にせよ結成新党からにせよ出馬せば苦戦は必至。 今回は見送りたきが本音なれど、出馬せなんだらこれ迄の無罪主張の意味が無い。されど出馬して敗るれば禊にはならず、国会への道永遠に閉ざさるるやも知れず。ジレンマに陥りおる時、まさかの胃癌診断。禍転じて福か。鈴木本人は勿論、盟友松山も胸撫で下ろしての出馬断念に思われてならじ。 松山氏、テレビなどにての愚にもつかぬ宗男擁護論は頂けなんだが、かくなりし盟友鈴木を見捨てることなく支えんとせる信義見事、天晴れなる心栄えなり。それのみ感服仕りて候。 ☆ ☆ 自民党の比例選単独候補七十三歳定年制の例外無き実施に向け、小泉首相の中曽根・宮沢両氏への対応が注目されおりしが、今日午前、両氏に不出馬を要請せり。 宮沢氏は「首相に恥かかせぬ」と引退を表明せるも、中曽根氏は「総理・総裁をやった者に対して、突如として爆弾を投げるようなものだ。一種の政治的テロだ。こんな非礼なことは無い」と要請を拒否したり。 中曽根氏八十五歳、宮沢氏八十四歳。平均寿命が延びおるとは申せ御高齢であるは確か。外見未だ矍鑠として見ゆれど、御二方の体力知力の衰え隠し難し。議員の老害を云々する者も多ければ、惜しまるる内に引退するが良きものを、ちと長過ぎの感あり。要請を待たず「進退は、自らが判断するもの」なるに、老齢で決断力が鈍りおったかや。 中曽根氏にせば「自ら判断しての出馬。口出し無用」だろふが、傍目には狭量狷介なる老人の我が儘にしか見えず。御当人は「老人がいらないという印象を持たせることになれば、全国の老人は、みんな反感を持つ」と語るが、そんなことはあるまい。全国の老人の殆どが引退勧告したき思いやも知れず。我老人の一人として言いたし。「老人を出しに使ってくれるな」 ☆ ☆ 田中真紀子氏出陣準備に入りたる模様にて、二十二日、自民党本部並びに党新潟県連に離党届を提出の由。後援会は党との関係悪化を懸念するも、無所属の自由な立場で戦ふと真紀子氏自ら決断せしと謂ふ。「おやめなさい」の我が声ついに聞こえなんだか。さて、党を離れて自由の身となりし真紀子氏、自民・小泉批判始まるか!? ☆ ☆ 有栖川宮家を名乗りて結婚パーティーを開き、祝儀1200万円を詐取せる自称有栖川識仁殿下。新聞写真にて御尊顔を拝し奉ったれど、誰が見ても納得の阿呆面。如何に衣冠束帯の古装束に身を包みても素性は一目瞭然、騙されるとは思わぬが……。信じたが愚か者、己の不勉強、不明を恥じるほか無し。 肩書、権威に弱い、取り分け皇族方と聞けば畏まる日本人の習性を利用せし詐欺数多在れど、祝儀狙いとはせこい。おまけに記念撮影料一万円となれば、何をか言わんや。名を騙られし有栖川宮も泉下で嘆きおろふ。「我が宮家を名乗るなれば、世を動かす程の大博打うってみよ。我が臣民の財貨騙し取るの破廉恥嘆かわし。我望みし世に非ず、げに浅ましき世になりしとは……」と。 皇室を愚弄するが如き斯様な行為、右翼団体の格好の標的にてある筈なれど未だ成敗されたるを聞かずを不審に思いおりたれば、なんと此の御方かつて右翼団体名誉総裁にてもありしと。さても亦、驚き桃の木でんでろでんのこんこんちき、十年以上前より有栖川宮を名乗りおった由。世界に冠たる週刊誌、ワイドショー、経歴詐称を暴くはお手の物と思いおりしに十年も手付かずとは如何な訳? 方々も亦、権威、皇族方には弱き類であったるかや。 宮様の仰せに従い燕尾服にて参列せし俳優、タレント等芸能人と称せる御歴々に畏み畏みまふす。 ☆ ☆ 最高裁は二十一日までに、東電女性社員殺害事件のネパール人被告の上告棄却を決定せり。此れにて二審東京高裁判決「無期懲役」が確定。 直接証拠、自白共に無く、状況証拠のみにての裁判となれば事実認定は難しく、証拠評価は裁判官の心証次第。一審無罪となりても二審で覆るも已む無き事。最終判断せる最高裁が二審裁判官の心証を支持するも亦当然有り得る事にて、判断の杜撰を示すものに非ず。外国人犯罪の多くは自白を得られず状況証拠を積み重ねての立件となる故、同様事例は数多あり増加の傾向と思わる。 弁護側は「客観的事実を無視した明白な誤判で、冤罪」と主張しおるが、一審にては刑事裁判の原則「疑わしきは罰せず」の姿勢を貫き、二審にては一審が疑わしとした点を事件全体から見れば「被告が犯人か否かに関わり無し」と判断し、最高裁が二審判断を「記録を精査しても、判決に影響を及ぼす重大な事実誤認無し」と支持せるものにて、冤罪と断定し得るものにあらじ。 確かに状況証拠のみにての事実認定は、如何に慎重且つ細心に為したにせよ事実そのもでは無く、常に冤罪となるの危険性は免れ得ず。が、冤罪を恐れるの余り、事実犯人であるかも知れぬ者を無罪とするの危険性も亦考慮されねばならぬ。状況証拠が被告を犯人と認定するに足る高い蓋然性を有するなれば、有罪と判断すも妥当ならん。 ☆ ☆ 十八日、等々力陸上競技場。コンサドーレ対川崎フロンターレ戦は、0−1でコンサ連勝ならず。通算成績12勝16敗11分け。勝ち点47、順位九位は共に変わらず。 六連勝中、J1昇格圏で戦うチームの迫力を見せつけし試合。シュート数25対2にてはコンサ・サポーター応援の為所無し。観戦するに忍びない、と謂ふより苦々しく腹立たしき思いが優位。25本も打ち込む怒涛の攻めに1失点で済みしも守備陣の活躍に非ず、川崎の詰めの粗さに助けられただけにて内容的には完敗なり。 ★ ★ ◆23日=中曽根氏が不出馬要請を拒否。首相、公認しない方針。宮沢氏は引退表明。 ◆22日=米で代理出産、子と認めず。法務省が出生届を保留。双子男児、外国人登録し帰国。最高裁判例は「出産で母と認定」。 ◆21日=イスラエルがガザ空爆を続行、7人死亡。犠牲者すべて一般市民。 ◆20日=日米中韓露各首脳会談、6か国協議早期再開へ足並み。北に働きかけへ。 ◆19日=対北朝鮮、安全保証を文書化へ。米中首脳が一致、20日に両国外相が協議の予定。 ◆18日=鈴木宗男氏が衆院選への出馬断念、胃がん治療理由に。 ◆17日=ブッシュ米大統領来日、日米首脳会談。北朝鮮へ「安全の保証」、米大統領が言及。 ⇒中国初の有人宇宙飛行船「神舟5号」帰還。 ⇒知床「世界遺産」登録へ。海域含みは国内初、2005年6月にも。 ⇒イラン「追加議定書」締結へ。IAEAと合意、各施設の強制査察容認。 ⇒ヤンキース、Wシリーズ進出。劇的サヨナラ、松井も2安打。 ⇒テレ朝ダイオキシン報道、農家側が実質逆転勝訴。最高裁が差し戻し「真実の証明ない」。 ⇒日本・メキシコ、自由貿易協定最終合意できず。一部農産品など対立。 ⇒阪神星野監督、勇退へ。体調不良でGMに、後任は岡田コーチ。 ⇒校長試験、教頭がカンニング。都内公立小、一般教諭に降格。 ⇒「がんばれ!ニッポン!」使えない? 東京高裁判決「ドクター・中松氏の登録商標」。 ⇒警官の銃奪い自殺図る。傷害事件の男、千葉の交番で取り調べ中。 ⇒埼玉・岩槻で強盗追跡中、銃?向けられ警官発砲。胸に命中、男重傷。 (以上、読売新聞から) |
平成十五年十月十五日(水曜)曇 ジャンパーを纏いて自転車道を行くも寒し。沿道の木々紅葉して曇天の下、散り行くも見ゆ。昼下がりなるもそぞろ歩く人影無く、時折吹き来る風思いのほか冷たく感ず。眼前を横切りたる老猫、寒さを逃れんと家路を急ぐの姿ならん。 昨日、手稲山にて初冠雪を観測。陸別にては今秋最低の氷点下2.5度、阿寒、浦河、上士幌にても氷点下を記録せり。札幌は降ったり止んだりにて、正午の気温10.9度。朝吐く息白く、女房「寒し」とて終日暖房に火を入れおりし。我も亦「降りみ降らずみさだめなき時雨ぞ冬のはじめなりけり」かと、思い居たり。 ☆ ☆ 今日十五日午前十時(日本時間)、中国は飛行士一人搭乗の初の有人宇宙飛行船「神舟(しんしゅう)5号」を内モンゴル自治区・酒泉衛星発射センターより長征2号Fロケットにて打ち上げ、約十分後に地球周回軌道に乗せることに成功せり。 遂にの思いで中国の有人宇宙飛行船打ち上げの報を聞きたり。ロケット少年なりし幼き日より、日の丸の付きし宇宙船打ち上げを待ち望みし。一九六一年のソ連、米国に次ぐは我が日本と信じ居たに。ケネディーが如く月面着陸の巨大プロジェクトとは申さじ、有人宇宙船一機すら打ち上げられなんだは如何な訳か、歴代総理の方々に訊ねたし。 追記。十六日午前七時二十三分(日本時間)、「神舟5号」は内モンゴル自治区中部の草原地帯に美辞着陸、帰還。 ☆ ☆ 十日午後一時五分、衆院解散せり。森政権時の二〇〇〇年六月「神の国解散」以来、三年四か月ぶりの解散となりし。議場での万歳、代議士が一瞬にして唯の人に変わる故、やけくそで気勢を上げおる姿とかや。確かにバッジ無ければ、横丁のはったり利かせの小父さんに過ぎぬだろふ面々故、明日の我が身の在り様を考ふれば、万歳でも為して気勢上げたき気分か。 総裁選、組閣に慎重に対処しつつ、解散時のタイミングを計り来たった小泉総理。さてこの解散、小泉・自民党に吉と出るか凶と出るか。各党、各議員選挙戦への態勢整備を急ぐ中、事実上選挙戦はスタート。二十一世紀初の総選挙(第四十三回総選挙)は二十八日公示、十一月九日投票の日程で実施するを閣議決定。 今回総選挙、自民対合併民主の二大政党による政権奪取争いの様相と見るが妥当か。小泉構造改革路線の是非を問ふ自民、政権交代をかけて対決の合併民主、共にマニフェスト(政権公約)を掲げての選挙戦。有権者たる者、熟読吟味して投票に臨まねばなるまい、とは思ふが、抄訳マニフェスト・骨子等を読む限りに於いては両者共に不完全の謗り免れ得ず、判定なかなかに難し。 ☆ ☆ 十二日行われし第五十六回秋季全道高校野球決勝戦。鵡川が駒大苫小牧を7−3で下し、初優勝せり。天晴れのほか無し。一昨年秋季道大会ベスト8と健闘、昨春「21世紀枠」で選抜初出場して一勝せしは記憶に新し。着実に実力を培い、今大会優勝を成し得たも厳しい練習の成果ならん。鵡川球児に絶大なる拍手を送る。 チームを率いる名伯楽・佐藤監督は日頃、「野球の神様が見ている」が口癖とか。心底練習に打ち込み努力を重ねねば、上達は無い。神様が感心するほど練習せねば本物には成れぬ。そして、神様は感心な者を助けるものだ。と謂ふ意味か? 鵡川球児には、野球の神様の存在を信じて疑わぬ純な心が在る。それ故か、彼らには「艱難辛苦汝を玉にす」を信じて疑わぬ純な心が在る。若者の「純な心」は何事も成し得る強さを秘める。来春の選抜甲子園での活躍、野球の神様も目を細ふして見守るに相違無しを信じ、鵡川球児にエールを送りて止まず。 ☆ ☆ 九日付読売社会面。「小4に『生きる価値ない。飛び降りろ』」の横大見出し。一読絶望、世も終わり、情け無いやら阿呆らしいやら、大声上げて叫びたき気分抑え難かりき。「生きる価値無きは己ぞ。飛び降りろ」。福岡市の四十六歳男性教諭が、小学四年男児に差別発言や暴力等の「いじめ」を繰り返し、両親らが損害賠償を提訴せるの報。「師の深き恩愛」などは最早死語か。 いじめの一端、次の如し。男児の曽祖父が米国人と知りて、「汚れた人間は生きる価値がない。自宅マンションから飛び降りろ」と暴言。授業中に男児の学習道具を「汚い」とて捨ておった。「アメリカ人は頭が悪いから向こうに行け」と邪魔者扱い。十秒以内に帰り支度をせよの無理難題を命じ、出来ずば「刑」と称して鼻や両耳を引っ張る体罰を一か月近く繰り返し、鼻血、切り傷、歯を折るの傷害を負わしめた理不尽なる振る舞い――等々。 末世も極まりたるの感なれど、斯様な教諭を創り育てきたは事実。今回たまたま度が過ぎて顕在化せしも、恐らくは全国各地に同様教師が五万と潜在せるに違い無し。考へるだに恐ろしきことなれど、日々報じられおる教育現場の荒廃からも窺い知らるる所なり。 それにしても責任は何処に在りや。四十六歳教諭が「誰のせいでもありゃしない、みんなおいらが悪いのさ」と謝罪、賠償に応じて一件落着と言へるか。責任を加害教諭一人に帰するを以って解決と成し得るか。教師たるに足る人物を選抜、教育したは誰か、教師たるに足ると登用せしは誰か、教師たるに足ると判断を下す者を任命せしは誰か……誰だ……誰だろふ……誰なのだ。突き詰め行けば、日本に生き来たった人間全て、被害児童の両親は元より被害に遭いし児童ですら、この事象への加担と責任を否定できぬのではなかろふか、と考へ…… 松尾祐作・福岡教育大学長(教育心理学)の話「事実とすれば、常軌を逸した行為で論外だ。ゆがんだ社会の構造も、こうした教諭を生み出す一因になっているのではないか。社会に子供を育てる力がなくなってきていることを痛感する」(読売新聞から)。痛感しおるは誰しもの事、それ故如何せば良いのか発言すべきが教師を育てる立場の貴方ではないか。 ☆ ☆ シュワちゃん知事になりたるの記。俳優アーノルド・シュワルツェネッガー氏(56)(共和党)が米カリフォルニア州知事選で当選。氏の故郷オーストリア・シュタイアマルク州タール村にても村民こぞりて祝福しおる由。先ずはめでたしながら、巨額財政赤字の立て直し容易ならず、又ぞろリコールと相成るやも知れず。 解職知事は十一か月前に再選されたばかりにて、然したる失政も無きにリコールの憂き目。カ州にては前回知事選投票者数の12%の署名を百六十日以内に集めれば、リコール投票請求可能らし。しかも、署名集めを業者に委託するも認められおりて、相場は署名一人につき一ドルとぞ。 実は今回リコール投票も、自ら知事選立候補を目指す金持ち共和党下院議員が百七十万ドルを出し、実現させしものと謂ふ。本人はシュワ氏の登場により選挙戦から脱落、金で企てし知事への夢も水泡に帰したりと。此れも民主的な制度なるか。奇妙にして面白しと雖も、我なかなかに納得し得ぬ制度なり。 ☆ ☆ 十一日、札幌厚別公園競技場。コンサドーレ対サガン鳥栖戦は、4−1でコンサ快勝して五試合ぶりの勝利、連敗を脱す。通算成績12勝15敗11分け、勝ち点47。順位九位は変わらず。 ★ ★ ◆15日=中国が有人宇宙船打ち上げ。「神舟5号」地球周回軌道に。旧ソ連、米に続き成功。 ◆14日=バグダッド、トルコ大使館前で自爆テロ。職員ら6人負傷。 ◆13日=イラク復興、米が再修正決議案。政治日程作成は12月15日までに。 ◆12日=バグダッドで自爆テロ、6人犠牲。米当局者ら利用のホテル前。 ◆11日=韓国全閣僚が辞表、盧大統領は受理拒否。 ◆10日=衆院解散、総選挙へ。28日公示、来月9日投票。「小泉改革」是非問う。 ⇒バグダッド警察署に自爆テロ、8人犠牲。スペイン武官も銃撃され死亡。 ⇒イラク調査団帰国、派遣基本計画策定へ。任務や地域盛り込み。 ⇒自民政権公約、郵政民営化「来秋結論」。反対派に配慮“玉虫色”決着。 ⇒りそな、赤字1.7兆円に。中間決算、貸し倒れ引当率上げなどで。 ⇒東京円一時108円台、株続落1万531円。NYも一時108円台。 ⇒ポスフール40%以上減益。中間決算、冷夏響き過去最悪。 ⇒福島女児連れ去り。55歳男、1か月ぶり逮捕。略取・逮捕監禁容疑「かわいかったから」。 ⇒山梨3遺体。元社長「殺して埋めた」、知人の会社役員に漏らす。 ⇒岩見沢市職員を逮捕、移転補償費980万円だまし取る。 (以上、読売新聞から) |
平成十五年十月八日(水曜)曇 齷齪せる己にも嫌気、訳の分からぬ世間の騒々しさにも嫌気。山奥、孤島に隠遁したき思い募り来たれば逆療法。新しく店開きせし居酒屋に赴き、酔客の怒声、嬌声、笑ひ声など聞きつつ串揚げ肴にビールなど呑みたれば早気分は南国の孤島。おでん大根頬張りて燗酒呑みおれば騒音の坩堝も静寂支配せる山深き隠者の庵。肴の旨み、酒の芳醇を探り楽しみおれば飽きること無し。やがて酔い到来せば、憂さ消えて揚々家路を辿り来たりぬ。 今宵、気分良く熟睡するを疑わず、これより入床せん。さらばでござる。 ☆ ☆ 何やかや気の滅入る事のみ多く、我ら老人には耐え難き世情なれど、余命を思わば前向きに生きて我らが周囲のみにても明るくせんと女房と語りしも束の間。千葉で十六歳少女が焼殺され、犯人は二十二歳夫と高三を含む遊び仲間四人の報。 被害者、加害者双方の親は何処に在りや。四六時中、我が子を監視せよとは言わぬが、親の存在感がこうも稀薄なるは如何なことか。何故だ、と考へおれば血圧上昇。目眩して気持ち悪しくなり来たれば、中止す。 ☆ ☆ 「おれ、おれ詐欺」とやらにて爺婆のなけなしの貯えをば騙し取る不届き者を叱る間も在ればこそ、今度は高齢者を食い物にしおる新手のヤミ金業者出現せり。民間の金融業者が年金を担保に融資するは法律で禁止されおる故、福祉医療機構の年金担保貸付制度をば悪用して高金利で融資する手口にて、月に二百人に融資、此れ迄数億円の金利を稼ぎしとかや。 我が子可愛や孫愛しの、爺婆の温い思いを利用して詐欺を働くとは如何な性根の持ち主か。年金頼りの爺婆の急な入用に付け込んで安全確実な担保を強要、然も高金利で貸し付けるとは如何な心根の持ち主か。己らに爺婆は居らんのかや。罰当たりめが。 老人に斯様な仕打ちを為すは鬼畜非道の輩なれば、必ずや桃太郎侍現れ出でて成敗してくれんと思ふも、方々に悪蔓延りて忙しき身なれば早々には叶ふまじ。なれば我ら爺婆も自衛策をば考へ、気力に余裕あらば不届きなる者どもを懲らしめやらん。 「おれ、おれ」には「なに、なに」を以って対処すべきこと。電話ありたれば、「何? 何だって? 耳が遠くなって、電話じゃよく聞こえません。話があるなら家に来なさい」と謂ふて切るべし。孫本人にて頼み事あるなれば、距離の遠近に関わらず訪ね来るものなり。来なんだら、孫ではなかったと言ふこと、孫だったとしても然したる頼み事ではなかったと言ふこと。心配はいらぬ。 まだまだ気力横溢、若い者には負けぬと云ふ爺婆は遠慮無く言ふてやれ。「おやそうかい。そりゃ大変だ。だけどね、困った時の爺婆頼みされたって、無い袖は振れないよ。貧乏は知ってんだろ。たまにゃ、小遣いでも欲しいね。洟垂れ小僧じゃないんだから、自分で仕出かした事は自分で始末しなさいよ。何時まで経っても大人になれないねぇ、お前は。じゃあ切るよ」。これで寄り付かなくなる孫なれば、慈しむに値せぬ故、孫と思わぬが良し。 ☆ ☆ JR東日本よ、しっかりせい! 先月二十八日に電気配線ミスでJR中央線が混乱、通勤時十八万人に影響せしが、今度は六日、京浜東北線が四時間運休で通勤客十三万人に影響出しと云ふ。保守作業の後、線路内に置き忘れた工事用重機のショベル部分に電車が接触したるが原因とぞ。責任を自覚して自身の仕事を遂行する限り起こり得ぬ事故。呆れたり。 「出した玩具は仕舞いなさい。後片付けはきちんとして」と親が子に口喧しく言ふが如くに、指図されなんだら何も出来ぬのか。スコップならばいざ知らず、重機を「置き忘れた」とは解せぬ。「近々、また使うから置いとけ」の安易な考へなかりしか。 作業現場からの撤収に際して作業用具を残し置くは到底プロと申せず、斯様に粗雑な意識の持ち主を、万一の場合多くの人命に関わるやも知れぬ工事に携わらせたJR東日本の体質にも問題ありと認む。「JRの工事は関連会社へ発注するが当然」の思い無きや。馴れ合い受発注の恒常化がもたらす弊害として、現場の安全管理意識が弛緩しおるとせば大問題なり。 ☆ ☆ 三日明らかになりし道警不祥事、やはり此の組織の腐敗の度深し。飲酒運転二人、万引き一人計三警官の処分を公表せなんだことにつき監察官室は「警察庁の指針に沿い、勤務時間外に起こした不祥事の処分は、免職と停職のみが公表対象」故と釈明しおる。 そもそも警察庁の指針自体が生温かろふ。不祥事は軽重なく不祥事に変わりなく、勤務時間外だろふが時間内だろふが不祥事の本質は変わらぬ。公表に差をつける必然性那辺に在るや。警察官たる者、二十四時間常に警察官たるの本分忘るべきに非ず。 全ての不祥事を公表せば日常業務に差し障りが出る程の多さ故か、はたまた不適格警官の多さ延いては警察上層部の指導力統率力の無さを隠蔽せんがためか、警察庁の指針なるものも作成したは地位権力に恋々とせる上層部と思わば已んぬるかな、か。 昨夏の稲葉元警部事件を扱ったノンフィクション『北海道警察の冷たい夏』(曽我部司著、寿郎社刊)に登場せる警察官の面々も道警組織の隠蔽体質を口々に語りおる。此はやはり、先ず以って「無能の人」から排除せねばなるまい。 道警組織の中枢は警察官僚と聞き及びし通り、警察庁指針に忠実に則り処理しおる。確かに、同一管轄地域でひと月に三件の不祥事では言い訳できまいし、自らの無能力を曝け出すが如き事は死してもしまい。稲葉事件当時の組織と現在と如何変わったか。 先の制服ネット販売警官、今回の不祥事警官共に個人の警察官としての資質を問ふは易けれど、背後の組織の在り様を看過してはならじ。稲葉事件を契機に腐敗疲弊しきった組織蘇生のため連発せる改革案の趣旨は何処へ消えしや。掛け声のみの改革にては蘇生叶わじ。上部の事勿れ主義が確実に下部を蝕みおる。治療は急を要すと知れ。 ☆ ☆ 田中真紀子元外相は五日、地元新潟県長岡市で記者会見。「支持者の皆さんから立候補すべしとの熱い思いをうかがい、大変重く受け止めている。天命の重さを非常に強く感じた」と述べ、再出馬の意思固きを印象付けたり。 我慨嘆す。「天命」なるもの、斯様に軽きものと成りたるかと。彼女の感じたる「天命の重さ」如何ほどか。天に甘えてはならじ。天命の重きを知らば、「代議士になるなど、おやめなさい」。 「支持者の皆さん」が誰で、幾人いるかを承知の上での物言いなりしや。己を客観視できぬお人に何を申しても無駄か、と思い居れば再出馬確定の様相なり。八日、長岡市の地元事務所が「元外相は無所属で新潟五区から出馬する」と発表せり。離党を視野に入れての無所属出馬らし。 ☆ ☆ 日本道路公団民営化につき予ねてより悪評紛々の藤井総裁、五日に石原国土交通相に辞任を求められしも、六日、「自ら辞表を書くことは差し控えたい」として辞表提出拒否を国交省に伝えたり。同省、解任手続きの方針なれど、順調に事運ぶやは予測し難し。 これまでの発言、国会答弁等々を参酌せば誰が眼にも辞任は当然、寧ろ遅きに失したの感。「私は地位に恋々とはせぬ」と公言して憚らぬ様なるも、傍目には「恋々」以外には映り申さず。出所進退の機を弁えず頑なに老害の弊を晒しおるは、ただただ見苦しく、駄々を捏ねて舞台にしがみ付くが如き有様、醜悪なり。 ☆ ☆ 観測当局が十勝沖地震の後、向こう十日間の内に同程度の余震発生の可能性を予測、津波の危険性も十分考えられる故、対策を怠らぬよう注意を喚起せる中、阿呆な釣り人が浜に繰り出しおると言ふ。何を考へ……否、何も考へおらぬ無思考人間の蛮行なれば問答無用、津波に攫われてみるがよかろうふ。 先の地震による津波で三人の釣り人が行方不明のまま未だ生死未確認で、捜索続行中。大掛かりな捜索の模様を眺めながら釣りに興じいる輩がいると聞きて、言葉無し。無神経にも程がある。「てめえら、人間じゃーねえ」の声が聞こえ来る。 トラ気違いの頓堀ダイブと同根なりせば、対策など無し。こも亦、好きにさせ置くがよし。注意喚起の折、関係当局挙って「万が一津波にて行方不明となりても、一切の捜索は為さじ。当方関知する所にあらず、責任は全て本人に帰するもの也」と布告するがよし。注意喚起されずとも、状況を考ふれば自粛すが当然の時に、浜辺で竿を振る輩への心配など無用なり。 ☆ ☆ 四日、広島ビッグアーチ。コンサドーレ対サンフレッチェ広島戦は、0−1でコンサ今季初の四連敗。通算成績11勝15敗11分け、勝ち点44。順位九位は変わらず。 先制後の広島の守り鉄壁にして、昇格の目標持ちおるチームの強さを見せつけたり。前節、J1昇格消滅せし折、残り試合に全力を挙げよと記したるも、今日の試合の無様さ何たる事か。開始早々ミドルを決められるなど以ての外。集中力の弛緩、眼を覆うばかりなり。相手の強さ、だけでは済まされぬ。来季の再生、程遠し。 ★ ★ ◆8日=米加州知事選、シュワルツェネッガー氏当確。メディア一斉報道、リコール成立へ。スキャンガル超え…不死身のヒーロー。シュワ氏、勝利宣言。 ◆7日=トルコ、イラク派兵決定。イスラム圏初、7000―1万人規模か。負担軽減切望の米政府に朗報も、イラク統治評は派兵拒否か。 ◆6日=チェチェン大統領選、官製候補・カディロフ氏当確。親露政権誕生へ。 ◆5日=イスラエル、シリア領内を空爆。パレスチナ過激派に報復。 ◆4日=イスラエル・ハイファのレストランで自爆テロ、19人殺害。 ◆3日=イラク支援、基盤整備に242億ドル。世銀・国連、総額550億ドル提示。 ⇒陸自先遣隊150人前後、12月イラクへ。政府方針、本隊は年明け以降。 ⇒核実戦使用の脅威指摘、露が新軍事ドクトリン。ブッシュ戦略模倣「先制攻撃排除せず」。 ⇒イラン、IAEA代表団と協議開始。「疑惑」電機工場への対応カギ。 ⇒「使用済み燃料棒8000本の再処理終了」と北朝鮮の外務省報道官が明言。 ⇒米・カリフォルニア州住民、ウイルス感染でマイクロソフトを提訴。 ⇒銀行税返還額を正式発表。みずほ581億、三菱東京419億、三井住友403億、UFJ256億円。 ⇒ドコモ9社、120億課税取り消し提訴。PHS回線使用権めぐり。 ⇒出光タンクさらに6基、出火の恐れ。道、苫小牧市が対策本部を設置。 ⇒ナフサなど石油貯蔵タンク863基を対象に、道が初の一斉調査。知事が「道石油コンビナート防災計画」を見直す考えを示す。 ⇒鎌倉の獣医師宅で3、4人組が夫婦を縛り3400万円強奪。 ⇒千葉の墓地駐車場、焼死体は16歳少女。未明までアルバイト。 ⇒67歳「おれおれ詐欺」。71歳女性から三度、計700万円。 ⇒パーキンソン病治療に道、サルで症状改善。京大教授ら、ES細胞から作製の神経細胞で。 ⇒琥珀の中に8500万年前のアリの化石、福島で発見。 (以上、読売新聞から) |
平成十五年十月一日(水曜)曇 台風が来て、地震が来て、慌てふためきおるうちに早や十月とはなりぬ。さしたる目標も立てず時日に追われ流され来たりし九か月。残り三月と思わば覚悟も出来、老いの身なればそれらしく悠長に暢気に暮らし行くが良しと心に決めたれば、後はケセラ・セラの境地にて木々の紅葉を眺め、散り行く風情楽しむのみ。 とは申せ、斯くも騒がしき世なればそれも叶うまじき事にて、今年も亦、大晦日のどん詰まり迄あくせく暮らし行くやに思へてならず。ただ時の流れに身を任せ漂い行くのみなれど、老いて尚泰然自若の域遠く気忙しく生きおれば已む無きことならん。 ☆ ☆ 出光興産北海道製油所(苫小牧市)ナフサ貯蔵タンク火災は三十日午前六時五十五分、発生から四十四時間を経て漸く鎮火せり。テレビにて観る炎、黒煙の様相凄まじく、市民の不安いかばかりかと思いつつ、ただただ推移を見守るばかりの身にてあれば、鎮火の報、他人事にあらず安堵す。 此は、またしても危機管理に無頓着、金を出し惜しむ経営者が起こしたる人災と言ふのほか無し。幾度火を出せば目覚めるのか。石油コンビナート等災害防止法の存在などとんと気にせぬ、とにかく金儲け――の姿勢のみが見て取れる。 此れ迄、火災の度に平身低頭陳謝謝罪せるも、安全管理・危機管理は何ら改善されなんだ。今回の火災につき最初、何と「天災によるもので、人災ではない」と発言、鎮火後に「ほぼ期待通りの結果、予想の範囲内」と宣いし幹部がおったが、全くもって語るに落ちるの言なり。 地震にて損傷せるタンク他にも在りて、発火の可能性も残りおると聞き及ぶ。破損タンクの油の移送等後始末を考ふれば、製油所平常操業までの道程は険しかろふ。事此処に至りて悔やみても遅し。市民を恐怖・不安の淵に陥れたる罪、貴重なる石油資源を無駄にせし罪共に軽からず、相当の罰は避けられぬが天の摂理なり。 金儲けの筈が莫大な出費を背負ふことになりたるも皮肉に非ず、当然の帰結。其れも自業自得なれば已む無しと知るべし。更に道警、苫小牧消防本部が出光の責任を追及するも亦、当然の行為。今回の火災は天災に非ず、天災に伴のふ人災なれば、責任を問われて然るべきと思ふは我のみか。 事あるごとに企業トップの危機管理意識の低さ指摘され、その都度反省の弁頻りなれど、喉元過ぎれば知らぬ顔ではどうにもならぬ。金儲けより安全対策を優先せよ。災害は必ず起きるものと考へ、防災、消防設備を完璧にして、既に老朽化しおるプラント施設の更新を急げ。防災訓練、マニュアル作成などリスクコントロールの徹底は言ふまでも無し。 ☆ ☆ 西区選出・高橋秀典市議(34)と実父に対する公職選挙法違反(現金買収、事前運動)の判決公判が三十日、札幌地裁で開かれ、秀典被告に懲役一年六月の実刑判決を下せり。秀典被告は「身に覚え無きこと」とて控訴の意向なれば、刑の確定は先のことにて、あれこれ記すは憚られるも、「火の無い所に…」と考える故、判決を聞きて思いたる事のみは記し置く。 何故に選挙違反が絶えぬのか。しかも現金買収、票の取りまとめに対する報酬。五月十五日に渡島支庁区で再選の河野光彦道議(62)が公選法違反(現金買収)で逮捕されたるも腹立たしく、旧態依然たる選挙手法が今尚繰り返されおるも情け無き世の中なりと嘆きおりたれば、此度は因習を打破し旧弊を退けるべく立候補せし清新の三十四歳が金権選挙の汚濁に塗れたると謂ふ。世情混迷せるとは申せ、老いも若きも何を考えおるか。 金で議員になりて何を為そうと考えおるや。三十有余にして斯様な心根では先々何事も為しえず、議員など務まる筈も無し。市議の地位など早々に諦め、地道に平凡に暮らすことを考えるが賢明なり。我が子の為と手を貸せし父親も哀れなれど、分別を忘れての盲愛は見苦しき限りなり。此の後は我が子の善導に努め、共に平凡に末永く仲良く暮らすを思案するが肝要と思へてならず。 六日追記。高橋秀典市議、辞職す。当然の身の処し方なり。この後、控訴審の結果がどうあれ、二度と議員などになろうと思わぬがよし。 ☆ ☆ 東京地検特捜部は三十日、公設秘書給与流用疑惑、詐欺容疑で告発されおりし田中真紀子元外相を不起訴処分(嫌疑無し)とせり。田中氏「私の秘書給与問題が事実無根と証明されたことは、当然のこととはいえ、嬉しく思います」とのコメントを出せり。 特捜部が詳細に捜査し、検討したる上での結論なればそれでよし。一時、週刊誌を賑わせおった田中氏周辺、元秘書等からの告発記事も尻すぼみのままに終了して、最早その真偽も闇の中、糺すすべも無かろふ。また給与支給の経路が複雑不自然なるも、秘書の手に給与が渡りおるを考ふれば文句無かろふとも思ふ。失礼ながら此れしきの事、やいのやいのと謂ふべき事にてもあらず。 が、さて、告発せし者は如何に思ふか。田中氏を完膚無きまでに打ちのめし、議員生命を永遠に断つことを目論んでおったとせば、この不起訴には不服。検察審査会に審査を申し立てるに相違無し。 田中氏のコメントを読み、嬉しさついでに「衆院選出馬」などと言い出さぬがよしと思いおりたれば、今日の新聞一面に「田中元外相出馬へ、5日に地元で表明」の見出し。我常々「議員などお辞めなさい、政治の世界から身を引きなさい、引退しなさい、市井の小母さんとして生きなさい」と言い来たれば、残念なり。失礼ながら、この御仁も…… ☆ ☆ 宅間被告、自ら控訴を取り下げ死刑確定せり。大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件で八月二十八日に大阪地裁で死刑判決の後、被告弁護団が九月十日に行った大阪高裁への控訴を自ら取り下げての死刑確定なり。事此処に至りては、弁護団とて取り下げの有効性につき申し立てを為す能わず。 以前より控訴取り下げの意向を明言せること、宅間被告のこれ迄の言動を鑑みれば、我が胸中に虚しき思い充るも驚かず。 被害関係者へ一言も謝罪無く、法廷にては傍若無人悪態を吐く宅間被告を、遺族は如何な思ひで見詰めいたか。思ふだに切なし。殺しても殺し足りぬと謂ひおりしが、「死刑」で納得できたるや? 容易に忘れ難きは、己の命も他人の命も軽んずる宅間被告の傲慢不遜な在り様なり。ただただ心の闇の深さを思ふ。そして考へる。何が彼をそうさせ、何故に斯様な人間が存在するのか……と。生命への畏れを持たぬ生物の存在は許されるのか、生存の価値はあるか。人間の存在そのものが生命への脅威ではなかろふか。殺人も自殺も、はたまた「死刑」と云えども尊い命に対する不遜行為ではなかろふか。 ☆ ☆ 長崎男児殺害の加害者少年(12)に対する少年審判が二十九日開かれ、長崎家裁は「少年を児童自立支援施設に送致する。少年に対し、九月二十九日から向こう一年間、強制的措置をとることができる」との決定を下したり。収容期間について、家裁は「少年及び父母への対応の困難さや少年の性的嗜好や関心、行動の変化を見極めるには相当時間がかかると予想されることからすると、かなり長期間にわたる収容が必要である」とせり。 親はなくても子は育つと言ふが、現今は未熟、身勝手な親が居るばかりに子が真っすぐに育たぬ例多し。この事件も一例に思われてならず。如何な親か。家裁決定の中に、被害者父親の意見陳述の中に、その姿垣間見ゆ。 家裁決定に曰く、「少年と父母との親子関係が本件非行に与えた影響は大きく、父母としては、少年が残忍な非行に及んだことを真摯に受け止め、少年あるいは家庭における問題点を真剣に考え、遺族に対してもできる限りの謝罪の措置を講じる必要があるのに、少年及び遺族への対応は十分なされていない」と。更に「少年の更生には父母の協力が不可欠である……が、これまでの親子関係、少年の問題行動への対応の仕方及び父母の性格などからすると、処遇機関が父母の協力を得るにはかなりの困難が予想される」とも。 九月二十四日長崎家裁での被害者父親の意見陳述に曰く、「少年の両親はこの事件についてどう考えているのか、私には全く理解できません。自分の子供が殺人を犯したことを信じられないという理由だけで一月半以上も現実から目をそむけ、何処に居るのかさえ分からないように雲隠れした卑怯な行為は許すことができません。また私たちが望む形での謝罪さえしようとはしていないのです。……二か月近く逃げ回り、ようやく居所が掴めるようになったと思うと、たった一通の手紙をよこそうとする」と。 ☆ ☆ 二十六日の原監督辞任、新監督に堀内恒夫氏就任の記者会見、「何でまた」の思いを持ちて見聞せり。就任一年目で日本一、今季とて不甲斐ない投手陣を率いてそこそこに戦いおりたるに、何故の首切りぞ。フロントとの確執など噂されおりたれども、それとて現場を理解せぬ経営陣のゴリ押しに対し監督として当然の物言いを為したまでに過ぎなんだろふ。 渡辺恒雄オーナーは「読売グループ内の人事異動で、更迭でも解任でもない」と謂ふが、誰が見ても解任以外の何物でもなかろふ。恐らくは当分の間、マスコミの渡辺オーナー叩き続くは間違い無し。日頃より「単に巨人軍のことを考えてではない、日本のプロ野球の健全なる発展を考えて発言している」と豪語しおる御仁しては、ちと了見が狭過ぎようぞ。 人事異動が真にせよ嘘にせよ、あの場では「特別顧問の立場でフロントと現場のパイプ役となり、プロ野球を大所高所から勉強して頂いた後、再度現場で指揮を執ってもらいたいと思っている」ぐらいは言ってもよかろふ。 巨人生え抜きにしてミスターの後継監督、しかも日本一を成し遂げた監督に辞めてもらうに相応しい説明が為されなんだは残念至極と謂ふのほか無し。原監督の胸中察すれば、涙腺緩みおる我が老いの目に涙溢るるを禁じ得ず。 ☆ ☆ 二十七日、札幌ドーム。コンサドーレ対湘南ベルマーレ戦は、1−2でコンサ今季三度目の三連敗。通算成績11勝14敗11分け、勝ち点44。順位九位と変わらず。 万事休す。前節、福岡に敗れ、首の皮一枚を残して崖っぷちに立ちしが、J1昇格の我らが夢遂に潰え去りたり。誰が責任ぞ。期待はずれの助っ人三人を連れて来しフロントが元凶か。あるいは、戦略定まらず選手を掌握できなんだカルロス監督が問題なるか。はたまた、技量未熟で集中力無く、貪欲果敢な攻撃精神も持たぬ、プロの自覚に欠ける選手の責に帰するか。 三者三様なるも、皆それぞれに大いなる責在るを知れ。三つ巴に絡み絡んで状況悪しき時はそれぞれの欠点更に増幅され、いや増して悪しき状況に陥りたることを忘るな。各自、己の為すべきことを為しおれば、道自ずから開け行くものなり。J1復帰への道険しけれど前進在るのみ。今季残り八試合に全力を挙げよ。一戦必勝、血反吐を吐いてなおピッチを駆けよ。そが、来季再生への一歩なり。コンサの奮闘努力願いて止まず。 ★ ★ ◆1日=田中元外相が衆院選出馬へ、5日に地元で表明。 ◆30日=東京地検、田中元外相を不起訴処分(嫌疑なし)に。 ◆29日=遺棄毒ガス東京地裁判決、国に賠償命令。中国人13人へ1億9000万円。 ◆28日=CIA工作員名漏らす? 米大統領側近、イラクのウラン疑惑で。司法省調査へ。 ◆27日=イラク復興へ米露協調、首脳合意。「北」の核阻止でも一致。 |