第80回
デスクトップパソコン
「VGC-RM50」の
CPUを換装する
(2009年7月9日購入・2009年8月14日著)


今回のロードテストではCPUのCoe 2 Quad Q6600へ換装(交換)とCPUファンの交換を行い、その際の手順の紹介や、動作検証を行っております。ただし、メーカー製パソコンの場合は同じ品番でも、カタログに記載されているスペック以外の細かい部分に関しては途中で変更になっていることがあります。例えば、全てのVGC-RM50で今回のロードテストと同じマザーボードであるかは分かりませんし、CPUファンの取り付け方法なども変更になっている可能性もあります。よって、全てのVGC-RM50でCore 2 Quad Q6600が正常動作すると保証するものではありません。ご注意下さい。また作業をされる場合は、お持ちのVGC-RM50でも交換が可能かを確認の上、CPUやCPUファンを購入されることをお勧めします。

CPUの性能が足りない?

 最近、我が家ではハイビジョンの動画を扱う事が多くなってきた。ビデオカメラもハイビジョン対応になり(ロードテスト第56回)、Blu-rayディスクドライブも購入した(ロードテスト第68回)。地デジチューナを内蔵するのも時間の問題だろう。また、デジカメも高画素化し、扱う静止画も大きくなってきた。しかし、そうなると動画の編集作業やエンコード、オーサリング、静止画の各種効果適用などに時間がかかるのが気になるようになってきた。例えば30分程度のハイビジョンの動画をWMVに変換したり、DVDビデオを作成したりするのに2〜3時間もかかるのである。さすがに待ち時間が長すぎる。そもそも重い作業はデスクトップパソコンで行う事にしているのだが、CPUはノートパソコンVGN-SZ94SがCore 2 Duo T7100(1.80GHz)、VGN-FZ92SがCore 2 Duo T8100(2.10GHz)であり、VGC-RM50のCore 2 Duo E6300(1.86GHz)とほぼ横並び状態となってしまっている。ハードディスクが大容量で高速であるなど、アドバンテージはあるものの、「重い作業をするパソコン」と言うわりには性能に大きな差が無くなっているのが現状だ。
 実はVGC-RM50はここのところ様々な不具合が発生しており、リカバリをしても治らなければ買い換えも検討していた。しかしリカバリを実行した所、比較的安定した動作に戻ったため、もう1、2年でも使っていくこととした。そこで、CPUの換装(交換)を行い、動作速度を向上させてみたいと思う。

VGC-RM50に換装可能なCPUは?

 現在VGC-RM50に搭載されているCPUはCore 2 DuoのE6300である。Conroeという開発コード名の第1世代のデスクトップ向けCore 2 Duoである。1.86GHzで動作し、FSBは1066MHz、L2キャッシュは2MBとなっている。65nmの製造プロセスで製造され、TDP(熱設計電力)は65Wである。LGA 775ソケット搭載される。チップセットはIntel P965 Expressとなっている。
 それでは換装可能なCPUを検討してみよう。まず最新のCPUというと、Core i7などのCPUが考えられる。Core i7はクアッドコアCPUで、これまでのCore 2 Quadと比べて大幅に性能がアップしている。一番安価なCore i7-920(2.66GHz)なら、価格も3万円以下と比較的安く、そのわりに性能は高い。これに載せ替えできれば良いのだが、Core i7はメモリコントローラを内蔵したりと内部構造がCore 2シリーズとはかなり異なるため載せ替えることは出来ない。ソケットもLGA 1366と、Core 2シリーズのLGA 775と比べてピン数が増加している。マザーボードまで交換すれば使用できるが、メーカー製パソコンではマザーボードが独自形状で交換出来ないことも多く、そこまでするなら、新しいパソコンを買った方が良さそうである。
 次に現行のCore 2 DuoやCore 2 Quadシリーズであるが、Core 2 DuoはE8000番台およびE7000番台、Core 2 QuadはQ9000番台とQ8000番台となっている。こちらはL2キャッシュも増量され、3GHz超のCPUもあるなど性能は高い。製造プロセスが45nmに細分化されたために動作クロックが高いわりにTDPは65W(Core 2 Quadの一部は95W)と低いのも特徴である。しかしコチラにも載せ替えることはできない。Core 2 Quad Q9000シリーズとQ8000シリーズ、Core 2 Duo E8000シリーズはFSBが1333MHzとなっており、Intel P965 ExpressチップセットではFSB 1066MHzまでしかサポートされないためである。その点でCore 2 Duo E7000シリーズならFSBが1066MHzであるため一見するとOKそうだ。しかし、そものも45nm製造プロセスのCPUが対応しているのは「Intel G31 Express」などの英字+数字2桁の名称の世代の新しいチップセットで、Intel P965 Expressには対応していない。100%動作しないとは言い切れないが、ほぼ不可能でリスクが高い。
 そこで新品を購入することは出来ないが、Core 2 Duo E6300と同じく65nm製造プロセスのCPUを中古で探すこととした。まず考えつくのがCore 2 DuoのE6000番台のCPUである。幸いE6300はE6000番台の中で最下位製品であるため、より高クロック品が存在している。最高はE6700で、2.66GHzとなる。TDPもE6300と同じ65Wであるため、動作する可能性は高そうだ。ただしL2キャッシュ容量などに違いはあるものの、基本的にはただの高クロック版なので、クロック差の分しか高速化できない。43%の差なので、高速化しているとは言えるが、物足りなくも感じる。
 もう一つ動作する可能性があるのは、Kentsfieldの開発コード名で知られている、65nm製造プロセスのCore 2 QuadであるQ6000番台である。こちらは2.4GHzのQ6600と2.66GHzのQ6700がある。こちらはクアッドコアなのでさらなる高速化も望めるが、問題はTDP高いことである。Q6600は初期の製品は105W、ステッピングがG0以降の製品で95Wであり、Q6700も同じく95Wである。今のCore 2 Duo E6300の65Wと比べると発熱は大きい。簡単に言えばCore 2 Duoのデュアルコアのダイが2つ搭載されてる事になるため発熱が大きいのは仕方がない事とはいえ、換装して問題になるとすればここだろう。
 ところで、CPUを換装する場合、メーカー製パソコンでは単純にチップセットが対応しているだけでは動作しないことがある。例えば、パソコンメーカーがCPUの換装が出来ないように、倍率が固定されている事がある。例えばCore 2 DuoのE6300は266MHzの7倍で動作するが、E6700は266MHzを10倍している。これが7倍で固定されていると、高クロック品に載せ替えても本来の動作クロックでは動作せず意味がない。また、高クロック品が登場する前のマザーボードの場合、チップセットが対応していても、マザーボードのBIOSを更新しないと正常に認識しないこともある。自作パソコンの場合BIOSを最新バージョンに更新すれば問題は解消されるが、メーカー製パソコンのマザーボードでは最新のBIOSが提供されていることは皆無である。そうなると正常に動作しないことがある。例えば古いBIOSだと倍率が8倍までしか認識しないとすると、10倍のE6700を挿しても正常に認識せず、動作しなかったり、8倍の2.13GHzで動作したり、設定がおかしくなり5倍と言った極端に低い倍率になったりすることもある。また、CPUファンの放熱能力が不足していたり、内蔵の電源の出力が小さく、発熱・消費電力の高い高クロックCPUを搭載できない場合もある。この場合メーカー製パソコンではCPUファンや電源が特殊な製品である事もあり、その場合は一般の自作パーツとの交換も出来ない。
 こういった要因で動作しない事をできるだけ避けるため、もう少し情報を集めてみたいと思う。例えばVGC-RM50と同時期の上位モデルVGC-RM70DPL4ではCore 2 DuoのE6600を採用している。また、Sony StyleモデルではVAIO OWNER MADEでカスタマイズが可能なVGC-RM90という機種がある。VGC-RM90ではCore 2 Duo E6700やCore 2 Extreme X6800(TDP75W)まで選択出来るようになっている。これらのモデルはVGC-RM50とチップセット等は同じである。もちろん高クロック版ではファンが強化されているという可能性もあるが、通常はX6800の75Wに合わせてあると考えると、これらへの載せ替えができる可能性はかなり高そうだ。
 続いてVGC-RM50の次のモデルを見てみよう。VGC-RM51DはCore 2 Duo E6300、VGC-RM71DL4はCore 2 Duo E6600と変わっていない。一方Sony StyleモデルではCore 2 Quad Q6600やCore 2 Extreme QX6700(TDP130W)というクアッドコアCPUが追加されている。よりTDPの高いモデルが搭載されている事になる。チップセットは同じIntel P965 Expressである。もちろんモデルチェンジと共にCPUファンが強化されたことも考えられるし、同じチップセットでも異なるマザーボードになっていたりBIOSがバージョンアップしている可能性もあるが、TDP130WのCore 2 Extreme QX6700は置いておいても(そもそもCore 2 Extremeシリーズは価格が高すぎて買えない)、Core 2 Quad Q6600程度なら動作する可能性は高そうである。ちなみにその次のモデル、VGC-RM92ではCPU の上位の選択肢には変化が無く、更に次のモデルではFSB1333MHzのCore 2 Duoが選択出来るようになっているが、チップセットがIntel P35 Expressに変更されているので参考にはならない。
 これらから最も安全策をとるならCore 2 Duo E6700(2.66GHz)であり、少しだけ冒険だがほぼ安全ならCore 2 Quad Q6600/Q6700であろう。そして、この中からCore 2 Quadに換装することに決めた。Core 2 Duo E6700では動作クロックが上がるだけで、その差も50%に満たないなど、せっかく苦労して載せ替えるわりには物足りない。一方、Core 2 Quadではコア数が2つから4つになっている上に動作クロックも向上している。特に最近では動画編集ソフトを中心に4コアに対応したアプリケーションソフトも増えてきており、我が家で常用している動画編集ソフトや動画エンコードソフトも4コア対応だ。そのため動作クロックの向上と併せて、かなり性能アップしそうである。また4コアに対応しないアプリケーションソフトでも、動作クロックが向上しているためCore 2 Duo E6300よりは速くなるだろう。またインターネット上で検索してみると、VGC-RM50のCore 2 Quad Q6600への換装の成功例がいくつも見つかったのも安心材料である。できればQ6700が良いのだが、価格次第ではQ6600でも仕方がないだろう。

Core 2 Quad Q6000番台を探す

 前述したように、新品でCore 2 Quad Q6000番台を探すのは既に不可能に近い。Amazon.comをはじめ大手のパソコン専門店や家電量販店のネット通販ページを見てみてもCore 2 Quad Q6700/Q6600は1つも見つからなかった。こうなったら中古で探すしかない。早速日本橋のでんでんタウンに出向き、パーツショップを1件ずつ見て回る。しかし予想外に中古でもほとんど出回っていない。Core 2 QuadならQ9000番台やQ8000番台の方はよく見かけるし、Core 2 DuoのE6000番台もそこそこ出回っているが、Core 2 Quad Q6000番台はほとんど見かけない。Core 2 QuadもQ6000番台の頃は、4コア対応のアプリケーションソフトも揃っておらず、Core 2 Duoに対して性能面ではっきりした優位性が示せないわりに、発熱も大きく価格も高い事から流通量が少なかったのだろうか? ただ、Core 2 QuadのQ6000番台はQ6600とQ6700しかなく、2.4GHz未満の低クロック品はないことから、Core 2 QuadのQ6000番台を見つければ、即目的のCPUとなる点では探しやすい。
 一通り回ってみて何とか3店舗でCore 2 Quad Q6600を見つけることが出来た。価格は15,980円が2店舗と16.980円が1店舗。Core i7-920(2.66GHz)の新品が29,800円前後であるため、微妙な価格であるが性能差と中古であることを考えれば妥当な所だろうか。ちなみにCore 2 Quad Q6700は1件も見つけられず、その後も流通しているのを見たことがないことから、探すのはかなり難しそうだ。どちらにしてもQ6600で15,980円なら、Q6700はより高価になり、そこまでの製品を購入する気にはなりそうもない。
 ちなみに、見つけたCore 2 Quad Q6600はいずれも箱に入ったリテール品であった。純正のCPUファンも付属している。しかし、今回はVGC-RM50のCPUと載せ替える事になるので、CPUファンは元々付いている物を使う事になる。そうなると純正CPUファンは無駄である。CPUファン無しでもう少し安いものはないかと2週間ほど探していた。するとソフマップ梅田店にてCPUファン無しのCore 2 Quad Q6600が14,980円で販売されていた。1000円安くなったのでこれしかないということで、即購入した。
 ちなみに、同時にCPUの表面に塗るシリコングリスも購入した。今回のみの使用と言うことで、小容量の物で使いやすそうな、サンワサプライの注射器型で2gの製品を選んだ。3種類あり、ただのシリコングリス、シリコングリス(銅)、シリコングリス(シルバー)の順に価格は高くなり、熱伝導性も2.0W/mK、4.5W/mK、6.5W/mKと大きくなる。どの程度が必要か分からなかったが、今回は元々付いているCPUよりも載せ替えるCPUの方が発熱も大きくなることから、一番熱伝導性の高いシリコングリス(シルバー)であるTK-P3Sを購入した。価格はヨドバシカメラマルチメディア梅田で680円(10%ポイント還元)であった。

今回購入したCore 2 Quad Q6600の表面である。購入時にテープが貼られていたので見にくくなっているが、3行目に「SLACR」と書かれているのが読める。S-specという値で、G0ステッピングであることを表しており、TDPが95Wと低い方の製品である。

今回購入したCore 2 Quad Q6600の裏面である。これまで手にしてきたCPUは、全て裏面に剣山のようにピンが出ていたが、LGA775では信号の接点が面になっている。

CPUと同時に購入したシリコングリスである。価格に応じて熱伝導性が異なっていたが、小容量なので高価な製品でもたいした値段でないことから、一番良い「シルバー」の名称の付いた「TK-P3S」を選んだ。熱伝導性は6.5W/mKである。

E6300とQ6600を比較する

 換装するCPUも購入できたところで、Core 2 Duo E6300とCore 2 Quad Q6600を比較してみよう。

CPU
Core 2 Duo E6300
Core 2 Quad Q6600
(G0ステッピング)
動作クロック
1.86GHz
2.40GHz
開発コード名
Conroe
Kentsfield
コア数
2
4
FSBクロック
1066MHz
1066MHz
L2キャッシュ
2MB
4MB×2
製造プロセス
65nm
65nm
SpeedStep
拡張版SpeedStep
拡張版SpeedStep
仮想化技術(VT)
64bit(Intel64)
メモリ保護機能(XDbit)
ハードウェアセキュリティー(TXT)
×
×
Hyper-Threading
×
×
TDP
65W
95W

 これを見るとCore 2 Duo E6300とCore 2 Quad Q6600は同じ65nm世代の製品であるため、機能的には非常に似通っている事が判る。動作クロックとコア数、L2キャッシュ、TDPが異なるだけである。コア数の違いはCore 2 DuoとCore 2 Quadの違いなので当然だが、L2キャッシュは4倍に増えている。Core 2 QuadはCore 2 Duoを2つくっつける事で4コアを実現しているため、L2キャッシュは2コアずつで分かれている。そして各デュアルコアずつで見ると、Core 2 Duo E6300が2MB、Core 2 Quad Q6600が4MBと倍増している。そのため4コアでの処理に対応していないアプリケーションソフトであっても、クロック当たりの性能は若干高くなる。その上動作クロックも29%アップしているため、例え1コアや2コアしか使えない処理でも、30%以上の性能向上が期待できる。もちろん4コアに対応したアプリケーションソフトでは更に性能向上することになる。

VGC-RM50のCPUを換装する

 それでは実際の作業に入っていくとしよう。ここでは各手順ごとに写真と共に解説していく。


 まず、VGC-RM50のメインユニットから各種ケーブルを取り外す。そして、背面のネジを3つ外して、側面パネルをずらすと、写真のように左側面全体が外れる。この写真では、上が前面、下が背面になっている。そして、今回、換装目的となるCPUは、右端に見える金色の3つの丸い出っ張りの下にある。


 ジャマになるパーツを外していく。まず中央の黒いプラスチックバーを外す。ネジ一つを外すと取り外せる。次に、縦に通っている金属バーを外す。これもネジを3つ外すと簡単に外せる。さらに右下にある3.5インチシャドーベイをネジを外してスライドさせて取り外す。これで、かなりすっきりして内部が見やすくなった。


 写真の右上のCPU関係の部分である。上の黒いプラスチックがCPUファンを取り付けているフレームで、その手前の銀色の部分がCPUの上にのっているヒートシンクである。そして、その間はCPUファンの風がヒートシンクに当たるようにグレーのエアーダクトで繋がっている。


 エアーダクトは、先程外した金属パーツで押さえ付けられていただけなので、この状態で簡単に取り外すことが出来る。これでCPUヒートシンクとCPUファンが見えるようになった。


 斜めから見ると、位置関係がよく分かる。通常はヒートシンクの上にCPUファンが乗っているが、VGC-RM50ではケース前面にCPUファンの代わりにCPU専用のケースファンを取り付け、その風を大型のヒートシンクに当てる形となっている。


 CPUヒートシンクは4つの足のネジを外すと取り外すことが出来た。改めてその大きさに驚かされる。また、ネジはバネ付きで、CPUヒートシンクを固定する際に、しっかりと固定できると共に無理な力がCPUにかからないよう工夫されている。


 CPUヒートシンクを外すと、ついにCPUが見える。これまで働いてくれたCore 2 Duo E6300である。


 J字型の金属棒を引っかけから外して立たせると、CPUの周囲を覆っていた金属パーツが反対に起き上がる。これでCPUを取り外すことが出来るようになる。


 取り出したCore 2 Duo E6300の表面のシリコングリスを拭き取り、Core 2 Quad Q6600と並べてみた。左がCore 2 Quad Q6600、右がCore 2 Duo E6300である。表面にヒートスプレッダが取り付けられ、直接CPUダイを見ることが出来ないため、そっくりである。


 Core 2 Quad Q6600(左)とCore 2 Duo E6300(右)の裏面である。どちらもLGA775ソケット対応のCPUなので、接点の金属面の数や配置は全く同じだ。しかしその中心にあるコンデンサの配置が異なっている。


 それではCore 2 Quad Q6600をソケット(上写真)に装着する。CPUには向きがあるので、切り欠きの位置を合わせて装着する。


 ここでシリコングリスを塗る。シルバーというだけあり、銀色だ。注射器型をしているので押し出すのは簡単である。シリコングリスは真ん中にチョンと置いて、ヒートシンクで押しつけながら広げる方法と、ヘラのような物で始めから広げる方法があり人それぞれ好みがあるようだが、シリコングリスを塗るのは初めてなので量が分かりにくいと言うことで、全体に広げた。昔の病院の診察カードを利用してなるべく均一になるように、あまり厚くならないように塗った。


 さきほどと逆の手順でCPUの上からCPUの周囲を覆う金属押さえを倒し、J字型の金属棒を引っかけてロックする。


 続いてCPUヒートシンクを取り付ける。ネジの部分にバネが付いているので、比較的安心とは言えるが、CPUに無理な力がかからないように、4つのネジを少しずつ閉めていき、しっかり固定する。
 これでCPUの換装作業は終了である。3.5インチシャドウベイや始めに外した金属バーやプラスチックバーを元に戻し、ケース側面のカバーも閉じる。各ケーブルを接続し起動してみる。するとすんなりとWindowsが起動した。しかし何かがおかしい。なにやらカラカラという音がしている。耳を近づけて場所を特定してみると、どうやらCPUファンから異音がしているようだ。何かがこすれているような音である。今回、ケースを開けたついでに掃除機を使ってファンのホコリを取った時にゆがめてしまったのか、それともたまたま故障する時期だったのかは分からないが、異音がしていることに変わりはない。結構うるさく、このまま常用できるレベルではない。CPUの換装結果を確認する以前に、このファンを何とかしなければならない。
 とりあえず、CPUファンが取り外せるかどうかである。前述したように、通常はCPUの上に取り付けられているCPUファンだが、VGC-RM50の場合はケース前面にファンが取り付けられている。つまり、CPUが交換できたからといってCPUファンが交換できるとは限らないわけである。そもそもこのファンはCPUファンではなく12cmのケースファンを使用しているようである。そして、ケース前面に直接ネジ止めされているのではなく、ケースに固定されたファンのフレームに取り付けられている。ファンは4辺のツメでファンフレームに取り付けられており、ツメを外に曲げることでファンを外すことができそうだ。ところがケースを開けた状態での底面(使用時には右側面)に位置するツメが、ケースに完全に接触しており、外に曲げることが出来ず、ファンを取り外すことが出来ないという問題が発覚した。まさかファンは交換できないのかと焦りながら、3つのツメを外した状態で力をかけて引っ張っていると、ファンフレームごとケースから抜け、取り外すことが出来た。正しい取り外し方かどうかは分からないが、とにかく取り外すことが出来たのでホッとした。


 上の写真がファンアダプタに取り付けられた状態のファンである。改めて4辺のツメを外してファンだけを取り外した。ちなみに、この状態で電源を入れてもファンから異音がすることから、やはりファン自体に問題があるようである。
 では、新しいファンを購入する前に、現在のファンのスペックを確認しておこう。ファンはAVC社製のDS12025B12EP004である。インターネットで確認すると、やはり25mm厚の12cmケースファンである。12V、0.20Aで動作し、回転数は1000〜1800rpmで可変である。風量は最大60CFMで動作音は19〜24dBAであった。


 また、ファンを取り外す時に抜いたマザーボード上の電源コネクタを確認すると、通常のケースファン用の3ピンコネクタより多い4ピンとなっていた。これはPWMというファンの回転数を制御する信号のために1ピン増えているものではないかと思われる。これを元に製品を選ぶとしよう。
 ヨドバシカメラマルチメディア梅田へ出向くと、多種多様な製品が並んでいた。しかし一つ一つ確認していくとなかなか合う製品は少ないことが分かる。静音をうたっている製品は、羽の形状を工夫することで動作音を低くしているのだが、大半の製品が回転数が低く1000rpmや1300rpmとなっていた。当然風量が60CFMより低い。CPUの発熱が増えているのに風量が減るのは問題がある。中には1800rpm以上の高速回転の製品もあり、動作音も高速回転のわりには低いが、いずれも3ピンコネクタとなっており1800rpmで固定のようである。いくら動作音が静かと言っても、最高速回転時はそれなりの音なので、可変になっていないのは気になる。一方、回転数可変の製品はなかなか製品が少なく、しかもPWMによる回転数制御ではなく、ケース背面に取り付ける回転数調整ダイヤルによる可変の物も多い。比較的静音で、PWMによる回転数制御の製品もあったが、風量が58CFMと若干劣るのが悩み所である。


 その中で一番気に入ったのがXinruilian Electronic社製(日本代理店は長尾製作所)の「RDL1225S-PWM」である。最大風量が70.18CFMと現在のものより17%高い。もちろんPWMによる回転数制御により、800〜1700rpmで可変となっている。最大騒音値が32dBAと現在の物より高いが、回転数が可変なので恐らく大丈夫であろうと考え、この製品とした。価格は1,780円(13%ポイント還元)であった。


 VGC-RM50に取り付けられていた「DS12025B12EP004」(左)と今回購入した「RDL1225S-PWM」(右)を並べてみた。羽の枚数は同じ7枚ながら、かなり小さくなっていることが分かる。なにやら物足りない大きさだが、スペック上は風量が大きくなっているのだから大丈夫だろう。また、ケーブルがかなり長い。元々の製品はマザーボード上のコネクタまでちょうど良い長さだったので、特別にVGC-RM50に合わせた長さなのかもしれない。


 早速ファンフレームに取り付けてみた。厚みも大きさも同じなのだから取り付けられるのは分かっていても、実際に取り付けてみるまで不安であったが、無事にツメでしっかり止められ、ファンフレームに固定できた。


 マザーボード上の電源コネクタに接続する。


 さらにファンを元の位置に戻す。無理矢理取り出したので元に戻せるか不安だったが、無事に元の位置にはめ込むことが出来た。また長い電源ケーブルも、ファンの横の隙間に上手く納めることが出来た。


 あとは、エアーダクトを元に戻し、他のパーツも元に戻す。そして、各種ケーブルを繋いで電源を入れてみた。するとCPUファンがウィーンとまず最高回転数で動作し、すぐに静かになった。回転数制御が正常に働いているようだ。また、ファンの音は思っていたよりも静かで、VGC-RM50に元々付いていたファンと比べても特にうるさいとは感じなかった。これで風量が17%アップしているなら大成功と言える。CPUの発熱が増えた今回、ファンが故障して交換になったのは、手間はかかったとはいえ良かったのかもしれない。

換装したCPUで動作を確認してみる

 CPUファンの交換と言った急な作業もあったが、無事にCPUの換装作業が完了した。起動してみると、とりあえず問題なく起動しているようだ。また、システムのプロパティを見てみると、Core 2 Quad Q6600と表示され、動作クロックも2.40GHzと表示されているため、正常に認識している事が判って一安心である。とりあえず、VGC-RM50ではCore 2 Quad Q6600は動作すると考えて良さそうだ。

システムのプロパティを見ると、「Intel(R) Core(TM)2 Quad CPU Q6600」と表示されている。また、2.40GHzとも表示されており、本来の動作クロックで動作している。

 ただしこれで完全に安心というわけではない。発熱が多くなったためにCPUファンの性能が足りず、しばらくしたり重い作業をすると熱暴走を起こしたり、安全のために自動的に動作クロックを落としてしまう可能性もある。また、CPUの表面に塗ったシリコングリスの塗り方が悪く、CPUとヒートシンクがうまく密着していないと、放熱が上手く行えず、やはり同等の症状が発生する。もしそうなった場合、前者の場合はより風量の大きいCPUファンに交換する必要があるし、後者の場合はシリコングリスを塗り直す必要がある。

CPUのコア温度を計測する

 それでは、CPUの放熱が正常に行えているのかを確認するために、コア温度を計測してみた。平常時(何も作業をしていない時)と3DMark06のベンチマークテスト時、TMPGEnc 4.0 Expressを使用してエンコード作業時の3つのパターンで計測している。ベンチマークテストやエンコード作業開始直後はCPU温度が上がりきっていないと考えられるため、これらは20〜30分間実行し、10分経過した点から10秒ごとにコアの温度を記録し、その平均温度を算出している。テスト環境は真夏に近い過酷な条件でも正常に動作するか確認する意味も込めて、7月中旬の室温31〜34度の室内でクーラーなどを付けずに行っている。3DMark06やエンコードなどの重い作業をしてもCPU温度が危険な温度に上がらなければ、CPUファンの性能やシリコングリスの塗り方に問題はないと考えられる。ちなみにCore 2 Quad Q6600の限界温度(Tj.Max)は100度なので、これに近い値が出ると危ないと考えられる。


 さて、平常時のコア温度を見ると、37.7度〜45.2度と問題のないレベルになっている。また、Core 2 Duo E6300の時との比較では、むしろCore 2 Quad Q6600に方が低くなっているから驚きである。これは内部のホコリの掃除をしたことや、CPUファンを若干高性能なものに交換したこと、シリコングリスが新しくなったことなど様々な要因があると思われる。続いて3DMark06の際の温度を見ると、平常時よりは高くなるものの、48.8度〜58.2度とこちらも問題ないレベルだ。また、Core 2 Duo E6300よりも低く抑えられている点から見ても安心である。ちなみにコア1のコア温度だけが高い理由だが、3DMark06テスト中のCPU使用率を見ていると、一部のテストでコア1しか動作していないものがあったための様である。つまりいくつもあるテストの内、一部のテストはマルチスレッドに対応していない様である。そのため、コア1は常に処理を行っているものの、コア2〜4はマルチスレッド対応のテストでは動作するためコア温度が上がり、非対応のテストになると休むためコア温度が下がるという状態を繰り返している。結果コア1よりもコア2〜4のコア温度は低くなったと思われる。
 では最もCPUを使うと思われるエンコード処理である。TMPGEnc 4.0 Expressはマルチスレッドに対応しているため、4コアともフルに動作する。さすがに最も高いコア1が70.9度を記録し、平常時よりはかなり高くなった。しかし、Core 2 Duo E6300の時でも69.3度まで上がっていることを考えると、Core 2 Quad Q6600のTDPが高くなったわりには、コア温度の上昇は抑えられていると言える。また、コア1のコア温度は、エンコードを開始して数分で70度に達した後69度〜71度の間で推移し、エンコードが完了する約1時間の間に71度以上に上がることはなかった事から、CPUファンの性能が不足してどんどん温度が上がると言うことはなさそうだ。CPUの限界温度までまた30度近くあることと、真夏の気温の高い時である事を考えると、満足いく結果と言える。
 以上から、シリコングリスの塗り方は問題なく、CPUファンの性能も交換したことで風量が上がったこともあって問題ないことが分かり、Core 2 Quad Q6600の状態で使っていくことが出来るとわかり安心した。これでようやくVGC-RM50にCore 2 Quad Q6600を換装するという作業が成功したと言えるだろう。

Core 2 Quad Q6600のベンチマークテストを見る

 無事に換装作業も完了し、コア温度も問題ないことが分かったので、ここからはCore 2 Duo E6300に比べてどの程度性能向上を果たしているのかをベンチマークテストで確認していこう。CPUがCore 2 Duo E6300とCore 2 Quad Q6600になっている以外は何も交換していないため、純粋にCPUの差をテストすることになる。なお、今回のVGC-RM50はロードテスト第70回でメモリ増設を行っているため、購入時と比べてメモリが3GBに増量されている。


 まずは統合ベンチマークテストである「HDBENCH Ver3.40beta6」の結果である。CPUの項目が、同じ本体にCPUを交換しただけとは思えないほど向上している。Integerが2.56倍、Floatが2.57倍になっているのである。動作クロックの向上率が29%で、コア数が倍になっているのを純粋計算しても1.29×2で2.58倍にしかならない。つまりほぼ理論値通りの向上を果たしているのである。実際のアプリケーションではこうはいかないだろうが、それでもかなりの性能向上を果たしていることが分かるうれしい結果だ。また、メモリは全く変わっていないにもかかわらず、Read性能、Write性能共に向上しているのがおもしろい。これも処理性能向上に一役買いそうである。


 同じく統合ベンチマークテストの「Crystal Mark 2004R2」の結果である。こちらでもCPU性能がALUが2.52倍、FPUが2.60倍とHDBENCHとほぼ同じ結果を示した。ベンチマークテストレベルではあるが、コア数倍増と動作クロックの向上のどちらもが有効に働いていることが分かる。またメモリの結果も71%も向上しており、HDBENCHの結果が異常値では無いことが分かると同時に、CPUの性能向上がメモリの転送速度にまで影響している事が判った。またハードディスクの転送速度も若干向上している。


 同じく統合ベンチマークテストの「Sandra Lite 2005」である。CPU性能は、演算・マルチメディアのどちらも2.5倍以上の性能向上を果たしている。また、メモリ帯域幅も若干ながら向上している。


 Sandra Liteの最新版「Sandra Lite 2008」でもテストを行ったが、CPU関連テストで大幅な性能向上を果たしている。


 続いて「Superπ」で419万桁の計算にかかる時間をテストした。結果は32%短縮されているが、これまでのテストほど大きな差ではない。動作クロックの向上率の29%に近いため、テスト自体がマルチスレッドに対応していない可能性もある。このことからマルチスレッド非対応のアプリケーションでは性能向上率は大きく下がるものの、クロックが向上しているためCore 2 Duo E6300よりは高速であることが確認できた。


 続いてPCMark04/05の結果である。システム全体のテストであるため、CPUの性能の差だけが結果に表れるわけではないが、それでもPCMark05では31%の性能向上を果たしている。ちなみにPCMark04は、なぜか結果が表示できなかった。テストが完走しなかったわけではない様だが謎である。


 それではここからグラフィック関係のベンチマークテストを行う。今回はグラフィックボードの交換などを行ったわけではないが、グラフィック性能にCPU性能も無関係ではないのでテストを行った。まずは「3DMark2001SE」である。1024×768ドットで20.0%、640×480ドットで20.5%の性能向上である。グラフィックボードを交換したわけではないのに、20%も向上するとは驚きである。3DMark2001SEは比較的古いベンチマークテストであり、最新のベンチマークテストと比べると負荷が低いため、最新のCPUの性能なら、ある程度代替処理が可能だからだと考えられる。


 続いて3DMark05と3DMark06の結果である。3DMark06では7%、3DMark05では5.4%の向上である。新しいベンチマークテストほど向上率は下がっている。最新のベンチマークテストほど重いテストになってしまい、CPUによるグラフィックチップの代替処理が行いにくくなっているようである。


 3DMark05と3DMark06では、3DMarkの結果の他のCPU Scoreが表示されるので見てみよう。すると3DMark05では1.60倍、3DMark06では2.40倍となっている。3Dグラフィック表示性能は数%しか向上しないが、CPU性能は確かに向上している事が判る。


 有名なFINAL FANTASY XIのベンチマークテストである。解像度HighとLowでそれぞれ19.1%、18.3%向上している。CPUの交換のみだが、ゲームも若干快適に動作するようになる事が判る。


 おなじくゲームソフトのベンチマークテストである。DirectX 8.1選択で21.7%、DirectX 9.0選択で44.5%向上している。おもしろいのは、Core 2 Duo E6300ではDirectX 8.1を選択した方が結果がよいのに対して、Core 2 Quad Q6600では、DirectX 9.0を選択した方が結果が良くなっている。理由は不明だが、興味深い結果である。


 鉄道模型シミュレータソフトのベンチマークテストである。鉄道模型シミュレータ3世代のテスト「VRM DirectXチェッカー」と鉄道模型シミュレータ4世代の「VRM4ベンチマークテスト」があり、後者は「v2」が付く新バージョンが公開されている。さてVRM DirectXチェッカーとVRM4 v2では、CPUの性能向上だけで数値を伸ばしているのに対して、VRM4では誤差程度の差しか出ていない。CPU性能の向上が必ずしも全てのアプリケーションで効果があるわけではないことが分かる。


 最後に、肝心の動画圧縮テストである。ペガシス社のビデオエンコードソフトウェア「TMPGEnc 4.0 XPress」とDVD/Blu-rayオーサリングソフトウェア「TMPGEnc Authoring Works 4」を用いて、様々な動画のエンコードやオーサリングにかかる時間を計測した。テストは7種類行ったが、それぞれのエンコード元動画とエンコード先動画の形式や解像度、ビット−レートは以下の通りである。

グラフ中の表現 HD画質MPEG2-TS(3分)を HD画質MPEG2に変換 HD画質H.264/AVC(3分)をSD画質WMVに変換 SD画質MPEG2(48分05秒)をSD画質WMVに変換
使用ソフトウェア TMPGEnc 4.0 XPress
入力 映像 ファイル形式 MPEG2-TS H.264/AVC MPEG2
解像度 1440×1080 1920×1080 720×480
ビットレート 18,628Kbps 16,000Kbps 3,686Kbps
音声 ファイル形式 Dolby Digital Dolby Digital MPEG1 LayerII
ビットレート 256Kbps
時間 3分00秒 3分00秒 48分05秒
出力 出力形式 MPEG2ファイル WMVファイル WMVファイル
動画 ファイル形式 MPEG2 Windows Media Video 9 Windows Media Video 9
解像度 1440×1080 720×480 720×480
ビットレート 20,000Kbps(VBR) 2,000Kbps(VBR) 2,000Kbps(VBR)
映像補正効果 ・インターレース解除(アニメ補間1)
・映像ノイズ除去(探索範囲ふつう)
・映像ノイズ除去(時間軸)(探索範囲ふつう)
・インターレース解除(アニメ補間1)
その他設定 ・DC成分精度:10bit
・検索精度:高精度
・2パスエンコード
・2パスエンコード ・2パスエンコード
音声 ファイル形式 MPEG1 LayerII Windows Media Audio9.2 Windows Media Audio9.2
ビットレート 384Kbps 192Kbps 192Kbps

グラフ中の表現 HD画質MPEG2-TS(1時間38分)でDVDビデオを作成 HD画質MPEG2-TS(1時間38分)でBlu-rayビデオを作成 HD画質H.264/AVC(17分29秒)でBlu-rayビデオ作成 SD画質MPEG2(2時間24分10秒)でDVDビデオを作成
使用ソフトウェア TMPGEnc Authoring Works 4
入力 映像 ファイル形式 MPEG2-TS MPEG2-TS H.264/AVC MPEG2
解像度 1440×1080 1440×1080 1920×1080 720×480
ビットレート 18,628Kbps 18,628Kbps 16,000Kbps 3,686Kbps
音声 ファイル形式 MPEG1 LayerII MPEG1 LayerII Dolby Digital MPEG1 LayerII
ビットレート 384Kbps 384Kbps 256Kbps
時間 1時間38分00秒 1時間38分00秒 17分29秒 2時間24分10秒
出力 出力形式 DVDビデオ Blu-ray(BDMV)ビデオ Blu-ray(BDMV)ビデオ DVDビデオ
動画 ファイル形式 MPEG2 MPEG2 MPEG2 MPEG2
解像度 720×480 1440×1080 1920×1080 720×480
ビットレート 5,900Kbps(VBR) 18628Kbps 25,000Kbps(VBR) 3686Kbps
映像補正効果
その他設定 ・2パスエンコード ・スマートレンダリング ・2パスエンコード ・スマートレンダリング
音声 ファイル形式 Dolby Digital Dolby Digital Dolby Digital Dolby Digital
ビットレート 320Kbps 384Kbps 448Kbps 384Kbps

 これを見ると、テストによってバラツキがある。中でも「HD画質MPEG2-TS(1時間38分)でBlu-rayビデオを作成」と「SD画質MPEG2(2時間24分10秒)でDVDビデオを作成」は12〜15%しか時間短縮できていない。ただし、これはスマートレンダリングであるため動画そのものの再エンコードを行っておらず、どちらかと言えばハードディスクの書き出し性能に影響している部分が大きいためと思われる。
 この2つを除くと37〜58%の時間短縮になっている事を考えると、動画のエンコードや映像補正にはCPUの性能向上の効果が大きいようだ。また動作クロックの向上は29%であるため、それ以上の時間短縮がなされていることから、コア数の増加もしっかり効果が出ているようである。割合で見ると50%前後なので、コア数倍増+動作クロック29%向上と考えると効果が薄いように感じるが、時間で見るとかなり大きな差である。「SD画質MPEG2(48分05秒)をSD画質WMVに変換」では2時間半近くかかっていたのが1時間20分弱になり、1時間以上短くなっている。「HD画質MPEG2-TS(3分)を HD画質MPEG2に変換」はわずか3分の動画で40分53秒と19分44秒と大差が付いている。もしこれが2時間の動画なら、約27時間と13時間であり、1日かかるところが半日ですむ。「HD画質H.264/AVC(17分29秒)でBlu-rayビデオ作成」というのは、持っているハイビジョンビデオカメラで撮影したビデオでBlu-rayビデオを作成することを想定しているため、例えば今まで撮影したビデオをまとめた2時間のBlu-rayを作るとなると、かなりの時間短縮である。こう考えると待ち時間の短縮になり、作業がしやすくなるだろう。ベンチマークテストレベルでなく実際の作業レベルでも予想以上に効果が出たのでうれしい限りだ。



 今回はCPUの換装という、本来の保証対象外の作業を行ったが、特に作業自体に大きな問題も発生せず(CPUファンが壊れたが、今回のCPU換装と直接関係はない)、作業完了後の動作も安定している事から大成功だったと言える。もちろんメモリやハードディスクと言った、元から増設が行えるようになっているパーツと比べれば若干内部までアクセスする必要があるが、BIOSを無理矢理更新したりといった事も行う必要が無く、作業するだけですんなり動作したため、簡単だった方だろう。そのわりには、4コアに対応したソフトウェアでの性能向上は著しく、対応していないソフトウェアでも動作クロックの向上によって、ある程度の性能向上が認められるため、使用していてもはっきりと速くなっていると感じる程である。しかも中古品しか購入できなかったことが幸いし、これだけの性能向上ながら1万5000円で購入できたため、コストパフォーマンスはなかなかだ。
 CPU交換は多少のリスクもあるが、それなりにおもしろい作業で、効果も実感しやすい。最近スピード不足を感じるが買い換えるほどではないと言う人は、一度CPU換装を検討してみてもおもしろいかもしれない。



(H.Intel)


■今回の関係メーカー・ショップ
SONY http://www.sony.jp/
VAIOのページ http://www.vaio.sony.co.jp/
インテル http://www.intel.co.jp
サンワサプライ http://www.sanwa.co.jp/
サンワサプライシリコングリスのページ http://www.sanwa.co.jp/product/dosvparts/fancooler.html
長尾製作所(Xinruilian Electronic日本代理店) http://www.x-fan.jp/products/70.html



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