赤牛岳-3/6

  7/30 上野−(夜行列車)−7/31 富山駅−(バス)−折立〜太郎平小屋
  8/ 1 太郎平小屋〜黒部五郎岳〜黒部五郎小舎
  8/ 2 黒部五郎小舎〜三俣蓮華岳〜鷲羽岳〜水晶小屋
  8/ 3 水晶小屋〜水晶岳〜赤牛岳〜(読売新道)〜奥黒部ヒュッテ
  8/ 4 奥黒部ヒュッテ〜平ノ渡〜黒部ダム
  アルプスに咲いていた花

2006年8月2日(水)

  【黒部五郎小舎〜三俣蓮華岳〜鷲羽岳〜水晶小屋】

 黒部五郎小舎550〜756分岐800〜853三俣蓮華岳940〜1028三俣山荘1040〜1225鷲羽岳1325〜1520水晶小屋

 昨夜は久しぶりに満天の星を見た。天の川がクッキリと見え、こんなに星があったのかと驚いた。

 朝4時半から朝食を摂った。黒部五郎岳が朝日に輝いている。今日は最高の天気だ。早く出発したいが、今日は急ぐことはない。水晶小屋へ早く着いてしまうと三俣山荘まで下ってくれ、と言われるかも知れない。さりとて遅く着いて断られた場合、野口五郎小屋へ行くのが遅くなってしまうので、2時から3時の間ぐらいに着くように戦略を立てた。

 昨日、ビールを飲みながら明日は水晶小屋へ泊まって高天原へ行くと言っていたご夫婦に、私がのんびり行く戦略を伝え、念のため「三俣山荘で予約する」ことをお勧めした。そのご夫婦はもうとっくに出発しているはずである。

 私は5時50分にMさんと一緒に出発した。今まで山登りをしていて目的地へ早く着いてはいけない、というのはこれで2回目である。東北の鳥海山へ行った時、山頂の小屋へ早く着いた人が「下の小屋まで下ってくれ」と断られたそうだ。その断られた人から、「3時過ぎに着いた方がいいですよ。早く着くと断られるから」とアドバイスされ、そのアドバイス通り3時過ぎに着いたことがあった。

 今日も3時ごろ着くようにしよう、と思いながら急登を登っていると、どうしても自分のペースが狂ってしまう。
 急登の途中から振り向くと、黒部五郎岳がクッキリと見えた。登山道は窪んだ涸沢で、雨の日にここを登った時は沢になっていたが、それに比べれると今日は歩きやすい。時々「ゆっくりコース」という巻道が現れるが、そのまま直登コースを登って行った。

 40分ほど登ると尾根の高台へ出た。黒部五郎はもちろん笠ケ岳がすばらしかった。Mさんにぜひ笠へ行くことをお勧めした。笠から見る槍・穂高の展望は、日本の山岳風景とは思えない絶景である。

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朝日を浴びる黒部五郎岳

槍のようにそそり立った笠ケ岳

  2661のピークの手前で長袖のシャツを脱ぎ、日焼け止めクリームをたっぷり塗った。ご婦人二人も登って来た。我々より遅く出たはずなのに足が速い。ご婦人に記念写真を撮ってもらった。メールで送ってくれるという。

 三俣蓮華岳と三俣山荘への分岐で道を間違えた。左手が山荘への巻き道で、右手が山頂への道だが、標識が真っ直ぐ指しており、踏み跡があったので登って行くと絶壁のようになり、踏み跡がなくなった。後ろから歩いて来たご婦人に、「分岐から右ですよ〜」と怒鳴ってから引き返す。

 山頂へ着くとご婦人二人はすでに着いていた。
 山頂で山座同定をする。昨日はかなりいいかげんなことを言ってしまったが、今日は眺望がいいので修正した。何時間見ても飽きない北アルプスの眺望。ここは北アルプスのど真ん中。槍・穂高、笠、鷲羽、水晶などが取り巻いている。鷲羽岳はここから見ると『鷲が飛び立つように見える』ことから名付けられたという。

 ここは富山・岐阜・長野の県境になっている。3県を跨いだ大縦走である。

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鷲が飛び立つように見えるだろうか。

槍ケ岳と北鎌尾根

正面左の小さなピークが赤牛

 山頂で小1時間もくつろいでから、私一人だけ先に下ることにした。

 三俣山荘へ10時半に到着。早速、受付へ行って水晶小屋の予約をお願いすると、若いお姉さんが、「一人なら予約なんて必要ありませんよ。10人以上のパーティーはお断りしていますが」と笑顔で答えてくれた。思わず「助かった〜」と思い、全身の力が抜けた。(三俣山荘と水晶小屋は同じ経営)

 缶ジュースを買い、喉の渇きを潤した。ここで昼食にしたいと思ったが、レストランの前で湯を沸かしてラーメンを食べるのが気が引けて、そのまま鷲羽岳を登って行った。

 いつのまにかギラギラしていた太陽が雲に隠れ、ようやく暑さから開放された。それに風が爽やかで心地よい。道端にはイワツメクサやタカネツメクサがいっぱい咲いていた。

(写真左:三俣山荘から鷲羽岳の登り)

(写真右:鷲羽池)

 鷲羽岳の山頂で湯を沸かしてランチタイム。当然メインディシュはラーメン。ラーメンを食べてシャリバテを回復。コーヒー飲んでくつろいだ。

 鷲羽岳からの下りから見るワリモ岳がそそり立っていた。太郎平の方から見た時は槍のように見えたが、ここから見ると一つの岩塊のピークに過ぎない。

 水晶小屋までの道には、花がいっぱい咲いていた。特にタカネシオガマが多く、ミヤマダイコンソウやイブキジャコウソウなどもあった。タカネシオガマはヨツバシオガマより背が低く、花付きもよい。それに濃いアズキ色していて美しい。小屋の近くにはハクサンフウロもあった。

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お花畑

タカネシオガマ

 水晶小屋へ15時20分に着いた。泊めてもらえることが分かったので、つい安堵して足が重くなってしまった。

 小屋の受付には若い男性がいた。早速、宿泊をお願いすると、快く引き受けてくれた。その男性に、
「下の三俣山荘で予約をしようとしたら、受付にいたお姉さんから、予約なんてなくても大丈夫ですよ」
 と言われて安堵した。本当に助かった。あのお姉さんの言葉に救われた」と伝えた。

 受付の青年が、「今夜は混雑しますが、よろしいですか」と言った。
 私は「混雑は覚悟しています。泊めてもらえるだけで十分です」と答える。

 私はこの青年を大学山岳部のアルバイトかと思ったが、何と三俣山荘の伊藤オーナーの息子さんだった。つまり若旦那だった。後で失礼を詫びた。

 この水晶小屋について確認すると、概ね次のようになる。
 まず、@予約制ではない。A10人以上の団体はお断り。B10人未満でも予約をすれば小屋としては人員を把握する意味で助かる。C個人や10人未満のパーティーを予約がないからと断ることはない。
 ということだった。

 インターネットに、『予約していなかったので断られた女性がいる』という情報が流れていたが、その女性は10人以上の団体さんだったのだろう。若いご主人は、「10人以下のパーティーを断ったことはない」と言っていた。

 そもそも20人が定員の小屋へ60人も70人も押しかけるので、お客のことを考え、売り上げを落としてまで団体さんを断っているということは、高く評価されよう。いずれ近いうちに増改築があるだろうからそれを期待しよう。

 この小屋は水が得られないため天水を利用している。宿泊客には500mmリットルを200円で分けてくれるが、足りない人は「安曇野天然水」のボトルを400円で買い求めればよい。
 トイレは外にあるため、ヘッドランプと雨の日の傘は必需品となる。

 私は、まだ500ミリリットルのペットボトルが1本残っていたので、天水を500ミリリットル入れて貰った。

 今日の宿泊者は45人だった。私が到着したのが44番目で後から来た人が一人、つまり私はブービー賞ということになる。

 最初は外でビールを飲んでいたが、風が冷たいので小屋の中へ入り、受付の所で山談義をしながら飲んだ。明日は雲ノ平へ行くという人、高天原へ行くという人、竹村新道を下るという人もいたが、やはり一番多いのは水晶岳をピストンする人達のようだ。

 夜中にトイレに行った時、満天の星を見た。そして、わずか1分間ほどの間に流星を2個も見た。やはりアルプスの夜空は美しい。