燕岳から北燕岳へ向う人はほとんどいない。それゆえに燕岳から餓鬼岳のコースは、“北アルプスで最も静かで自然が保たれている山”といわれているのかも知れない。
出発して1、2分もすると霧雨が降ってきた。が、ここからが日本一とも言われるコマクサの群生地である。視界が悪い中を目を凝らしながら歩いて行った。
しばらくすると、ロープが張られた斜面へ出た。最初は「何んでロープがあるんだろう?」と思ったが、良く見ればコマクサ畑ではないか。株が小さいので目立たないが、紛れもなくコマクサ畑だった。
これが天然のコマクサだとしたらきっと日本一だろうが、人工栽培も含めたコマクサ畑なら草津白根山だろうと思った。草津は小学生が移植していると云うが、とにかく株が大きい。ここの2、3倍もあるのではないか。
「写真を撮るにはちょっと花が小さすぎるなあ〜」と思いながら、分岐したロープをピークに向かって登って行くと、ポツンと離れた所に10株ほどひと固まりになった大きなコマクサがあった。やっと大きなコマクサに会えた。しばしここで撮影タイム。
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ここをわずかに登ったところに北燕岳山頂への分岐があった。ザックを置いて山頂へ向かった。2、30mも登ると北燕岳の山頂だったが、三角点も標識もない平凡な山頂だった。特に今日は視界が悪いのですぐに引き返す。
燕岳から北燕岳へ来る途中で、ピストンしている一人の登山者に会ったが、ここからは誰もいなかった。実にもったいないと思った。燕岳から20分ほどでこんなコマクサ畑を見られることを知らないのだろうか。コマクサを保護するために小屋の人も積極的にお勧めせず、ガイドブックも余り紹介していないのかも知れない。
分岐からわずかに進むと北燕岳の右斜面がお花畑になった。まさに隠された秘境とでも言いたいほどのお花畑だった。写真を撮りながら左手に廻り込むと、正面に鋭い岩峰が見えた。「お〜お〜!」と感嘆の声を上げた。それにわずかに青空も見えた。
この岩峰の右下を巻いて行くと、さらにお花畑が広がった。チングルマやイワギキョウ、クルマユリ、テガタチドリ、エゾシオガマからトリカブト等々。ここは咲いていない花を探す方が早いくらいだ。これほどまでのお花畑を見るのは、白馬岳から朝日岳へ縦走して以来だ。
鋭い岩峰、右下を巻いて行く |
一面に広がったお花畑 |
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道は次第に荒れて来た。やはり歩く人が少ないせいだろう。
しばらく下ると、今度は登りになった。写真を撮りながらゆっくり登っていくと、岩峰の手前に標識があり、その岩峰を左から巻くと花崗岩とハイマツの稜線へ出た。小さなコマクサがポツン・ポツンと咲いていた。
(写真は巻いてきた岩峰)
しばらく進み、東沢乗越へ下る手前の開けた所で休憩した。周りに咲いていたコマクサを踏まないように腰を下ろして一服していると、後から来た男女5人のパーティーがすぐ近くで休憩した。そのパーティーのオバさんがお菓子を御馳走してくれた。
休憩している間にガスがパーと切れ、正面に乗越や東沢岳、その左手に剣吊(けんずり)などが見えてきた。やっと剣吊が見えた。バンザ〜イ!! ここで休憩してラッキーだった。もし、ここで休憩せずに乗越へ下ってしまったら見えなかったかも知れない。
唐沢岳 |
これから向かう縦走路が見えて来た。 |
ここで20分も休憩してしまったが、とにかく剣吊といわれる岩峰群を見ることが出来て満足だった。サア!次は餓鬼岳だ!
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