花と温泉の旅
1日目:田沢湖周遊−乳頭温泉・鶴の湯(泊)
2日目:乳頭山〜休暇村(泊)
3日目:秋田駒ケ岳 @八合目〜男女岳〜男岳
     秋田駒ケ岳 A馬場の小路〜横岳〜焼森〜八合目

3日目:2019年7月5日(金)
秋田駒ケ岳・・A


男岳・横岳の分岐から馬場の小路を下る。


 サア、早くムーミン谷(馬場の小路)へ行こう。

 急峻な斜面を慎重に下って行く。ここはニッコウキスゲの群落があるが、まだ蕾で一輪も咲いていなかった。

 しばらく下った時、登って来た単独の男性から、
「あの尾根の蔭に熊がいるから注意して!」とのアドバイスがあった。

なに〜熊だって!」 
 熊がいると聞いてビビッたが、ここで引き返す訳には行かない。熊がいた場所を教えてもらい、
「熊が怖くて山に登れるか!」と自分を奮い立たせ、先頭に立って下って行く。イザとなれば爆竹を持っているので心強い。

しばらく下った時、後ろの仲間から、
「あ、熊だ!熊が動いている!」との声に全員立ち止まる。そして目を凝らして見ると、登山道に熊がいた。距離はざっと100m位だろうか。登山道に熊がいては下れない。

 みんなで大きな声を出したり、歌を歌ったりしていると、熊は左へ逃げて行ったが、すぐに立ち止まって、こちらを見ている。カメラをズームにしてシャッターを押した(ピンボケだった)。


 熊はその後、左手の斜面をトラバースして姿を消した。しかし、まだその辺に潜んでいるかも知れない。

 勇気を出して、みんなで大きな声を出しながら下って行った。


(熊は雪渓の左上の斜面をトラバースして姿を消した。
 ちなみに登山道は雪渓より右にある)

 しばらく下ると、5、6人のパーティーが昼食を摂っていた。熊がいたことを話すと笛を吹いたり、鈴を鳴らしたりしていたが、食事も喉を通らなかったに違いない。

 やっと熊の恐怖から解放された(自分でそう思った)時、やけに疲労感を覚える。しかし、周りに咲いていたシラネアオイの花に癒された。

 次々と登って来る人に、熊がいたことを伝える。若い女性2人のパーティーは、かなりビビって引き返そうとしたが、私が、「ザックにぶら下げるている鈴を手でもって、ゆすぶりながら行けば大丈夫?」、とアドバイスした(責任は持てないが・・・!)。

 単独のオジさんは、「昨年はそこにいたんですよ!」と言って指を差す。私は今の話をしているのに、本当に可愛くないオジさんだ。

 やっとチングルマの群落になって来た。「これよ、これこれ! こうでなくちゃあ〜!」。この馬場の小路こそ、秋田駒の最大の魅力だろう。



 ここに咲く花は、チングルマばかりではない。エゾツツジやヒナザクラ、アオノツガザクラなども咲いている。

 駒池を過ぎた木道の休憩所で昼食にした。今日は熊騒動とチングルマの花で、もうお腹一杯だ!

 ここから、ショートカットで大焼砂の分岐まで9分で着いた。
 大焼砂は富士山のような砂礫で登りにくい。左手に咲いているコマクサを見ながら登って行くと、待望のイワブクロがあった。


(コマクサ)

(大焼砂を行く)

(イワブクロ)

 さらに登って行くと、ムーミン谷を一望出来るようになった。男岳、女岳、小岳が並んで見える。初めて見る光景に胸がときめく。


(ムーミン谷を見下ろす。正面が男岳、左が女岳、左手前が小岳)

 登るにしたがってタカネスミレが多くなって来た。ここは雪解けと共にタカネスミレが一斉に咲くそうだ。そのスミレがまだ咲いててくれた。

 横岳まで来ると、待望の乳頭山が見えた。昨日、あの山頂に立ったのだ、と思うと嬉しい。
 さらに、馬の背方面へわずかに進むと、男女岳や阿弥陀池、避難小屋まで見えた。


(左奥が乳頭山、右は焼森、湯森山、笊森山)

(男女岳、阿弥陀池、避難小屋も見える)

 これで今回登った山はすべて見ることが出来た。最高だ〜!今回は花良し、山良し、もう言うことなし、100点満点だろう。

 我々が撮影タイムで休んでいる時、20人位の団体さんが馬の背からやって来て、そのまま焼森へ向かって行った。この人達は馬場の小路をパスして近道をしている。実にもったいない、と思った。


(焼森の登りからの展望)

 焼森にも花が咲いていた。ミヤマダイコンソウの群落だ。

 焼森の山頂からも乳頭山が見えた。「乳頭山の見納めかな?」と思ったが、シャクナゲコースは乳頭山を正面に見て下って行く。

 途中で先ほどの団体さんを追い越して行く。

 シャクナゲコースは、シャクナゲの花を期待していたが全くなく、半ば諦めかけた頃、シャクナゲが現れた。「あったゾ〜!」

 八合目へ14時ジャストに到着。14時5分のバスに待ち時間なしで乗れた。
 アルパこまくさで汗を流してから、ゆっくりと帰路に就いた。
  
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