1日目:信濃大町=室堂〜(雷鳥沢)〜剣山荘・・・1/6
2日目:剣山荘〜真砂沢ヒュッテ〜(仙人新道)〜仙人池ヒュッテ・・・2/6
3日目: その1 仙人池ヒュッテ〜仙人温泉小屋・・・3/6
その2 仙人温泉小屋〜(雲切新道)〜阿曽原温泉小屋・・・4/6
4日目:阿曽原温泉小屋〜(水平歩道)〜欅平=(トロッコ電車)=宇奈月温泉=新魚津=東京・・・5/6
おまけ:今回出会った花・・・6/6
9時5分、仙人温泉小屋を出発。ここから湯煙りが上がる源泉をめざして仙人谷へ下り、丸太の橋を渡って右岸へ出る。5、6分で源泉へ出る。硫黄の匂いを嗅ぎながら2、3分も登ると小さな流れがある。さっき温泉小屋の人に、ここが”雲切新道の最後の水場” であることを教えてもらったので、ペットボトルの水を全部入れ替えて一服。どうせ急ぐ旅ではない。
仙人谷を渡って対岸の尾根へ | 源泉のすぐ下に縦走路がある | 登り切った所から小屋を見下ろす(拡大可) |
しばらくすると標識があった。「尾根頂上(標高1629mピーク)」と書いてあった。一瞬、「えっ、ここが尾根の頂上」と思ったほど、平坦な稜線だった。9時57分着。
こんな広々とした所で昼食にしたいが、まだ10時前である。もう少し先へ行ってみよう。
しばらくはルンルン気分で歩いて行った。道幅も広く、道も平坦である。しかし、ルンルン気分はここまで。標識があった所から10分も下ると、ついにハシゴが現れた。ハシゴを下る前に小休止。
ハシゴは垂直のように見え、緊張感が走る。とにかく慎重に下ろう。
アルミのハシゴ3連と丸太のハシゴを慎重に下ると、眼下に黒部川が見えた。今日はあの黒部川の下流にある仙人ダムまで下り、そこから登り返さねばならない。
頂上の標識 | 急な3連バシゴ | 眼下に黒部川が見える |
ここからはロープとアルミバシゴの連続になった。とにかく、ここは左が仙人谷、右が雲切谷に挟まれた急峻な尾根なのである。よくもこんな所に道を造ったものだと感心してしまう。
時々、休憩をするが、5分休憩のつもりが、すぐに10分を過ぎてしまう。とにかくあせらずにゆっくり行こう。こんなイヤラシイ所で急いでも仕方がない。
太い松の木があったので、そこで昼食にした。ここならザックが転げ落ちることもないだろう。
正面にピラミダルに見えた唐松岳の山頂に雲がかかり出した。急に天気が崩れるようなことはないだろうが、雨が降るとイヤラシイ。ここへ来るまでは雨が降ったら雨具を着て、さらに傘をさして歩こうなどと考えていたが、傘などとんでもない。両手両足をフルに使わないと下れない。
まだまだクサリ、ロープ、ハシゴが続く。もう写真を撮る気にもならない。
やがて沢の音が大きく聞こえるようになると、ブナ林の急斜面をジグを切って下るようになった。そして左下に小さなダムが見えて来た。
前方右手に大きな滝が現れた。ここからも、まだまだロープ、クサリ、カイダンが続く。
やっと、もう少しという所から左へトラバース。がっかりした。なだらかになったトラバース道を進んで行くと、大きな一枚岩にぶち当たった。岩の下を巻くように進み、仙人谷が見える所から急下降。
仙人谷の橋を渡ると、なだらかな道になった。
眼下に小さな仙人ダムが見えて来た | 大きな一枚岩 | 仙人谷を渡る |
しかし、この雲切新道の最後の仕上げが待っていた。仙人ダムへ降りる垂直に近いようなアルミのハシゴであ。5、6段の連続なので緊張する(写真右:もっと急なハシゴがあったが写真を撮れなかった)。
このハシゴを下り、ダムの脇を通ってダムサイトへ出た。これで雲切新道の完結となるが、私はダムのコンクリートの上へへたり込んでしまった。あ〜あ、なんとシンドイ道なんだ〜。でも、この道を切り開いた人達はどれほど大変だったことか。本当に頭が下がる思いだ。
ここからは従来からある下ノ廊下からの道を辿って、阿曽原温泉小屋へ出ることになる。
標識に従って進んで行くと、建物の中へ入って行くので驚いた。建物の中を歩いているとダム関係者が、「お疲れ様」と声をかけてくれた。
出口のところで、一瞬、とまどった。鍵がかかった格子戸から外へ出て、また鍵をかける。鍵といっても無人小屋の入口のように内外から開閉できるものだ。これは熊の侵入防止だそうだ。
ここから、いよいよ阿曽原温泉をめざして行く。かなりの急登を登って行く。ここは覚悟が出来ていたが、ペースは上がらない。
途中で雨が降って来た。雨具を着込んで急登を登って行くと、大きな石の下に標識があった。ここで2006年までのコースと合流する。(ただし標識には書いていない)
なだらかなトラバース道を進み、トンネルを潜り、涸れ沢を一気に下った所に阿曽原温泉小屋(写真左)があった。14時58分着。
雨はいつの間にか止んでいた。
受付をすると、今日は一人で1部屋を貸切だという。ザックを受付の脇へ置いて着替えだけを取り出し、缶ビールを買って露天風呂へ直行。しかし、ここの露天風呂は小屋からかなり遠い。風呂場へ着くと、テントの若者が一人で入っていた。(写真右下)
早速、私も露天風呂へ飛び込む。露天風呂へ入りながら飲むビールは最高! やはりここまで来た甲斐があった。
雲切新道は、実はこの小屋の人達が仲間を集めて切り開いたという。下るだけでもシンドイのに、ヤブを刈ってクサリやロープ、ハシゴなどを固定し、カイダンを造ったりと本当に大変だったと思う。心から感謝します。