憧れの仙人池〜雲切新道〜水平歩道を行く・・5/6

  1日目:信濃大町=室堂〜(雷鳥沢)〜剣山荘・・・1/6
  2日目:剣山荘〜真砂沢ヒュッテ〜(仙人新道)〜仙人池ヒュッテ・・・2/6
  3日目:仙人池ヒュッテ〜(雲切新道)〜阿曽原温泉小屋・・・3/6、4/6
  4日目:阿曽原温泉小屋〜(水平歩道)〜欅平=(トロッコ電車)=宇奈月温泉=新魚津=東京・・・5/6
  おまけ:今回出会った花・・・6/6


4日目: 2008年9月3日(水)

阿曽原温泉小屋〜〈水平歩道〉〜欅平=〈トロッコ電車〉=宇奈月温泉=魚津=東京


絶壁をくり抜いた水平歩道

阿曽原温泉小屋525〜610沢615〜716折尾ノ大滝〜840大太鼓〜長いトンネル(雪渓の下)〜短いトンネル〜930休憩940〜1041水平歩道終点1045〜1128欅平1146=1304宇奈月温泉1318=1356新魚津=JR魚津1409=1552越後湯沢1602=1720東京

 いよいよ最終日、水平歩道を歩く日である。水平歩道をインターネットで調べてみると、
『水平歩道とは、欅平から仙人谷までの約13kmの登山道で、黒部渓谷の絶壁を「コ」の字にくりぬいて作られており、標高約1000mの等高線に沿って水平に伸びる。

 水平歩道は、黒部川の水力開発を目的として1920(大正9)年に第三発電所の建設資材の運搬に利用されたが、当時は今ほど道が整備されておらず、重荷を背負った歩荷の転落事故が相次いだ。』 と書いてある。

 その水平歩道を歩くのである。楽しみでもあるが緊張感が漂う。
 天気は昨日までの予報では曇り後雨と報じていたが見事にはずれ、夜中は満天の星だった。今日は天気の心配はしなくて済みそうである。

 この阿曽原温泉小屋は、朝食が6時からだというので弁当にしてもらい、5時25分に出発した。

   テントを張っていた青年はすでに出かけたようだ。これでもう熊の心配はしなくて済む。

 キャンプ場をまっすぐ進み、沢を2本渡る(写真左)と登りになる。鉄塔をめざして約30分ほどの登りだが、やっと登り切ったと思いきや、今度は下りになった。少し損した気分になったが、すぐに水平歩道になった。

 しばらく水平歩道が続く。この辺はまだ森林地帯なので、高度感もない。
 小さな沢へ出た。ここで小休止。水をガブガブ飲んだ。水場で水を飲まないと損したような気になるイヤシイ性格なのだ。

「ありゃ・・・!ハシゴが現れた」
 ここは水平歩道なので、多少のアップダウンがあるだけかと思っていたが、ハシゴの登りがあるとは想定外だった。ハシゴで登った分、今度はハシゴを下らされる。

 少しずつ岩場が現れ、山の斜面が垂直のようになり、テレビや写真で見た、あの水平歩道らしくなって来た。
 大きな沢が見えて来た。沢へ近づくと大滝があった。標識に「折尾ノ大滝」と書いてあった。そして、「欅平7.3q、阿曽原4.3q」と表示。まだ7.3kmもある。
 大滝の下を石伝いに渡り、少し回り込むと、今度は砂防堤が現れた(写真左)。その砂防堤はトンネルになっていたので驚いた。砂防堤の中を歩くなんて初めてだ。

(写真右は出口から見たもの。砂防堤に入口があるのが分かるだろうか。左右とも拡大できます)


 いよいよクライマックスである大太鼓へと向かって行く。切り立った岩を削り取った、まさに水平歩道である。
 大太鼓に備え、手前で大休止。足がふらついたら一巻の終わりだからである。

 対岸の奥鐘山西壁が迫って来た。黒部の三大岩壁の一つで、「黒部の怪人」と言われているそうだ。
 (写真左、拡大できます)

 しかし、じっくりと観察している余裕はない。頭上や左手の岩に頭や身体、ザックなどをぶつけないように細心の注意を払って行く。もちろん足もとの岩で転ばないよう、慎重に歩いて行く。
 もっとも、左側の岩にはほとんどワイヤーが張ってあったので、それを軽く握っていけば落ちるようなことはない。


 ついに大太鼓である。凄い!! 声が出ない。足元から5、600mも一気に落ちている。ここから落ちたら一巻の終わりである。よくもこんな絶壁に道を造ったものだと感心する。大太鼓へ8時40分着。

【拡大できます】

水平歩道の核心部、大太鼓

正面から撮るとこうなる

対岸の水平歩道が見える


 大太鼓を過ぎても、まだ気が抜けない。水平歩道はまだまだ続く。

 今度は大雪渓が現れた。あれをどうして渡るのだろうか。トラバースするのだろうかと心配していたが、何と手前からトンネルになっていた。入口に「照明が必要」と書いてあった。

 私は事前にトンネルがあるのでヘッデンが必要と聞いていたので、すぐにポケットがら出せるようにしていたが、まさか雪渓の下にトンネルが掘ってあるとは知らなかった。

 トンネル内は曲りくねって真っ暗だった。しかも流水があり、天井からも水が落ちて来る。足元を見て歩いていたら天井の岩に頭をぶつけてしまい、目から火花が散った。


 途中にマツムシソウが咲いていたが、写真は撮らなかった。こんな危険なところでは写真より命の方が大切だからである。

 黒部川が眼下に見える。凄い高度感だ。
 三方が絶壁に囲まれ、絶体絶命のような所へ出た。どうするんだろう? と思って周りを見ると、左手にトンネルがあった。「あ〜あ、助かった!」
 ここは短いトンネルなのでヘッデンは必要なかった。

 水平歩道はまだまだ続く。憧れの水平歩道ではあるが、もう充分だ。


 安全な場所で休憩していると、欅平駅のアナウンスが聞こえて来た。欅平はもう近いと思いながらも、あと1時間半はかかるだろうと思った。

 途中で上半身裸の人が歩いて来たので驚いた。観光客が登って来て、暑くてたまらず裸になったらしい。

 水平歩道の終点(標識の所)へやっと着いた。10時41分。すぐ下の広くなったところで一本。

 ここから欅平の駅まで急下降。下りっぱなしである。昭文社の地図では登り40分、下り20分となっているが、とても20分で下れるコースではない。本当に長かった。

 欅平の駅へ11時28分着。やっと着いた。扇沢から3泊4日の旅も、これで無事フィナーレとなった。
 駅で急いで缶ビールとつまみ、切符を買って、11時46分発のトロッコ電車に飛び乗った。やっと憧れのトロッコ電車にも乗れた、と満足しながらビールを飲んでいると、何と雨が降ってきた。屋根しかないトロッコ電車は雨が降るとつらい。


登山道を下ると欅平駅へ出る

憧れのトロッコ電車にも乗れた

 宇奈月温泉で降り、富山地鉄まで雨の中をトボトボと歩いて行く。お客さんのことを考えたら駅を連結するとか、雨に濡れずに済むようにしてほしいものだ。
 富山地鉄で新魚津へ出て、JRで越後湯沢へ出て新幹線で帰って来た。