槍・穂高・ジャンダルム縦走・・・4/6 北穂高から奥穂高へ

  1.プロローグ、上高地〜横尾へ
  2.横尾〜槍ケ岳へ
  3.槍ケ岳〜北穂高へ
  4.北穂高〜奥穂高へ
  5.奥穂高〜ジャンダルム〜天狗のコル〜岳沢ヒュッテ〜上高地
  6.槍・穂高に咲いていた花
  

北穂高からの奥穂高(奥)

2005年8月5日(金)

北穂山頂515〜633最低のコル〜749涸沢岳805〜821穂高山荘〜918奥穂高930〜1135ジャンダルム1150〜1415天狗のコル1425〜1621岳沢ヒュッテ

 4時起床。4時半には荷物を持って、テラスの槍ケ岳が良く見える場所を確保する。湯を沸かし、パンとコーヒーで朝食を摂りながら日の出を待った。

 ここから槍ケ岳が朝焼けに染まる写真を撮るのも今回の目的の一つだった。本当に槍が輝いてくれるだろうか。今朝は昨日より東の空が雲が少なく、すっきりしている。かなり期待出来そうだ。

 少しずつ、東の空が明るくなり、淡いピンク色から濃いオレンジ色に変わって来た。そして、常念岳の左側から眩しい光線が走り出した。が、槍は思ったようには輝かなかった。やはり東側から見ないと無理のようだ。それでも晴れた空に、わずかでも朝日を浴びた槍が撮れて満足だった。

 荷物を担いで北穂高の山頂へ立った。ここから完璧に明るくなった槍や昨日歩いて来た大キレットの写真を撮った。

 涸沢岳や奥穂が朝の光を浴びて輝いていた。前穂の北尾根(写真右)も頂稜部が朝日に輝いていた。何とすばらしい朝だろうか。何度も登ったこの北穂ではあるが、まるで初めて見る光景のように新鮮で美しく、感動的だった。

 いつまでもこの景色を楽しんでいたかったが、今日はのんびりもしていられない。先を急ぐことにした。

 ここからは岩場のレンチャンとなった。岩場を歩きながら、ふと、昔のことを思い出した。5月のGWにこの北穂から奥穂を縦走したのが私の最後の雪山だった。ここからの帰り道、横尾近くで「もう、雪山はや〜め〜た!」と、アイゼンを捨てて帰った。その翌年、西穂から奥穂へ登ったのを最後に、山靴は10年以上も物置の隅に追いやられるハメになったのである。

 それ以来、もう穂高へ登ることはないと思っていたので、今こうして穂高の稜線を歩いていることが信じられなかった。
 それに、こんな岩場のいやらしい所で、雪と氷で凍てついた時によく登ったものだと我ながら思った。今の私には別人としか思えなかった。今は雪のない夏山でさえビビっているんだから・・・。

 涸沢岳と奥穂の展望台のような所へ出た。6時23分。
 涸沢のコルへ6時33分着。
 (写真右は涸沢のコル付近から返り見た北穂)

 ここから涸沢岳の登りとなる。絶壁である。涸沢槍が広角レンズでも入らない。何とか1枚撮った。

 涸沢岳7時49分着。眼下に穂高山荘が見えた(写真左)。ここでミカンを食べ、とっておきの黒糖で元気をつけた。

 涸沢岳の下りから見たジャンダルムがすばらしかった。黒々と光り輝き天に向かってそそり立っている。迫力充分だ。でも距離はまだまだ遠い。前穂高北尾根は逆光だった。

 穂高山荘8時21分。
 ここから奥穂へ登るクサリ場が渋滞するが、時間帯が幸いしたのかほとんど渋滞もせずにハシゴやクサリ場を登ることが出来た。これが朝の早い時間帯だと山頂でご来光を迎えて下って来る人と、登って行く人が交差して渋滞する。

 奥穂高9時18分着。ここから今歩いて来た北穂からの稜線を眺める。北穂の左手に見えるはずの槍ケ岳は穂先がガスに隠れていた。
 そして、これから目指すジャンダルムは目の前にあった。今回の最大のターゲットであり、最大の難所でもある。そのジャンダルムを眺めながら一服。


奥穂高から見たジャンダルム。拡大写真は→こちら

 それにしても凄い。飛騨側と信州側が一気に1,000mも切れ落ちた絶壁である。本当にあんな所が登れるのだろうか、と不安になるが、せめて一度でも登った経験があるというのが救いだ。
 それにしても、あんな所を攀じ登ろうというのは、やはりバカとしか言いようがない。そのバカを今、あえてしようというのである。
 闘争心を奮い立たせて、いよいよ出発。