祝島の日々 2008 1〜3月


 スナメリが三浦の浜に打ち上げられる

体長110cmと、まだ子供のスナメリのよう

 春先の祝島や長島の周辺では、祝島で言うボウズイオ、つまりスナメリが多く目撃されます。

 瀬戸内海でのスナメリの目撃数は減り続けていますが、柳井市の平群島から上関町の長島・祝島、また平生町や田布施町、光市など、周防灘東部ではまだまだ日常的にスナメリを見ることができます。


鳥に啄ばまれたと思しき左目周辺以外に、
大きな傷跡はなし

 祝島では今年も「どこそこでスナメリの群れを見た」、「波止場でアジ釣りをしていて急に釣れなくなったと思ったら、すぐそこにスナメリが来ていた」など、そういった話が聞こえてきます。

 またスナメリではありませんが、先頭から最後尾までの長さが2kmくらいはあったというイルカの群れも、先日祝島の目の前を東に向かって通っていったそうです。

 祝島周辺の海域では今の時期に子連れのスナメリが多く見られるため、子育てのための海域ではないかという専門家の意見もあり、それだけこの周辺の海域が豊かである証拠とも言えそうです。

 そのため、時たまスナメリが漁師の網にかかったり、子供のスナメリが事故や何らかの原因で死んで浜に打ち上げられたりすることがあり、今回は三浦湾に体長110cmのおそらく子供のスナメリが打ち上げられていました。

 スナメリなど鯨類の死骸は処置の方法などが法的に定められているため、手続きを踏んで届出等をしなければなりません。写真のスナメリは、今回は「海響館」を運営するしものせき水族館に提供することになりそうです。

追記
このスナメリは研究用として下関市立しものせき水族館に提供いたしました。
詳しくはしものせき水族館 鯨類ストランディング情報の番号151のところをご覧ください。

リンク:下関市立しものせき水族館 海響館
     祝島でのスナメリの死骸漂着例(スナメリ倶楽部)
     アースデイ@瀬戸内2008 みんなで呼ぼう!スナメリクジラ
(撮影3/31)


 ひじきの干しあがり

乾いたひじきは板のように1枚に

 たいへん多くのご予約・ご注文をいただいているため、少々発送が遅れ気味な祝島の干しひじきですが、大潮のたびに頑張って生産しています。

 天候の良い日に浜で干されたひじきは、乾くと1枚の板のようになります。

 この状態から、島のおばちゃんたちが手作業でゴミなどを取り除きながら袋詰めをしていきます。

浜風が通る波止場を利用して天日干し

 時期的にもそろそろひじきに白いもの(たんぱく質や塩分がひじきの外にでてきたもの)やエビが混ざってきはじめました。また 今年は昨年に比べ入荷量がやや少なめなので、4月以降の出荷分にはそういったものも出荷させていただきますので、ご注文を検討されるお客様にはご了承いただきたいと思います。

リンク:祝島のひじき
(撮影3/26)


  春の山の恵み

ツワの上に乗っている、ラッキョウに似たものがノビル
赤い節のあるイタドリは祝島では「ポンポン」、「スッポン」と呼ぶことも

 春が近づいて暖かくなってくると、島では山歩きをする人が増えてきます。

 ちょうどこの時期の山にはツワ(ツワブキ)やノビルなどの山菜が豊富に生えているので、散歩ついでにそれらを採って帰る人を多く見かけます。

 ツワブキは皮をむいてあくを抜いて煮物に、ノビルは茹でて酢味噌をつけ

朝の散歩ついでに山菜採り
て、または味噌汁に入れたりして食べます。

 イタドリは高知のほうでは食べる習慣があるようですが、祝島ではあまり食べる人は見かけません。このおばちゃんは酢の物にすると言っていました。
(撮影3/26)


  山桜、ほころぶ

 祝島の山桜のつぼみがそろそろほころんできました。

 祝島では長磯や小山周辺の山桜が最初に咲き始めるのですが、そのあたりでは山桜の赤い新芽に混ざって白い花が徐々に開き始めています。

 まだまだつぼみが多いため、花見ごろはもう少し先になりそうですが、北野や三浦湾から山を見上げると満開に見える桜の木もちらほらとあります。

 30日にはお花見クルーズがありますが、少し天気が悪そうなのが心配です。





(撮影3/26)


  ひじきの天日干し


 じっくり炊かれたひじきは、今度は天日と浜風で干しあげていきます。

 海岸端に干されることが多いですが、練塀を使って立てかけたり、屋根を使ったりと、2月中旬頃の最盛期には、島のいろいろなところでひじきを干しています。

 寒い時期はまだ少ないのですが、ひじきに他の海藻や細かなゴミが混ざったりするので、なるべく混ざらないよう手作業で少しずつひじきをきれいにしていきます。

 なお、3月に入って暖かくなってくると小さなエビやカニなどの甲殻類の仲間がひじきに混ざるようになります。

 なるべく取り除くようにはしていますがとてもとりきれる量ではないですし、それらは食べても害は無いので、祝島市場で取り扱っている干しひじきにはそういったエビやカニの仲間が入っていることもありますので、ご了承ください。

練塀を使って干す家も


他の海藻やゴミが混ざっていないかチェック


手作業で丁寧に取り除いていく
(撮影2/14)


  ひじきの釜炊き

炊き始めのひじき
茶色のひじきは最初に緑になり、それから黒くなる

 夜中に採ったひじきは、さっそく翌朝から鉄の大釜と薪でじっくり時間をかけて炊いていきます。

 祝島の海で育ったひじきそのものの味はもちろん、昔通りのやり方で炊かれることで、祝島のひじきは風味を逃がさず、柔らかく仕上げられていきます。

 この後、火を消した後も蓋をしたままじっくりと蒸らして仕上げ、2〜3日ほど天日と浜風で干して祝島の干しひじきの完成です。

ときどき混ぜ、全体にまんべん無く火が通るように


薪で、じっくりと
(撮影2/8)

  ひじきの口開け、深夜のひじき採り

足下は一面、ひじきの海

 今年もようやくひじきの口が開きました。

 今の時期は昼より夜のほうが干潮時の潮位が低くなります。

 口開けの日は午前2時50分ごろが干潮、潮高7cmとよく潮もひったので、深夜にもかかわらずと何組ものひじき採りが海へ向かいました。

 夜間のひじき採りは一人で行くと危ないので、たいてい2〜3人が一組になって行きます。

 そのためひじき採りは「何人」でなく「何組」と数えることが多く、「昨日は(ひじき採りに)何組行っちょったで」、「三浦は、うちらあ入れて5組かねえ」といった感じで話します。

 今年のひじきはのびもそう悪くなく、新月で真っ暗でしたが口開け初日はどの組もかなりの量のひじきを採ったようです。

ひじき本来の色は、黒というよりつやのある茶色
乾燥すると黒っぽくなる



今年のひじきの「のび」は悪くなさそう
初日なので気合を入れて採ったひじきが山のように


 ひじきの採れる日は4〜5日で終わり、次の大潮までお休みですが、これからまだ釜炊きと天日干しという作業が待っています。

関連リンク:ひじき(スナメリ倶楽部)
(撮影2/7)


  島の朝市、開催


 2/3の節分の日に島の朝市が開催されました。

 寒さと強めの風で出品も人出も少なめでしたが、ぜんざいや焼き饅頭の屋台や、島の人の手作りパンや寒天などが人気でした。

 ひじきの口開けの2/7以降は、特に大潮の前後は忙しい人が多くなるので、次の島の朝市は3月の後半になりそうです。

祝島のみかんも格安で販売


焼き饅頭屋さんが久しぶりの開店で行列も
(撮影2/3)


祝島小学校の餅つき大会

 毎年恒例の祝島小学校の餅つきが今年も行われ、たくさんの島の人たちも参加し、子供たちと一緒に餅つきを楽しみました。

 今年度は祝島小学校が再開されてから3年目、餅つき大会も3回目です。

 餅をつくほうはやはりまだ力が足りないようで子供たちだけで餅をつききることはできませんでしたが、島のおばちゃんたちという先生たちのおかげか、餅を丸める腕は上がってきたようです。

 当日の様子は下にリンクしているえべすやさんのblogに詳しく紹介されていますので、ぜひそちらもご覧ください。


関連リンク
もちつき大会 01/16(祝島・えべすや@祝島の情報)

2007年餅つき大会の様子(祝島の日々2007年1〜3月)
 

粘るお餅
杵がなかなか上がらない



よもぎたっぷりのよもぎ餅
よもぎは子供たちが昨年に祝島で採っていたもの



再開後の祝島小学校の餅つきは今年で3回目
子供たちの餅を丸める手際も良くなってきた?かも

(撮影1/16)


2008年、サヨリの初売り
サヨリを計る加工グループのおばちゃんたち

 祝島の正月といえばサヨリなのですが、昨年はかなりの不漁でした。

 そして今年は燃料代の高騰や漁師の高齢化もあり、サヨリ網をする船が祝島では一組(サヨリ網は2隻で引く)しかおらず、水揚げはかなり少なくなる見込みです。

 新鮮なサヨリは、刺身はもちろん、塩焼きやフライなどにしても本当に美味しいのですが、祝島だけでなく他のところでも今年の漁獲量は少なめとのことですので、今年のサヨリは貴重品になってしまいそうです。

ピカピカの新鮮なサヨリ


サヨリの初売りを待ってた島の人たち
(撮影1/16)


八幡丸(150年前の模型)の修復、終了
船大工小屋から出される八幡丸

 新庄さんの船小屋で昨年から八幡丸の修復がされていましたが、それが終わり、船大工小屋から出されることになりました。

 いつも船大工小屋に集まる人たちが「てご(手伝い)」をして、船小屋から出された八幡丸は、ちょうどこの日が神明様と同じ日だったので、東の農協の倉庫に入れられる前に倉庫前にしばらく飾られました。

 東の浜で行われる神明様への行き帰りに島の人たちが足を止め八幡丸を見ていましたが、八幡丸のことやそれを祝島で修復されていたことを知らない人もけっこういました。(特に西方の人たち)

 当日は午前中に地元のテレビ局が取材に来ていて、その日の夕方に山口県内のローカルニュースで放送されたのですが、

神明様と同じ日だったため、
神明様への行き帰りの人が見物に



地元のテレビ局も取材に来ていた
(1/14にローカルニュースで放送済み)
肝心の新庄さんたちは船小屋で修復終了祝いの酒盛りをしていて放送を見た人は一人もいなかったそうです。

 この八幡丸、折を見て伊美別宮社へ運ばれる予定ですが、せっかくだから今年の夏の神舞まで島におかせてもらえないか、という声もあります。

関連リンク
祝島フォト情報(1/14の日記)
伊美別宮社の八幡丸(約150年前の模型)、祝島で修理を(祝島の日々 2007年10〜12月)
(撮影1/14)


2008年の神明様

 祝島の神明様は、今年は祝日の移動にあわせて14日に行われました。

 天候も良く、風もそれほど無く、絶好の日和でした。

 他の地域の神明様と同じように、この神明様の煙を浴びたり、この火で焼いたお餅を食べるとその年は無病息災だ、というのは祝島も同じです。

 道の上でお餅が焼けるのを待ってた人は、「これを食べんと正月が開けた気がせんねえ」と言いながら焼きたてのお餅を熱そうに食べていました。

餅焼き開始


釣竿のように、
竹の先に網をぶら下げて餅を焼く人も


お宮の浜の鳥居の下で、お餅が焼けるのを待つ


焼き上がり

(撮影1/14)



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