地震・防災関連用語集

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堆積

狭い意味では土砂などが積み重なることを堆積といいますが、地質の分野では堆積物(地層)の形成する過程を総称して堆積といいます。

海は堆積物が積み重なる場所であり、陸起源の泥などが届かない外洋でもプランクトンの遺骸や空気中を漂う微細な粒子が堆積しています。河口に続く海域は河川から供給される土砂が盛んに堆積している場所であり、河川の流れによって河口近くに砂などの粗粒の堆積物が堆積し、粘土などの微細な粒子は沿岸流などによって遠くまで運ばれ堆積します。海で堆積した堆積物は地質時代を経ることによって圧縮・脱水・変形などを受けながら固結して礫岩・砂岩・泥岩やチャート(遠洋性堆積物)あるいは凝灰岩(火山性堆積物)などの堆積岩となります。新生代新第三紀以前の堆積物は固結して堆積岩として存在しますが、それより新しい第四紀の堆積物は礫・砂・粘土などの状態で多くの場合固結しないまま存在しています。

新生代新第三紀の堆積岩は比較的新しい地質時代の生成物であり、軟らかい岩であることから軟岩と呼ばれます。これに対し、中生代や古生代に堆積した堆積岩は長い地質時代を経ることによって硬く固結しているので硬岩と呼びます。これらの硬岩も風化によって軟化すれば風化軟岩に分類されます。軟岩や硬岩などは聴きなれない言葉ですが、岩掘削の施工性を考慮して、軟岩・中硬岩・硬岩に区分されることがあります。岩掘削の施工性はこのような軟硬のほかにも剥離性のある層理面の状態、亀裂間隔や亀裂が密着しているか開いているかなどの状態が大きく影響します。なお、一般には硬い岩ほど割れ目は多いという傾向があります。

陸上部での堆積作用によって形成された地形には谷の出口付近の扇状地や河川中流から河口に至る付近の中州および河口付近の三角州などがあります。

山地斜面の崩壊土砂が渓流に流れ込むことなどによって発生する土石流は谷底に堆積している土砂を巻き込み急速度で流下して谷の出口などで大量の土砂や岩石を堆積させます。土石流が繰り返して発生することにより形成された堆積地形は扇状地性地形の1つであり、沖積錐と呼ばれています。