地震・防災関連用語集
カテゴリ:地質年代と地層
現在の河岸・海岸平野などを形成する堆積物を沖積層と呼びますが、沖積層は完新世の堆積物*とは異なることを適切に定義した場合にのみ認められる用語になりました。
新生代第四紀は氷河時代とも呼ばれ、氷河が拡大した氷期と、氷期と氷期との間の温暖で氷河が縮小した間氷期を繰り返してきました。氷期は海水面が低下して陸地が拡大したのに対し、間氷期には海水面が上昇し、陸地内部まで海水が浸入しました。海水が浸入することによって新たな海水侵入域は河川によって運搬された砂や粘土が堆積することになります。氷期と間氷期の繰り返しによる地形は段丘(洪積台地)として残されていますが、沖積層は最終氷河期の海面低下期(約2万年前の更新世末期)以降に堆積した地層に相当し、沖積層が形成する地形は低地として存在しています。
縄文時代早期から前期にかけては現在よりも海水面が上昇し、内陸部まで海が進入しました。これを縄文海進といいます。内陸部に浸入した海には、内湾成の堆積物が堆積しましたが、その後、海水面が低下し、海が退いた後には新しい堆積物で覆われた平坦な平野が残されました。縄文海進とその後の海退は、結果的には次の弥生時代以降の良好な米作地帯と現在の都市地盤を準備しました。この平坦で広大な平野や低地を含めて沖積層で形成されている平野を沖積平野といいます。代表的な沖積平野に海岸平野があります。
第四紀は更新世と完新世に分けられますが、完新世の堆積物*がそのまま沖積層に相当するわけではありません。沖積層は最終氷期以後の堆積物を指し、更新世末期および完新世の堆積物に相当します。
沖積層は工学的には軟弱な地層で特徴付けられ、構造物の基礎として注意が必要な地層です。