地震・防災関連用語集

カテゴリ:地形

沖積平野

最終氷河期が終了し、気候が温暖になると海水面は断続的に上昇しました。特に、縄文時代早期から前期にかけては、海水面が現在よりも上昇し、内陸部の台地周辺部まで海が侵入しました。この海進を縄文海進といい、この時期に内湾成の泥質堆積物を主とする地層が広範囲に堆積しました。

その後海面が低下すると、海岸線が退きながら浅い海には河川から供給される三角州性の堆積物が堆積し、また、同時に洪水のたびに平野にも土砂が供給され、流路を幾たびとなく変えながら平野が拡大していきました。現在の海面位置まで海面が低下すると、そのあとには低平地が残されました。このようにして出現したのが海岸平野です。

沖積平野は海岸平野はとほぼ同じ意味合いで使われますが、沖積層で形成された平野という意味合いを持っており、海岸平野よりも広い意味合いで使用されます。標高の高い盆地などにも沖積層は広く分布していますが、このような平野は海岸平野ではなく、沖積平野あるいは氾濫源と呼ばれます。 

沖積平野は大河川の流域、あるいは河川が流出する海岸周辺に広く分布する低地(沖積低地)であるため、しばしば洪水に襲われてきました。また、軟弱な粘土層や未固結の砂層で形成されているため、地下水の汲み上げによる地盤沈下、地震による地盤の液状化や不同沈下などの問題を起こしてきましたが、海に近く、平坦で水利的条件に恵まれていることから、人間の活動の場となっています。東京、大阪、名古屋、新潟、広島などの多くの大都市は沖積平野を主体として形成されています。