石の森 第 121 号   ページ   /2004.5

 リハビリ期

石 晴香


絶対あるべきものなんのに
分からない
自分の手と足
曲がることも動くことも忘れてしまった

確かにそこにあって
自にも写るのに無視してしまう
半分がなくなっている
死んだ脳は生きかえらない

ものを扱うように
ゴムみたいになった手足を扱う人たち

私はそれを
不思議な思いで見つめる

血色が悪くなって腫れぼったい手に
手を重ねながら
この人のこれからを考える
少しの
奇跡の時を信じて
私の手のぬくもりが脳に伝わりますように
いつも願いが止まらない


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