石の森 第 121 号   ページ   /2004.5

 石船山

金堀 則夫


計り知れない
有史の石ころ
流れる水
木々に覆われ
わたしは立っている
ものが
石として
虚空にそびえる
巨石
木々を乗り越える それは
荒波を乗り越えてきた船首
やっとここまでたどり着いた
あかしとして
いま ここにある
あの海から助けられ 救われてきた
その向こうにあるものとして
崇めることのできる
わたしのものが
ものとして
見ることが
名づけることが
見えてくる
感じてくる
あるものの あることが
わたしの あるものを
この空間に創りあげる
ものをつくる
弓矢をつくる
弓矢を放つ
生き抜くため
災いの猛威を断ち切る
もののふの鉄鏃作り
ものを信じて
ナガスネヒコの鳥見(とみ)の地へと向かう
わたしのものづくり
ものの力が
ニギハヤヒノミコトの頂として
空に突き出ている 


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