刀幣(方首刀(ほうしゅとう)明刀(みんとう)


  春秋晩期から戦国末期に「燕」で作られ、「燕」「斉」「中山」等で広く流通しました。

  それまで作られていた小型尖首刀より変化した物で、「明(諸説あり)」を鋳出した刀幣です。
  幕(背)には様々な文字(数字、単字、符号、地名等)が鋳出されており、その種類は数百種類にも及びます。

  「燕」は春秋後期に強大な国となり、周辺の国、地域に多大なる影響を与え、「斉」「趙」「中山」等では、
 「燕」の明刀を彷鋳しました。

  形状による分類

   明刀は、形状により「弧背明刀」と「折背明刀」の2つに分類する事ができます。

   弧背明刀:小型尖首刀より変化したもの。刀幣の背が弧を描いているのが特徴。
        面文字については諸説があり、現在呼び方が確定していません。
        本HPでは、仮として「明」字を使用しています。

   折背明刀:弧背明刀より変化したもの。刀幣の背が方折状になっているのが特徴。
        面文字については「明」字と確定しています。
        存在量は多く存在しますが、銅質が悪く文字がはっきりとしない物が多い様です。

  明字による分類

   「燕」で鋳行された弧背明刀は、「明」字により製作の時期、流通地域が分類できます。
   しかし、「明」字による分類では、過渡的な物も多く、明確に区別できない物もあります。

形状

鋳造国

鋳造時期、流通地域

明字(代表形状)

弧背明刀

(燕−1)

春秋晩期〜戦国早期

燕、斉、中山等

meiji1.jpg

 方折あるいは円折し、
ほぼ整った長方形となる

(燕−2)

春秋晩期

斉、鮮虞、中山等

meiji2.jpg

 円潤で斜めで細長い

(燕−3)

戦国早期

中山

meiji3.jpg

 円潤でほぼ円形

(燕−4)

戦国中期

趙、中山等

meiji4.jpg

 円潤で横扁状

戦国早中期

(別称:博山刀)

(燕−1に近似)

戦国中期

(燕−4に近似)

趙(中山)

戦国早中期

(燕−1に近似)

折背明刀

燕等

戦国晩期

(燕−4に近似)

燕、弧背明刀(燕−1)

弧背明刀1面

弧背明刀1明字
「明」字詳細


(背)

弧背明刀1幕

燕、弧背明刀(燕−2)

弧背明刀2面

弧背明刀2明字
「明」字詳細


(背)

弧背明刀2幕

燕、弧背明刀(燕−3)

弧背明刀3面

弧背明刀3明字
「明」字詳細


(背)

弧背明刀3幕

燕、弧背明刀(燕−4)

弧背明刀4面

弧背明刀4明字
「明」字詳細


(背)

弧背明刀4幕

燕、折背明刀

折背明刀面

折背明刀明字
「明」字詳細


(背)

折背明刀幕


  明刀にて兄弟(姉妹)銭発見(後日談へ

  「燕」では戦国晩期に、強国となった「秦」の影響を受け、円形の貨幣(明四、明匕等)を作る様になります。

明四銭
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明匕銭
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明四(参考品)

明化(明匕)


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