こうすけ発症からの9日間 本文へジャンプ
 

最後の日

こうすけは土曜日の病院から帰宅途中は元気でキャリーから出たがり、抱いていた娘が抑えるのに大変な程でした。しかし帰宅してまもなく、呼吸が早くなり苦しそうになり、その為か場所を移動したり体勢を変えたり部屋の中をウロウロとしていました。そして1時間おきくらいに鳴くようになったのです。でも、頭や喉を撫で「ここにいるからね」と話しかけると、安心するのか直ぐに収まりました。夜中2時ころまではお庭が見えるリビングにおり、大好きな外を見たいだろうと外の電気を付けておきました。
猫たちの中ではジョージが一番こうすけを心配していたようで、ずっとそばを離れず、こうすけが鳴くと心配そうに見ていました。ジョージがうちに来た時に一番優しかったのがこうすけ。きっとそれを覚えていたんでしょうね。
夜も更けたので2階の娘たちの部屋に連れて行き、私も横でずっと付いていました。
3時半、突然頭を上げると高い声で遠吠えのように鳴きました。その鳴き声で主人と娘も起き、3人で見守りました。
鳴いた後、大量の嘔吐、それで力尽きたのか倒れ、間もなく呼吸が停止。
病院では酸素室に入っての点滴でしたから、帰宅後は呼吸が苦しかったのだと思います。でも、本当に苦しんだのは最後の数十秒だったと思います。
それがせめてもの救いです。

こうすけは先週から瞳孔が開いたままでした。土曜日には体温も36.3度まで下がり、おしっこも金曜日頃からは出なくなっていました。病院で利尿剤を2回注射しても出ませんでした。短い期間に症状が進み多分、人間で言う所の多機能不全になったのだと思います。こうすけが逝った後、眠れなかったのですが、主人が少しだけでも寝るようにと言ってくれ、2時間ほど寝たような気がします。
その後、予約が取れたペット葬祭場に雨の中、主人と二人で行きました。
1月にラディを連れて行ったばかりなのに、まさか、同じ年にもう一度行く事になるとは思いませんでした。何時もは他の方と出会う事は余りない火葬場なのに、急に気温が下がったせいでしょうか、何組もの火葬がありました。
こうすけが来たのは9年前の3月。
先住猫が事故で亡くなり寂しくて主人が知り合いのつてで貰った子です。 先住猫は頭が良い人の気持ちが分かる猫でした。何時もは膝の上に乗らないのに家族が落ち込んでいると膝の上に乗って慰めてくれ、主人が「寝るよ」と声をかけるとソファで寝ていても起きて主人と一緒に2階に行っていたような子でした。こうすけはその子と同様、頭の良さと人の気持ちが分かる猫でその上に優しい性格でした。多頭飼いなので猫同士の喧嘩が時として起こるのですが、そんな時も間に入って喧嘩を止めるような子でした。
家族のする事をじっと見ていて、それを真似しようとするような人間の赤ちゃんのような猫でした。そんな猫だったのできっと今が逝くには一番いい時だと思ったのかも知れません。10月からは私の新しい仕事が始まります。忙しくなれば悲しみも薄らぐと、そんな風に思ったのかも知れません。
こうすけは人間ではなく猫だけれど、私に色んな事を残してくれました。