お話の焦点は一時、弟子たちに移ります。
議会に紛れ込んでたペテロは、イエスの関係者である事を指摘され、我が身可愛さにそれを否定します。合唱で歌われる三度目の指摘は、拍子抜けするほど、のどかな曲ですね。
否定は「言った」→「誓って言った」→「呪いを込めて誓った」とエスカレート。三度否定したところで鶏が鳴き、ペテロは我に帰りました。No.16で言われたイエスの預言を思い出したのです……。
No.38 MIDI (8.6KB、2分37秒)
ペテロは屋敷の中庭に座っていた。すると一人の女中が近寄って言った。
あら、あなたもガリラヤ人のイエスと一緒にいましたね。
彼はみんなの前で打ち消して言った。
何を言ってるのか分かりません。
門まで出て行くと、別の女中が彼を見て、そこにいる人々に言った。
この人もナザレのイエスと一緒にいましたよ。
ペテロはまた打ち消して誓って言った。
そんな人は知りません。
しばらくすると、そこに立っていた人々が近寄って、ペテロに言った。
確かに、お前もあいつらの仲間だ。言葉の訛りが正体を現しているぞ。
そこで彼は、呪いを込めて誓いだした。
そんな人は知らない!
するとすぐに鶏が鳴いた。
そこでペテロは、イエスの言葉を思い出した。イエスは彼に向かってこう言われたのだ、「鶏が鳴く前に、お前は三度私を知らないと言うだろう」と。
そして外へ出て、激しく泣いた。
前曲の「激しく泣いた」を受けて、「涙のアリア」が歌われます。歌の冒頭旋律は、三度目の否認の旋律から取られてます。独奏ヴァイオリンとの絡みも美しい、名曲と言えますね。
No.39 MIDI (27.1KB、7分08秒)
憐れんで下さい、神よ、
私の涙のゆえに。
ご覧下さい、
心も目もあなたの御前で激しく泣いています。
後悔にむせぶペテロを慰め、包み込むような温かさを持ったコラールです。
No.40 MIDI (16.3KB、1分21秒)
例え私があなたから離れても、再び御許に戻ってきます。
御子は不安と死の苦しみによって私たちを許して下さいました。
私は咎を否認しません。
しかしあなたの恵みと愛は罪よりもはるかに大きいのです。
絶えず我が身に宿る罪よりも。