当時のユダヤの掟では死刑に出来ないため、大祭司たちは、ユダヤを支配下に置いていたローマ帝国の裁決に委ねることにします。
ユダにとっては、ここまでの事態になるのは予想外で、大祭司たちに「銀貨を返すから主を殺さないでくれ」と頼みますけど……。
No.41 MIDI (10.6KB、1分59秒)
朝になるとすべての大祭司と民の長老たちは協議し、イエスを殺す方法を決めた。そしてイエスを縛り、連行して総督ポンティオ・ピラトに渡した。
ところでイエスを売ったユダは、イエスに死刑が言い渡されたのを見て後悔し、大祭司や民の長老たちに銀貨三十枚を返して言った。
私は悪いことをした、罪なき人の血を売ったのだ。
彼らは言った。
我々に何の関係があるのか? 自分で始末しろ!
そこで彼は銀貨を神殿に投げ込み、飛び出して行き、自ら首を吊った。
大祭司たちは銀貨を拾って言った。
これを神殿の金庫に納めるのは良くない。血の代価だから。
ユダの心境を表すアリアなんですが、不自然に明るかったり、ユダが自殺した後に挿入されていたり、何かと物議を醸してる曲でもあります。また、歌いにくさはNo.35以上です。
No.39のアリアと対になっていて、レチタティーヴォ・アコンパニャートを伴わないとか、独奏ヴァイオリンが活躍するとかの共通点があります。
No.42 MIDI (21.7KB、3分22秒)
私のイエスを返せ!
見よ、人殺しの報酬である金を、
戻ってきた放蕩息子は
お前たちの足元に投げ出した!
投げ込まれた銀貨がどう使われたかを説明する部分です。あんまり重要じゃないせいか、ここは淡々と進みます。
No.43 MIDI (4.9KB、2分24秒)
彼らは相談してその金で陶器師の畑を買って旅人たちの墓地とした。そのためこの畑は今日に至るまで血の畑と呼ばれている。
こうして、預言者エレミヤによって言われたことが成就した。彼は言っている、「彼らは銀貨三十枚を取った。それは、イスラエルの子らから買った者の身代金であった。彼らはそれを、陶器師の畑の代価として支払った。主が私にお告げになった通りに」と。
曲は続いて、総督ピラトによる裁判のシーンに入ります。ここでお話が本筋に戻ります。
さて、イエスは総督の前に立ち、総督は彼に尋ねて言った。
お前はユダヤ人の王か?
イエスは彼に言われた。
あなたの言う通りです。
そして大祭司や長老たちから告発があったが、何も答えなかった。そこでピラトは彼に言った。
聞こえないのか、彼らがこんなに厳しくお前を告発しているのが?
しかしイエスは一言も答えず、総督もとても不思議に思った。
「イエスは神を心から信頼して沈黙を守っている。私たちも神を信じれば必ずや道は開ける」と、ここでは解釈出来ます。
主旋律は第1部で既に2回現れてますよね。
No.44 MIDI (14.1KB、1分21秒)
あなたの道とあなたの心の患いとを、
変わることのない天を統べる者の守りに委ねなさい。
雲と大気と風に道を備えて行かせる者は
あなたの歩むことの出来る道を見いだして下さるだろう。