第2部最初のヤマに差し掛かりました。イエスが計略によって渡された事を知っていたピラトは、イエスと極悪人バラバのどちらを許すのかを、民衆に問いかけます。
その民衆は大祭司たちにバラバを選ぶよう説得され、さらにピラトの妻は、夫がこの裁判の全責任を被らないよう、ピラトに「正しい人(イエス)に関わらないで」とお願いします。
様々な駆け引きの末、果たして民衆の答えは、(作曲当時としては)とてつもない不協和音で出されました。
No.45 MIDI (13.8KB、2分35秒)
さて祭りの際に総督は、民衆の望む囚人を一人、許してやる慣わしがあった。当時ピラトのもとには、名の知れた囚人がおり、名前をバラバという。
そして人々が集まってきた時、ピラトは彼らに言った。
諸君は、誰の釈放を望むか? バラバか、それともキリストと呼ばれるイエスか?
というのもピラトは、彼らが妬みによってイエスを引き渡した事をよく知っていたからである。
ピラトが裁判の席に着いていた時、彼の妻が人を遣わせて言わせた。
この正しい人に関わらないで下さい。私は今日夢でこの人の事でとても苦しみました。
しかし大祭司と長老たちは民衆を説き伏せ、バラバの釈放とイエスの処刑を求めさせた。
さて総督は答えて言った。
この二人のうち、どちらを許してほしいのか?
彼らは言った。
バラバを!
ピラトは彼らに言った。
ではキリストと呼ばれるイエスは、どうしたらいいのか?
彼らはこぞって言った。
十字架に付けろ!
大祭司たちに言いくるめられた民衆の選択。キリスト教においては、これこそが人類最大の罪であるとされてるようです。
コラールは理不尽な裁きに対する驚き、そして嘆きです。
No.46 MIDI (11.0KB、0分54秒)
なんと驚くべき刑罰だろう!
善良な羊飼いが羊のために苦しみを受けるとは。
正しい御方である主が、そのしもべに代わって、
負債を支払って下さるとは。
たった2小節しかありません。ピラトのセリフは、本来は民衆への問いかけですけど、独り言にも取れる音楽になってます。
No.47 MIDI (1.2KB、0分15秒)
総督は言った。
彼が一体どんな悪い事をしたのか?
ピラトの問いに答えるように、この曲が入ってきます。
No.48 MIDI (3.7KB、1分13秒)
主は私たち全てに善い事をして下さったのです。
目の見えない者に視力を与え、歩けない者を歩けるようにして下さった。
私たちに御父の御言葉を告げ、悪魔を追い払って下さった。
悲しむ者を助け起こし、罪人を受け入れて友とされた。
他に私のイエスは何もなさいませんでした。
殺伐とした雰囲気の中で、ひっそりと咲く一輪の美しい花……そんな、悲しくも清らかな感じのする音楽です。久しぶりに通奏低音がお休みとなります。
No.49 MIDI (9.3KB、4分50秒)
愛から、
私の救い主は死のうとされます。
一つの罪さえ知らぬ御身でありながら。
永遠の滅びと裁きの罰が
私の魂に来ないように、と。