最初の合唱はNo.45の最後と同じ、しかし長2度(全音)高くして、叫びがより激しくなったことを表します。
ピラトは手を洗って(自分はこの件には関わりがない、という行為)責任を民衆になすりつけ、とうとうバラバを釈放してしまいます。
No.50 MIDI (31.4KB、1分58秒)
彼らはさらに激しく叫んで言った。
十字架に付けろ!
ピラトは、なすすべがなく、かえって暴動が起こりそうなのを見て、水を取り、民衆の前で手を洗って言った。
私にこの正しい人の血について責任はない。諸君の勝手にしろ。
民衆はこぞって答えて言った。
その血の責任は我らと我らの子孫が取ってやる。
そこでピラトはバラバを釈放し、イエスを鞭打たせて十字架に付けるために引き渡した。
イエスが鞭打たれる様を見て「やめて下さい!」と懇願するレチタティーヴォ。お話の人物じゃなくて、曲を聴いてる信者の気持ちですね。鞭打ちを象徴する付点リズムが印象的です。
No.51 MIDI (5.4KB、1分02秒)
憐れんで下さい神よ!
ここに救い主は縛られて立っています。
おお鞭打ち、殴打、傷!
刑吏よ、やめて下さい!
心の痛みが容赦させないのですか、このような悲惨な御姿を目にしながらも?
ああそうだ、あなたたちにも心はあるが、それは拷問の柱のよう、いやもっと冷酷に違いない。
憐れみを持って、やめて下さい!
付点リズムは引き継がれますけど、歌詞は「私の心を、鞭打たれるイエスが流す血の受け皿にしてほしい」という全く異なる内容になってます。
No.52 MIDI (26.5KB、6分51秒)
私の頬の涙が何の役にも立たないのなら、
おお、それなら私の心を受け取って下さい。
しかし主の傷が、慈しみ深く血を流されるなら、
この心を受け皿としてお使い下さい。
緋色の外套、荊の冠、葦の棒、そして万歳(歌詞は「ごきげんよう」としてます)を叫ぶ兵士たち。これらは皮肉を込めてイエスを嘲る、言わば「王様ごっこ」ですね。
No.53 MIDI (8.3KB、1分07秒)
それから総督の兵士たちはイエスを官邸へ連れて行き、全部隊を彼の周りに集めた。
そして衣服を脱がせ、緋色の外套を着せ、荊の冠を編んで頭に乗せ、葦の棒を右手に持たせて、その前にひざまずき、彼を嘲って言った。
ごきげんよう、ユダヤの王様!
そして彼に唾を吐きかけ、葦の棒を取って、それで頭を叩いた。
鞭で打たれ、さらに葦の棒で叩かれたイエスは、とても痛々しい姿に。
すっかりお馴染みとなった主旋律ですけど、ここだけ歌詞が2節あり、最初の節がフォルテ、次の節がピアノで演奏されます。
No.54 MIDI (25.7KB、2分31秒)
おお、血と傷にまみれ、苦しみと辱めに満ちた御頭(みかしら)よ!
おお、嘲られて荊の冠で縛られた御頭よ!
おお、いつもならば栄誉と飾りで美しく飾られる御頭よ。
それが今は屈辱を受けている。
あなたに私は「ごきげんよう」と申しましょう!
あなたの気高い御顔、いつもならばこの世の権威さえ恐れる御頭。
あなたはなんて唾をかけられ、
なんて青ざめていることか!
その目の光、世にも比べるものなき光を、
誰がこんなにも曇らせたのですか?