ついにイエスは処刑のために、自らが付けられる十字架を背負わされ、連れて行かれます。しかし、イエスが衰弱していたので、途中から兵士たちはシモンという人(No.4で出たシモンとは別人です)に背負わせます。
No.55 MIDI (2.3KB、0分59秒)
こうして彼らはイエスを嘲弄した後、外套を脱がせて元の衣服を着せ、十字架に付けるために引いて行った。
彼らが出ていくと、シモンという名のクレネ人を見つけ、強制してイエスの十字架を負わせた。
伴奏のフラウト・トラヴェルソは、よろめきながら歩くイエスを表します。隠し味のようにヴィオラ・ダ・ガンバがアルペジオ(分散和音)を奏してます。
歌詞は「良薬は口に苦し」ってとこでしょうか。
No.56 MIDI (2.5KB、0分47秒)
そう、私たちの肉体と血こそ十字架を背負うべきなのだ。
私たちの魂に良いものほど、それは苦いのだから。
低音の渋さと旋律の甘さが同居したアリアです。初めて、そして唯一ヴィオラ・ダ・ガンバが表に出てきます。その独特の音色と重音奏法は、なかなかMIDIでは伝えられません。ここではチェロの音色で代用してます。
詞は前曲の「苦い十字架」から「甘い十字架」に変わってます。その意味でNo.22「苦い杯」とNo.23「甘い杯」に対応してると言えますね。
No.57 MIDI (18.9KB、6分28秒)
来なさい、甘い十字架よ、と私は言おう。
私のイエスよ、それをいつでも私にお与え下さい。
私の苦難が重過ぎる時には、
私がそれを背負うのをお助け下さい。