The Ghan

今回は、2004年2月にダーウィンまで延長された「大陸縦断特急」ザ・ガン号(The Ghan)について触れてみたいと思います。

やりたい事がまた一つ…
 2003年の年末の旅行は、僕にとってオーストラリアとの出会いからちょうど10年の節目の旅行でした。この10年の間に数えること14回、僕は日本とデッカイオーストラリア大陸を往復してきました。
 周囲の人たちは必ずこう聞きます。
 「そんなに行ってて飽きないの?」
 とんでもない!
 オーストラリアでやってない事、一度は行ってみたい場所はまだまだたくさんあります。

 モンキーマイアでイルカに出会いたい。
 エスペランサの美しい海を見たい。
 グレート・バリア・リーフに行ってみたい。
 世界で一番と言われているタスマニアの空気と水のキレイさを実感してみたい。

 考え出すと枚挙に暇が無いのですが、最近、自分の「したいリスト」に新たに一つ加わったものがあります。
 それがザ・ガン号(The Ghan)による大陸縦断です。


「縦断」するザ・ガン
Lounge for Gold Kangaroo Passengers The Ghanとは、アフガニスタンから連れて来られ、オーストラリア大陸の開拓に大きく貢献したラクダにちなんで付けられた「アフガン・キャメル・トレイン」(Afghan Camel Train)がいつしか省略された呼び名に変わったものです。
 このザ・ガン号、以前はアデレード(Adelaide)から大陸のど真ん中の「レッド・センター」と呼ばれるアリス・スプリングス(Alice Springs)までの区間で営業していましたが、2004年2月、その先の「トップ・エンド」ダーウィン(Darwin)までが延長され、正しく大陸を縦断する鉄道となり、シドニー(Sydney)パース(Perth)、メルボルン(Melbourne)からもアデレードを経由しての大陸縦断の旅を楽しめるようになりました。
 ザ・ガン号の乗客は、アデレードからダーウィンに向かう途中、アリス・スプリングスと世界遺産カカドゥ国立公園の拠点となるキャサリン(Katherine)で観光ツアーに参加できるようになり、ザ・ガンでの旅は「移動」するだけでなく、今まで危険を伴う地域だった場所を安全に「冒険」する事ができる鉄道となりました。また、その「聖地」におけるルート選定において様々な意見を提供してくれた先住民アボリジニたちの素顔を見るチャンスも増えそうです。
 自分の「したいリスト」に新たに加わった大陸のど真ん中を縦断するこの鉄道、何ともいえない魅力を感じるのは僕だけでしょうか?


期待される効果
Going forward 新しく開通したルートを移動するのは人間だけではありません。
 ダーウィンは需要が旺盛で規模も大きいアジア市場がすぐ近くの絶好のロケーションにある港を擁する町。そのダーウィンまでの鉄道の開通は、貨物の流通の面でも大きな効果が期待されています。
 「今まで1年当たり5,000ほどの取扱量だったコンテナを、今後3年間で50,000までに増やし、ダーウィンをオーストラリアの主要な貿易港にしたい」とは、これからの新しい財源に大きな期待を寄せる北部準州の閣僚の声。
 開通したルートが、良質のワインや羊毛、豊富な鉱物資源が今まで以上に日本を含めたアジアに流通して同地域の経済の活性化に貢献してくれるでしょう。
 しかし、オーストラリア・ジャンキーの僕は、それだだけでなく、物資の流通の活性化により、多くの人々がオーストラリアにいなくても"Made in Australia"の製品と触れるチャンスが増えてくれれば良いな…とも思っているのです。


「『線』を引く旅」への誘い
Let's get on the Continental Australia! 今まで限られた(『選ばれた』と言っても良いかもしれません)数の人や物資しか流通することがなかった不毛の地。
 その何もない場所に沢山の人々と資材が投入されて敷設されたルートを通るこの大陸縦断鉄道、Great Southern Railwayが同じく運営し、なおかつ全く同タイプの車両や設備が使用されている大陸「横断」鉄道インディアン・パシフィック(Indian Pacific)よりも料金設定が割高となっています。
 しかし、鉄道で大陸を横断した経験者として言わせていただければ、この鉄道での「冒険」では、払った価値に見合うだけの感動を享受することができると思います。

 「1都市滞在」、「2都市滞在」など、その雄大な大陸に「点」をつけるだけで終わりがちな我々日本人のオーストラリアの旅。皆さんも一度、点と点をつなぐ「線」を大陸に引く旅をしてみませんか?
 今まで見えてこなかったオーストラリア大陸の素顔を垣間見ることが出来るはずです!

 僕も大陸横断の次は、いつの日か縦断もして文字通り大陸を「縦横無尽」に駆け抜けたいと思います。

【参考】
 上記の通り、列車内でのサービスは、Great Southern Railway社が同じく運営する大陸横断鉄道インディアン・パシフィックと同じです。こちらのサイトの大陸横断鉄道旅行記にてその詳しいサービス内容を紹介しておりますので、興味のある方は、こちらをクリックしてご確認下さい。


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