過去の雑談
暑い（20080816 Ver）。
汗が頬を伝う。
黙って拭う。
「暑い。」
何回も言った台詞を、また吐く。
冷蔵庫から冷えたコーヒーを持ってくる。
コップに注いで、一気に飲む。
クーラーはある。
リモコンが無い。
どこいったんだ～！？
なんで無いの？ 誰か持ってったの？ ４年前もやったよコレ！
１日探したけど見つからず。ホントどこやっちゃったんだろう。
今日（8/17）は一日中涼しくて助かった。でも明日からはキツイかも。
とは言え、今使ってるクーラーにはなんと手動で運転開始できるボタンが
付いているって点で、４年前よりよっぽどマシな状況ではある。
…嫁さん良く気付いたなあ、こんなの。
ただしできるのは本当に起動／停止だけで、温度設定も運転設定も
暖房と冷房さえも一切変えられないので、なんにしたって困るのは困る。
やっぱり俺の目から赤外線が出ればいいのに、と思った夏の午後。
ハリーポッターと多額の借金
強大なる最後の敵は、途方も無い程の多額の借金だった！（嘘）
帰省してました。
子供の頃。夏になると、ぎょうせん飴を売る、行商のおばあさんがいました。
「飴にー、ぎょーせん。かた飴（硬飴？）にー、ぎょーせん。」
クーラーの効いた部屋でだらだらしてると声が遠くから聞こえてきて、
それが段々大きくなって、また遠くなっていく。そののんびりした間隔から
察するにきっと歩いてるんだろうなあ、なんて思いながら聞いていました。
ある日、この正体を確かめようと思い立って、母からお金を貰い、
行商の声を追いかけたことがあります。予想通りというかなんというか、
それは飴を積んだリヤカーを引いて歩くおばあさんで、そこで何を話したかは
もう忘れてしまいましたが、とにかく『かた飴』と呼んでいた板状の飴を
貰いました。確か千円位だったか、とにかく当時の俺には結構高いなあ、
と思える額で、それでも袋いっぱいの飴を買って、なぞの声の正体を
知ることもできて、ニコニコしながら帰ったのを覚えています。
それから夏の度に何度か買った覚えはあるのですが、中学を
卒業してからは進学で県外に出てしまったので、それからはその飴を
買うことはもちろん、滅多に思い出すこともありませんでした。
それから十数年。この帰省中に、懐かしい、あの売り声を聞きました。
「飴にー、ぎょーせん。かた飴にー、ぎょーせん。」
当時と全く変わらないように聞こえます。同じ人が売ってるのでしょう。
でもちょっとおかしいのです。今の実家は、俺が小学生や中学生の頃
住んでいた場所には無いのです。つまり帰省している俺も
昔住んでいた場所に居るわけではないのです。幻聴？ とも思いましたが、
母にも聞こえてる。声は遠くて、近付いてくる気配もありません。
なんだか現実味がない気がして、これは確かめないと、と
つっかけを履いて表に飛び出しました。
声はまだ聞こえます。
小走りに大通りへ出て、リアカーを探して道を見回しました。
道の向こうに、ゆっくり走る軽トラックが見つかりました。
軽トラックは俺に気付いたみたいで、ブレーキランプを付けました。
運転席から降りてきたのは、おじさんでした。
若くは全然無いけど、記憶のおばあさんよりはよっぽど若い。
息子さんなのかもしれないなあ、と思いながら、声をかけました。
「かた飴、もらえますか」
「ああ、申し訳ない、ほんと申し訳ないんやけど、かた飴はもう
売ってないんよ。作りよった人が５年前に、もうようせんゆうて、
売り声では言いよるけど、ばあさんの声のテープからそこだけ除けるんも
できんから、この売り声でやりよるけど、無いんよ。ほやから来て貰って
ほんと申し訳ないんやけど、もう絶対に手に入らんのよ。」
荷台には確かに板状の飴は無さそうで、
大瓶のぎょうせん飴だけ積んでいました。
少し言葉を交わして帰りました。ぎょうせん飴は買いませんでした。
俺はIT屋さんなので、サラリーマンなので、自分に自信が無いので、
「絶対」という言葉は滅多に使いません。言葉の使い方は人によるのだと
思うけど、「絶対に手に入らんのよ」と言ったおじさんの言葉は
やっぱり俺にとっても「絶対」で、意外とこんなことで感傷的になる俺は
自分の中で箱詰めされているシュレーディンガーの猫たちの
蓋を開けないのも選択肢かもしれないなあ、と思ったのでした。
暑くて眠れない！
でもクーラー付けると俺の布団は直風が当たって喉痛くなるんだよねえ。
| 次へ | 前へ |
mail yggdrasill@mub.biglobe.ne.jp