2003年の春、撮影で初めて九州へ遠征した。予想以上に九州は遠かった。広かった。 しかも私は九州に関してはあまりに無知で、何県がどの位置にあるのかもうろ覚えだったし、そしてまた九州には大自然の中に咲いている桜というのが、私の知る限りでは非常に少なかった。だから今までになく苦戦を強いられた桜旅で、要領もかなり悪く、何時間もかかる同じ道を何回も通るはめになったり、「なんで無理してまで、この場所に来てしまったんだろう」と思うような桜の名所もあった。全国全部の県の桜を撮るという壮大な?目的のために、フラフラになりながらも駆けずりまわる毎日だった。そんな中で、熊本の一心行の桜を見たときは「報われた」と心から思うほど感動した。九州に「君臨する」と表現したくなるような桜だった。 「北は三春の滝桜、西は醍醐桜、南には一心行の桜」 これが私にとっての日本三大名桜だと思った。 |