小学校は幼稚園とはちがって、先生とお話できる機会がぐっと少なくなってしまいます。でも聞きたいこともいっぱいあるし、相談したいこともある。
というわけで、先生や学校とのコミュニケーション方法を探ってみました。(「円満に解決したい」学校への抗議方法も考えてみました。)
幼稚園のときは、朝やお迎え時など先生と会う機会が多かったために、子どもの様子を直接聞くことができるチャンスがいっぱいありました。
ところが学校に入学すれば、保護者が学校に出向くことが少なくなり、間近で先生と話する機会もほとんどありません。1対1で対談できるのは年に1~2回の個別懇談会と年度始めの家庭訪問くらい。しかも時間は10分程度で「たいした話はできない」と思ってまちがいなし。
とくに問題がなければその程度でもかまわないんだけど、残念ながら先生に相談が必要な問題が起こることもあります。そんなときは遠慮しないで先生や学校に連絡を。
学校はあまり保護者にむけて積極的にアクセスしてくれないので、じっと待っているだけでは学校とコミュニケーションできません。自分からアクティブに行動をおこそう。
学校 → 保護者へ
連絡事項はプリントで配布されます。学校通信や学年通信が月1程度(月初または前月末)で発行。学年通信は、月間行事予定や学習予定、必要な教材(新たに購入するもの)等が掲載されています。
先生 → クラスの保護者全体へ
クラス内の状況や問題点については、担任から「学級保護者会」や「学級通信」を使って伝えられます。ただし参観後に行われる保護者会では、全員が参加していない場合も多いので、重要な事柄はプリントや学級通信に掲載することで連絡がきます。(「学級崩壊状態になっている」のような内容は絶対に連絡は来ないと思って間違いない(-_-;))
学級通信については、担任によってほぼ毎日発行する先生、ときどき発行する先生、1年通じて全くなかった…という先生と、当った担任によって様々。
内容は、現在学習している内容や進度(こういうのはありがたい)や席替え情報、先生の所感、子どもが書いた作文などが多いようです。
保護者会で「学級通信を楽しく拝見してます!これからもぜひ続けて。」というママがいる一方で、「上手な作文ばっかりみると、ウチの子は×○★▼…と落ち込むわぁ~」という話(もちろん母だけのお茶会会議での席上)もよく耳にします。
先生 → 保護者へ
幼稚園の先生は、ママに「今日こんなことができるようになってすごく喜んでましたよ~」「ケンカをしてたけど、ちゃんと「ごめん」が言えましたよ~」とか、比較的褒めてくれるお話が多かったのでは?
ところが学校に入ると様子は一変。親からは特に連絡をしていないのに、学校からTELがくるということは、「病気・ケガ」の話(それも大きいヤツ)か「何か問題を起こした」のどちらか。
学校できちんと処理ができた小さいトラブル程度やちょっとした掠り傷なら、家庭までいちいち連絡してこない先生がほとんど。(これは「連絡してこなくていい」とつきぐまも思ってます。)
ただしちょっと困るのが、トラブルで「ケガさせられた」「モノ壊された」とき、被害者宅には連絡があるけれど、加害者側には連絡しない先生がいること。やはり自分の子が加害者でも自分は何も知らなかった(子どもは自分から都合の悪いことは言わないと思っていい)のに、クラス中の親は皆知っていたりするとちょっとカッコ悪い。
また被害者側は、「お詫びの一つもない!」と気分を害している可能性も大。
被害者になった場合は事情は子どもからも聞けるけれど、加害者側になっている場合は「やっぱり連絡はほしい」と思うのですが、担任によっては「それは学校で解決するので…」「加害者側の家庭はいろいろと複雑で…」などの理由で言わない人も多いです。こういう積み重ねで保護者の間で不信感が募りやすい。
(被害者になったときは、「先方への連絡はどうか」と聞いておくほうがいいかも。)
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学校(先生)への連絡や相談は連絡帳を使うのが一般的。市販の連絡帳には「家庭連絡」という欄があるので、そこに連絡事項を書いて保護者がサインして子どもに持たせます。
内容は何でもOK。面談希望ならその旨も書いておこう。先生からの返事は連絡帳・TELで連絡(回答)がくるはず。急ぎでない質問などは「返事は急ぎません」と書いておくと先生も気がラクかも。
連絡帳を持たしたら、子どもに朝「先生に連絡帳を渡すこと!」と言っておかないと気付かないで提出せずに帰ってきます。必ず朝に念押しを。
封書(お手紙)作戦
学年が上がるにつれて、親が書いた連絡帳の内容が読めるようになってきます。また万が一連絡帳を落としでもしたら、他人に読まれて内容が他に漏れるおそれもあり。微妙な問題(いじめや個人名が出るような場合)なら、連絡帳でなく封書によるお手紙にした方がベターかも。
ただし、後日「そんな手紙は知らない」と言われないように連絡帳に受け取り確認をもらっておこう。
緊急の連絡はTELを使おう。ただし「欠席」程度の連絡は、会議中には担任に取り次いでもらえないことも多い。学校によっては「朝の職員会議中はTEL禁止!」という注意書きが年度始めに渡されることもあり。
心配ごとの相談は連絡帳やお手紙、面談で。学校には電話回線が少ないので一人の相談で回線を塞ぐのはよくない。
子どもが学校にいる間は職員室には管理職しかいないことが多い。もっとも校長に直接いいたいことがあるならTELでもいいかも。
休み時間、放課後など先生を捕まえて話をする方法もあり。学校での子どもの様子を尋ねられたら答えるのが先生の義務だけど、先生サイドにも予定や段取りがあるので突然に訪問されるとやはり困るかも。
担任が親と直接話することを「避けてる・逃げてる」という場合なら仕方ないけど、やはり面談したいなら、先生にも都合があるのでアポをとるほうがベター。
学校を休む場合は欠席届を近所の友だちに持っていってもらいます。「『欠席届』は連絡帳で」という学校は、欠席理由や欠席期間を連絡帳に書きます。欠席届があるならそこに必要事項を記入します。
あらかじめ欠席することがわかっている時は事前に提出を。旅行など、欠席理由が遊びならわざわざホントのことを書かなくても「都合で」でかまわない。
ちなみに、当日出すような場合は「欠席届」、事前に出すときは「欠席願」と書こう。
「○時間目で早退したい」「体育の授業を見学させたい」ときも、連絡帳に書いて提出します。欠席するほどではないけど「体調がすぐれない」「ケガをしている」というときも、連絡しておくと先生も子どもの変化を把握しやすいようです。
薬を服用している場合、どうしても昼食時に飲む必要があるなら先生に連絡を。薬を先生が飲ませてはくれないけれど「薬の時間だよ」と声をかけてはくれる。
「運動会」や「作品展」など学校行事を見学しての感想や、子どもが「今日学校でこんなことあったよ」と話していたことへの感想などを連絡帳に書いて提出する人もいます。
学級通信に「保護者の方からの感想」と掲載する先生もいますが、全員が書いている訳ではないし忙しいのに無理をしてまで書く必要はないかも。
詳細は「学校との交渉術」へ
お願いごとなど
「子どもがいじめに遭っているようだ」など、子どもが学校で困っているようなことがあるときは早めに担任に連絡して解決していきましょう。「学校へ行きたがらない」や「子どもの行動」などで相談したいときは、担任だけでなく学校カウンセラーによる相談日が設けられている学校も多いので活用しよう。
「いじめ」問題については、残念ながら「おたくのお子さんも問題がある」や「これまでの育て方に問題があったのでは?」と冷たくあしらう先生や学校があるのも事実。
そんな場合は、保護者側にそれ相当の努力もパフォーマンスも必要になります。
相談の手順
(例)「子どもがいじめられている!」
1.子どもから事実関係を聞き出す。
「いつ、どこで、誰が、何を、どのように」をできるだけ詳しく、きちんと記録します。物証があるならそれも取っておくこと。他の子どもの証言があれば、それも記録します。(できれば顛末書・経緯書などの文書として作成してください。)
2.トラブル相手の親とは交渉しない。
トラブルの相手がわかっている場合も、相手の家庭に直接連絡することは絶対に避けます。どんな親でも我が子はかわいいもの。それが突然「お宅のお子さんがこんなことをっ!」といわれたら、素直に聞けないのが親の性です。
学校でのことは、直接学校や担任の先生へ。
3.担任に連絡を取る。
連絡帳やお手紙で担任に連絡します。事実関係を記し、子どもが現在どんな状態で、どんなふうに困っているか(例えば「学校に行きたがらない」など)を伝えます。面談したい場合は、その旨と希望に日時を伝えアポイントを取ります。
4.面談する。
先生から面談の日時が指定されたら学校へ出向きます。1で集めた資料や物証をもっていきましょう。この場合の物証は必ずコピーを渡します。現物を「預かった」といって「紛失しました」と言われれば、元も子もありません。
資料は2部(自分用と提出用)用意を。話したいことはきちんとまとめておきましょう。
5.面談ではこちらの「要求」をハッキリ伝える。
面談が始まれば、現状を話してから要求(「早急にいじめをやめさせてほしい」「謝罪してほしい」「弁償してほしい」など)を伝えます。要求はあくまでシンプルに。
ぐずぐずと「子どもがこんなことされた」「あんなことされた」「相手の子が許せない」のような愚痴話ばかりでは解決するものも解決しません。
また、へんに相手のことを「あそこの子の家庭が崩壊していると聞いている」などとよけいなことは言わない。また、我が子にも問題があるならきちんと注意をする旨を伝えます。(←この態度は重要!)
先生の見解はきちんとメモし、疑問点はうやむやにせず必ず聞くこと。
6.面談は解決するための方向性をつけるもの。
学校に現状を訴えて、それで終わりにするのではなく、解決するための方向性をつけてくるのが目的。「そのうちにやります…」といってぐずぐず日延べされないように「いつまでに何をしてくれるのか」を聞き出すこと。できれば文書で請求してください。
7.担任でダメなら、管理職へ
担任との交渉がうまくいかなければ、当然上司である校長や教頭などの管理職に相談。あらためてアポを取り、3からやりなおし。
8.管理職でダメなら、教育委員会へ
それでも解決しない(学校が適切な対策をとってくれない)ときは、地域の教育委員会へと段階を上げていきます。
もちろん、学校問題についての相談窓口やHPも数多くあります。どんどん利用して知恵を拝借しよう。
学校への抗議
「先生の指導が厳しすぎて学校に行きたがらない」「ケガをしたのに適切な処置をしてもらっていない」など、残念ながら「学校に一言言わないとおさまらない!」という出来事が起こることもあります。
「子どもが人質だから…」と、なかなか言えないことが多いですが、子どもが困っている、親としてどうしても納得いかないことは、やはり勇気をもって学校へ。
連絡は基本的には直接担任に。「担任には言いにくいし…」と校長や教育委員会へ話を持っていっても、最終的には必ず担任の耳に入ります。逆に「上にチクった…」と思われたら話がこじれることもないとは言えません。(直接言えないのは、その先生にたいして信頼感がないと思わせてしまいますからね。)
学校の制度的な問題など担任が関わらないことは、直接校長に訴えてもかまわないけれど、担任に「自分のことを言われているのではないか?」と疑念を挟まれないために、担任を通じて連絡をとってもOK。担任にも写しを渡しておくのもいいかも。
また問題解決のためには、パパの登場が必要になることも多いようです。ママ相手だと「はぁ…」という態度が、パパ相手だとお茶まで用意してくれたりすることも。
「文句をいったらス~ッとした」で終わらせないで、「今後どんな対策をとってくれるのか」までの話を。(文句だけで終わると、以後「はいはい」とあしらわれる可能性あり。)
抗議の仕方
学校への抗議には、「担任に殴られた!」など直接担任に関わることや「学校の安全対策を強化してほしい」など学校の制度的な問題などいろいろあります。
担任に関わることはまず担任に。学校全体に関わることや他の先生に関わることなら、校長をはじめとする管理職へ連絡しましょう。
(例)「先生にいじめられている」
1.事実関係を調べる。
まず証拠集め。子どもが関わったことなら事実関係を聞き出します。できるだけ詳しく記録します。物証があるなら取っておくこと。他の子どもの証言があれば記録します。
2.仲間をさがす。
同じ問題を抱えている人や同じ意見の人が他にもいるなら、やはり一緒に。数が多いほど説得力があります。
ただし興味本位の人は巻き込まないこと。問題がこじれたとき「私はそこまで言っていない」や「うちは被害がないので…」と裏切られることも。ヘタすると「あの人は先生を困らせている」と突然反旗を翻らされて、孤立無援になってしまうこともあり。
3.担任に連絡を取る。
連絡帳やお手紙で担任に連絡します。先生に対する抗議でも、いきなり「子どもがこんな風に言っています!やめてください!」とは書かないこと。怒りはわかりますが、そこは冷静に「子どもがこんなふうに言ってますけど、何があったのでしょうか?」というふうに穏やかに質問すること。
質問の内容と希望の日時を伝えアポイントを取ります。
4.面談する。
先生から面談の日時が指定されたら学校へ出向きます。1で集めた資料や物証をもっていきましょう。この場合の物証は必ずコピーを渡します。現物を「預かった」といって「紛失しました」と言われれば、元も子もありません。
資料は2部(自分用と提出用)用意を。話したいことはきちんとまとめておきましょう。
5.面談ではこちらの「要求」をハッキリ伝える。
対談が始まれば、子どもの話を説明して事実関係を確かめます。ここで気を付けたいのは、先生に事実を認めさせることで話を終わりにしないこと。再発を防止することが最終目的なので、今後どうしてほしいのかをきちんと伝えます。
6.面談は解決するための方向性をつけるもの。
「子どもの話は事実だ」と先生が認めれば、ここで執拗に相手を責めずに、こちらの要求(「子どもに謝罪してほしい」「今後どうしてくれるか」等)を出しましょう。
学校に現状を訴えて「それで終わり」にするのではなく、解決するための方向性をつけてくるのが目的。「そのうちにやります…」といってぐずぐず日延べされないように「いつまでに何をしてくれるのか」を聞き出すこと。できれば文書で請求してください。
○学校側が「回答」と期日を承諾したら、ここはお開きに。
⇒ 今後の動向を見守りましょう。
○「自分の行動に間違いはない!」という確信犯だったなら
⇒ 校長へ。
○子どもの話と先生の話が食い違って、話が平行線なら
⇒(1回目)証拠がなければ引き下がるしかないかも。
⇒(何度も同じことが続くなら)校長へ。
7.担任でダメなら、管理職へ
残念ながら担任で解決できなかったことは、当然上司である校長や教頭などの管理職に相談。
8.管理職でダメなら、教育委員会へ
それでも解決しない(学校が適切な対策をとってくれない)ときは、地域の教育委員会へと段階を上げていきます。もちろん、学校問題についての相談窓口やHPも数多くあります。どんどん利用して知恵を拝借しよう。
お願いごと・抗議をする場合の準備
《こんなところに気をつけよう》
学校の制度や先生の指導に、たとえ不満があっても…「子どもが人質」と思ってなかなか言えないことが多いですよね。
以前「育てた鶏を食べる」という授業をしようとしたある学校のクラスで、「残酷なのでやめてほしい」という保護者の声が教育委員会に匿名で集まったために授業を中止した」という話が新聞に掲載されていました。
授業の内容については賛否両論あると思われますが、この「教育委員会へ匿名で連絡」というのが「子どもが人質なので担任には直接言えない」という現実が見えるように思いました。
「授業はやめてほしい…でも先生に「あの親は私に文��をつけた!」と恨みをかって我が子に仕返しでもされたら大変!」という思いで、駆け込み寺になったのが「教育委員会」だったのでしょうね。それも匿名で。同じ子を持つ親としてその気持ちよ~くわかります。
保護者も先生もざっくばらんに対話できるといいのですが、「素人のくせにうるさい!」という先生がいたり、親側も「何か言ったら子どもに仕返しされるかも…」と先生に対して不信感が根っこにあって、なかなか対話できないのが現実です。(残念です。)
で、「「子どもは人質」なのでホントに黙っていたほうが得策なのか?」というと、やはり「子どもが困っている」「親として納得いかない」というなら、勇気をもって訴えたほうがいいと思います。
案外先生側に悪意はなく、子どもが「イヤがっている」とか「傷ついている」とは気付いてないこともあるようです。(つきぐまJrの学校の場合は結構そのケースが多いように感じました。)
「言ったから変わるとは限らない」けれど「言わなきゃ何も変わらない」ものですよね。やはり、子どもに「意志表示ははっきりと!」と教える以上、イヤなことされたら「イヤ!」おかしいことは「おかしい!」。親も実践したいですね。
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