Subject: 英語の文法と語法 087
Date: Wed, 18 Jun 2008 06:50:00 +0900 (JST)
From: Chick Tack
To: Readers
=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛ 英 語 の 文 法 と 語 法 No.087 20080618
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● 第 87 号 ●
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Contents (1)It is said that...; S is said to...
………………
(2)ever
(3)keep[prevent] someone from Ving
(4)前(第86)号の訂正
………………………………………………………………………………………………
(1)It is said that...; S is said to...
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・They say that S' V'.... の受動態は2種類ある。
(1)It is said that S' V'....
(2)S is said to V原形....
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(a) They say that he is honest.
「彼らは、彼が正直だと言っている」→「彼は正直だそうだ」
say, allege, believe, consider, expect, know, report, think,
understand などは、that節を〔目的語〕として従えるときがある。
このthat節を〔主語〕にした受動態を作るとき、
(×)That he is honest is said.
とはしない。
(b) It is said that he is honest.「彼は正直だ、と言われている」
〔形式主語〕の it を使い、that節はそのまま後ろに置いておく。
また、that節の〔主語〕を〔受動態〕の主語として使い、
(c) He is said to be honest.「彼は正直だ、と言われている」
という形にすることもできる。(×)He is said that he is honest.
(a)の主語 they は、漠然と一般の人を指すので、受動態にしたとき by
them では表さない。
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(d) It is alleged that the man was driving at 110 miles an hour.
「その男は時速110マイルで運転していた疑いがもたれている」
(“English Grammar in Use 3rd Edition”by Raymond Murphy Unit 45
Exercises 45.1.6)
http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#egu
(d)は主節の動詞 is と that節の動詞 was の時制が違う。主語 the man で
始まる受動態を作ろうとした場合、
(×)The man is alleged to be driving....
では、to be driving の部分が is driving と誤解を受けてしまう。もちろ
ん(×)to was driving とはできないので、
(e) The man is alleged to have been driving at 110 miles an hour.
(日本語訳は上記(d)例文と同じ)
と〔完了形〕の不定詞を作ってやる。これで、主節の動詞より以前のことに
ついて疑われていることを表す。
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(f) In former times, wolves were revered and respected. They were
seen by farmers as guardians of their crops. It was believed that
wolves kept deer, hares and wild boars from causing damage to
farmland. The Heian Period warlord ruler of northeastern Honshu,
Fujiwara no Hidehira (1096-1187), was said to have been raised by
wolves, like Romulus and Remus, the founders of Rome.
(“Shrines are no salve when it comes to extinctions”By ROWAN
HOOPER, The Japan Times ONLINE)
http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/fe20050928rh.html
「昔は、オオカミは崇められ尊敬されていた。農民はオオカミが作物を守っ
てくれるとみていた。オオカミがいるおかげで、鹿・野ウサギ・イノシシ
が農地を荒らしにこないと信じていた。平安時代に本州の東北地方を支配
していた藤原秀衡(1096-1187)は、古代ローマの建国者ロムルス・レムス
兄弟のように、オオカミに育てられたと言われていた」
受動態がふんだんに使われている段落。2文目の
It was believed that wolves kept deer, hares and wild boars from
causing damage to farmland.
の that節中の動詞 kept は過去形だが、主節の was の時制と一致している
ので、to不定詞にしたとき、完了形にする必要はない。
(g) Wolves were believed to keep deer, hares and wild boars from
causing damage to farmland.
(×)Wolves were believed to have kept deer....
また、3文目を簡略化して、
Hidehira was said to have been raised by wolves.
「秀衡は、オオカミに育てられたと言われていた」
とすると、it was said を使って
(h) It was said that Hidehira had been raised by wolves.
「秀衡は、オオカミに育てられたと言われていた」
うわさされる以前に育てられたはずだから、that節中は、過去形よりも昔を
表す過去完了が使われる。
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(2)ever
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・ever = at any time「いつでもいいけれど、いつか」
anytime
・always=every time「いつも」「常に」
・never=at no time「一度も〜ない」「決して〜ない」
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(a) Have you ever been to Liverpool?
「あなたは、今までにリバプールに行ったことがありますか」
ever は every と同じ語源を持つという。使われていくうちに語の意味が変
化していくことはあるが、根幹に元の意味が生きていることがある。
(×)every students ではなく every student とするように、「全ての生
徒のどの1人についても」という考え方が every について可能だ。
ever についても、「あらゆる時を考えてもらって、そのどの時でもいいの
で、(〜に行ったことある?)」と考えることができる。
ただ、こちら(ever)は主に〔疑問文〕〔否定文〕で使われるので、意味が限
定される。「いつも」「常に」という意味ではない。
(b) He has always been my hero.「彼はいつも私のヒーローだ(った)」
(×)He has ever been my hero.
(“Practical English Usage 3rd Edition”by Michael Swan, 191 ever)
http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#peu
肯定の平叙文で、ever が使われることもあるが、特定の慣用表現の他は、
使われることは少ない。
(b)は、「彼に出会ってからこれまでずっと(私のヒーローだった)」とい
う意味。ever はこれまでの時間の中から、「ある時間」を摘出するので、
文意にふさわしくない。
ever が always の意味になる例がないわけではない。
(c) I am ever ready to help you.
「私はいつでもあなたを助ける用意がある」
(“The AMERICAN HERITAGE Children's Dictionary”HOUGHTON MIFFLIN)
http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/dicchild.html#heri
「どの時間」を摘出しても、「準備ができている」と考えれば納得できる。
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(d) I've never seen such a beautiful sunset.
「私は、こんな美しい夕焼けを見たことがない」
not を使った否定文でも ever が使われることがあるが、never の方が普通。
(e) We hardly ever go out.「私たちは、めったに外出しない」
(“LONGMAN Dictionary of Contemporary English 4th edition”ever)
http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce
ever は、否定の語句とともに使い、それらを強調する場合がある。hardly
ever で〔頻度〕を表すと『ジーニアス英和辞典』にある。
http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#gej
(f) I'll never ever do that again!「二度とあんなことはしません!」
(“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 7th edition”ever)
http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
never という否定語を強調する ever の使い方もある。話し言葉表現。
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any, every, each の違いについては、久野あきら・高見健一著『謎解きの
英文法 冠詞と名詞』くろしお出版の第5章に説明があります。
http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#article
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(3)keep[prevent] someone from Ving
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・keep[prevent] someone from Ving「人が〜するのを妨げる」
「人に〜させない」
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(a) His ex-wife had kept him from seeing his children.
「彼の別れた奥さんは、子供に会う事から彼を離れた状態に置き続けた」
→「彼の別れた奥さんは、彼を子供に会わせなかった」
(“LONGMAN Dictionary of Contemporary English 4th edition”)
http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce
過去完了になっているから、現在では会えるのかもしれない。
(1)の(f)(g)の例文中にも使われていた。
(b) Further treatment will prevent cancer from developing...
「さらなる治療法が、発展することからガンを妨げるだろう」
→「さらに進んだ治療法が、ガンの進行を止めるだろう」
→「さらに治療を進めれば、ガンの進行は止まるだろう」訂正 2008/07/12
(“Collins コウビルド英英辞典 改訂第5版”トムソンコーポレーション)
http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#cobuild
prevent と from の間に、人ではなく「物」が来ることもある。
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(c) Heathcliff glanced at me a glance that kept me from interfering a
moment.
「ヒースクリフは、私にじゃまさせない一瞥を私に投げかけた」
→「ヒースクリフは、私にじゃまするなとでも言うように、じろりと私を
見た」
(“Wuthering Heights”by Emily Bronte 第27章)
http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#wuther
a moment は、どこにかかるのだろう。「ちょっとでもじゃまするな」とい
うことか、それとも、「一瞬にらんだ」のか。
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(4)前(第86)号の訂正
……………………………………
前(第86)号記事中に誤りがありました。訂正いたします。
▼[誤]第86号(3)--------------------------------------------
(e) Four plus two equals six.「4+2=6」
(f) Four plus two equals six.
--------------------------------------------------------------▲
▼[正]第86号(3)--------------------------------------------
(e) Four plus two equals six.「4+2=6」
(f) Four plus two equal six.
--------------------------------------------------------------▲
三木さんにご指摘いただきました。
訂正 2008/07/13
(f)は(ge)の文をコピー&ペーストしたのですが、三人称単数現在形の s を
消すのを失念しました。<(。_。)>
………………………………………………………………………………………………
参考文献 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
………………
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● あとがき
中学生のとき、海外放送を聴くのが流行りました。だいたいは、短波の日本語
放送を狙ってダイヤルを合わせました。
この内容については、メルマガ『中学英単語』第51回のあとがきに、少し詳
しく書いています。
http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/words100/051my.html
中学生のときに全くわからなかったBBC(イギリス放送協会)の英語放送を、
インターネット・ラジオで時々聞いています。今でもわからないのですが、わ
からなくてもいいと思って流しています。http://www.bbc.co.uk/radio/
スポーツやビジネスの番組もあるので、興味のあるものから聴いてみるのもい
いかもしれません。サッカーのユーロ2008やタイガー・ウッズ、全英オープン
などの情報が聴けるはずです。
英語学習者用にコーナーも設けられています。
http://www.bbc.co.uk/worldservice/learningenglish/
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(c) Matsumiya Institute of Thinking 2008
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