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第126号 不定詞を目的語とする他動詞−3


=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英語の文法と語法    No.126    20090603   Chick Tack
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             ● 第126号 ●

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 Contents      不定詞を目的語とする他動詞−3
………………
       (1)不定詞の特徴とそれを目的語とする動詞の特徴

       (2)準備

       (3)敢行

       (4)その他

       (5)never fail to do something

       (6)How dare someone do something?


………………………………………………………………………………………………
(1)不定詞の特徴とそれを目的語とする動詞の特徴
…………………………………………………………………

  前回までの2号に引き続き、不定詞を目的語とする他動詞を、江川泰一郎著
 『英文法解説』(金子書房)の分類に従って紹介する。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#newguide

  不定詞には次のような特徴がみられるという。(前々回、前回にも掲載)

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・不定詞の特徴・・・時間的に未来を指向する
    ・不定詞だけを目的語とする動詞は、動作の実現に対して積
     極的な含みを持っている
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  なお、この号では〔to不定詞〕のことを単に〔不定詞〕と記すことがある。


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(2)準備
………………

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    ・準備・・・arrange, prepare
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) They had arranged to dine in the gallery at Romano's on Sunday.
   (“Of Human Bondage”by W. Somerset Maugham)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#bondage
    「彼らは日曜日に、ロマーノの店のギャラリーで食事をするよう手配し
     てあった」

  これからやろうとすることの〔準備〕だから、〔未来指向〕。

  gallery については、どんな場所か決めかねたので、カタカナ書きのままに
  した。

 (b) We had had our dinner at the inn, and were preparing to go to bed.
   (“Kokoro”by Natsume Soseki, translated by Edwin McClellan)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#kokoro
    「私たちは宿で夕食を済ませ、寝る準備をしていた」

  こちらも、過去のある基準点よりも未来の行動を手配・準備している。

  「準備している」基準点には既に「夕食は済ませて」いるので、had had  
  our dinner と〔過去完了〕になっている。to go to bed は、基準点よりも
  〔未来〕のこと。


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  第124号(3)の意図・決心のところに入れるべきだったが、plan とい
  う動詞がある。不定詞を従えるときは「〜するつもり」という意味になる。

 (c) I'm not planning to stay here much longer.
 (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary 2nd edition”)
   「私はもうこれ以上長くは、ここに留まるつもりはありません」


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(3)敢行
………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・敢行・・・dare, venture, hesitate
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) Alice didn't dare to argue the point, but went on:....
   (“Through the Looking-Glass, by Lewis Carroll)
    「アリスはその点には、あえて触れずに続けた。……」

  dare to do の to は、しばしば省略される。

  dare が〔助動詞〕として使われる場合もある。(6)で紹介する。


 (b) I could never have dared try it here if I had not been absolutely 
  certain that there was no other chance.
   (“Anne's House of Dreams” by Lucy Maud Montgomery)
   「もし、他にチャンスはないという絶対的な確信がなかったら、
    僕には、ここでそれをやる勇気を決して持てなかっただろう」

   dared try は try の前の to が省略されている形。

  仮定法過去完了については、下記のページを参照してください。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/061-070/egu068.html#1


 (c) I'd venture to say that you are wrong.
   「あえて申し上げますが、あなたの考えは間違っていますよ」
   (小西友七・南出康世編集『ジーニアス英和辞典第4版』大修館)
     http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#gej

  dare とよく似た意味を表す。「あなたが間違っていると言及する行動をあ
  えて行いましょう」という意味。


 (d) I shall never hesitate to cite Cesare Borgia and his actions.
   (“The Prince” by Nicolo Machiavelli,
     translated into English by W. K. Marriott)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#machiavelli
   「私はチェザール・ボルジアと彼の行動を引用することを、決して躊躇
    (ちゅうちょ)しません」

  〔自動詞〕〔他動詞〕の区別をしている辞書では、hesitate は〔自動詞〕
  としている。それが正しければ、to不定詞に導かれる句は〔目的語〕ではな
  い。しかし、“hesitate to不定詞”で「〜することをためらう」という意
  味になることは確かだ。

 (e) Don't hesitate to call me if you need any help.
  (“Macmillan English Dictionary: For Advanced Learners of American 
    English”Palgrave Macmillan)
   「もしあなたに何か助けが必要ならば、私に電話することを躊躇するな」
   「もし何か助けが必要になれば、遠慮せずに私に電話してくれ」

  “Don't hesitate to do”で「遠慮なく〜してくれ」という意味になる。

  (d)(e)とも否定文で、hesitate に続く不定詞の行動を、結果的に奨励して
  いる。未来指向的であるともいえる。


 (f) I didn't hesitate about working with Craig.
 (“Oxford Collocations Dictionary for Students of English”Diana Lea)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ocdse
   「私はクレイグと一緒に働くことに、ためらいはなかった」

  “前置詞+動名詞”が続くこともある。


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(4)その他
…………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・その他・・・afford, fail, learn, manage
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a)(×)My father couldn't afford paying for my education.
   (○)My father couldn't afford to pay for my education.
  (“LONGMAN Dictionary of Common Erroer New Edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/egu/refer.html#dce
   「私の父は、私の教育費を支払う余裕がなかった」

  その他に分類された動詞とその目的語の不定詞は、(1)で述べた原則に当
  てはまるとは限らない。

 (b) She failed to reach the Wimbledon Final this year.
  (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary 2nd edition”)
   「彼女は今年、ウィンブルドンの決勝に進めなかった」

  fail to do something の fail は、自動詞としている辞書もあれば、他動
  詞としている辞書もある。肯定文だが、内容としては to do something の
  行為を否定している。

  また、「やろうとして失敗する」場合と「怠けてしない」場合とがある。前
  後の内容から判断する。


 (c) I soon learned not to ask too many questions.
  (“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 7th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
   「私は間もなく、あまり多く質問しないようになった」

  “learn to do something”で「〜することを学ぶ」という意味の発展から
  か「〜するようになる」「〜できるようになる」という訳をすることもある。


 (d) At least three hostages managed to escape.
  (“LONGMAN Dictionary of Contemporary English 4th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce
   「少なくとも3人の人質が、なんとか逃げ出すことができた」

  “manage to do something”で「なんとか〜する」「かろうじて〜する」と
  いう意味になる。

  積極的・未来指向という性質が当てはまるかどうかは、よく分からない。


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(5)never fail to do something
……………………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・never fail to do something「きっと〜する」「必ず〜する」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a)  During the anecdotes Hargraves never failed to laugh at exactly  
  the right point.
   (THE DUPLICITY OF HARGRAVES from“Sixes and Sevens” by O. Henry)
    「その逸話が話される間、ハーグレイヴスは、適切な場所で必ず笑った」

  never fail to do something で、「きっと〜する」「必ず〜する」という
  意味になる。「〜することをしないことは決してない」という意味になるの
  で、「必ず〜する」ことになる。


 (b) Don't fail to lay the blame on some one else.
   (“Alice in Wonderland Retold in Words of One Syllable”
     by J.C. Gorham)
   「きっと、誰か他の者に責任をなすりつけるんだぞ」
   「そうやっていつも、責任を誰か他の者に押しつければいいさ」

  (b)の書籍では、命令文の形を借りて、相手がいつも他人に責任転嫁するこ
  とを非難している。

  “not fail to do something”でも同じ意味を表すことができる。

  else は、anything や nowhere などの後ろに置いて使われる。

  通常は someone とすべきだが、『1音節版』という制約があるため、
  some one と離している。(2009年7月6日追記)


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(6)How dare someone do something?
…………………………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・How dare...?「よくもまあ……できるものだ」
    ・I dare say「多分」「おそらく」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) I daren't trust you to put it out yourself.
   (“Anne of Green Gables”by Lucy Maud Montgomery)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#green
   「私は、あなたにそれを自分で消すことを安心してまかせる勇気はない」
   「お前にそれを消すのを任せるなんて、とても怖くてできない」

  (3)(a)のところで触れたように、dare には〔助動詞〕としての用法があ
  る。イギリス英語で使われることがある。

  it とは「ろうそく」のこと。put out は「消す」。

  trust someone to do something で、「安心して誰かに何かをさせる」とい
  う構文。

  アンがグリーン・ゲイブルズ(緑の切り妻屋根の家)にやって来た第1夜、
  アンが火事でも起こすのではないかと心配して言ったマリラの言葉。


 (b)“Arthur!” I screamed,“you villain! you thief! How dare you
  touch that coronet?”
  (“The Adventures of Sherlock Holmes”by Sir Arthur Conan Doyle)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#holmes
    「アーサー! このわんぱく小僧! 泥棒猫め! よくもまあ、あの宝
     冠に触れたものだ!」と、私は金切り声をあげた。

  How dare...? という慣用表現がある。「よくも……できるものだ」と非難
  する時に使われる。この表現はよく使われる。

  主語の前に dare が置かれているので、dare は助動詞として使われている
  と考えられる。

  ? の代わりに ! が置かれる場合もある。


 (c) I dare say your own hands are almost numbed with cold.
   (“Jane Eyre” by Charlotte Bronte)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#eyre
   「多分、あなた自身の両手は、凍えてほとんど感覚がないでしょう」

  I dare say が、文頭や文末で使われると「たぶん」「おそらく」という意
  味になる。dare のあとに接続詞 that は使わないのが正式。しかし、that
  が使われる例もある。(Merriam-Webster's Dictionary of English Usage)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#mwdeu

  この dare は助動詞なのか、それとも動詞で、単に後ろの to が省略されて
  いるのか、見分けることはできない。

  ほとんど I dare say の形で使われるので、〔副詞句〕として働いていると
  考えればよいのではないか。I daresay と daresay が、1語になることも
  ある。

  また、I dare say. と単独で使うと「たぶんね」という応答や反応になる。


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 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
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● あとがき

 パソコンの前に座っていると、睡魔に襲われることが多くなりました。適宜、
 立ち上がり、周辺をうろつきます。

 戻ってしばらくはいいのですが、30分もしないうちに、また睡魔が……。


・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2009
・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
      

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