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第136号 目的語がto不定詞と動名詞で意味の変わる動詞2


=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英語の文法と語法    No.136    20091202   Chick Tack
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             ● 第136号 ●

………………
 Contents   目的語がto不定詞と動名詞で意味の変わる動詞2
………………
       (1)try

       (2)go on

       (3)mean


………………………………………………………………………………………………
(1)try
……………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・try to do something「何かをしようと試みる」
               「何かをしようと努力する」
    ・try doing something「試しに何かをしてみる」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) You should try to eat more fruit.
 (b) You should try eating more fruit.
  (“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 7th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald

  (a)の方は、
  「あなたはもっとたくさんフルーツを食べるように努力すべきだ」
  という意味になる。

  多分、肉や魚などの動物性たんぱく質や動物性脂肪ばかり摂っているのであ
  ろう。フルーツや野菜を食べて、健康になってほしいとの願いから出る発言
  ではないかと思う。

  (b)の方は、
  「あなたはもっとたくさんフルーツを食べてみるべきだ」
  と訳ができる。

  例文をとったOALDの説明では、「実際に食べてみて、気分がよくなるか、健
  康になるか試すべきだ」となっている。

  この2つの例文は、どちらも「これからやること」を勧めていて、現実にそ
  の動作が行われたわけではない。

  しかし、〔動名詞〕の(b)の方は「実際に食べてみて……」と現実の動作を
  頭に描いており、〔事実指向的〕であるという説明が当てはまるか。

  (a)の〔to不定詞〕の方は、「eat という動作に向かって努力する」という
  ことで、〔未来指向的〕と考えればよい。

  try の後ろの〔to不定詞〕と〔動名詞〕の違いを説明しようと試みたが、私
  自身、すっきりと納得しているわけではない。。


  『現代英文法講義』から、もう1組の例文を紹介する。

 (c) I tried to skate, but fell over at once.
   「スケートをしようとしたが、すぐ転んでしまった」
 (d) I tried skating, and found it rather hard.
   「スケートをしてみたが、かなりむずかしかった」
    (安藤貞雄著『現代英文法講義』開拓社 16.6.3.(5))
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lmeg

  こちらは try が、過去形の tried になっている。

  (d)の方は、「実際にやってみて、そのむずかしさが分かった」ということ
  だから、〔事実指向的〕というのは当てはまる。

  (c)は、「しようとしたんだが、失敗してしまった」ということで、本人は
  「スケートをした」という認識をしていないのかもしれない。達成されてい
  ないのである。「そのことに向かって努力をしたが……」ということなのだ
  ろう。上掲書では、これを〔未来指向的〕とみているようだ。


  “English Grammar in Use 3rd edition”Raymond Murphy でも、上記のよ
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#egu
   うな意味の使い分けを勧めている。

  しかし、“Practical English Usage 3rd Edition”Michael Swan を見てみ
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peu
  ると、上掲2書や手持ちの他の参考書とは少し違う説明がしてある。

  「試しにやってみる」「効用があるかどうか試してみる」という意味につい
  ては上掲2書と同じく“try+動名詞”を使うように指示がある。

  ところが、「何か困難なことをするために努力する」という内容は“try+
  to不定詞”も“try+動名詞”も両方使える、と言っている。

 (e) I tried to change the wheel, but my hands were too cold.
 (f) I tried changing the wheel, but my hands were too cold.
  (“Practical English Usage 3rd Edition”Michael Swan)
  「私はホイールを替えようとした。でも私の手がかじかんで、できなかった」

  悩ましいが、確信が持てなければ、冒頭の波線で挟んだまとめに従ってくだ
  さい。


………………………………………………………………………………………………
(2)go on
………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・go on to do something「続けて(別の)何かをする」
    ・go on doing something「何か(1つの事)をし続ける」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) After discussing the economy, the president then went on to talk 
  about foreign policy.
   「経済について議論したのち、大統領は続けて外交政策について話した」

  “go on+to不定詞”は、「今までと違った別の話題に進ん」だり「別の動
  作に移っ」たりするときに使う。

  2つのことがあり、1つが終わる。次の1つに「向かう」から〔未来指向的〕
  と考えられる。

 (b) The president paused for a moment and then went on talking.
   「大統領は、少し間を置いた後話し続けた」
  (a,bともに“English Grammar in Use 3rd edition”Raymond Murphy)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#egu

  “go on+動名詞”は、「今まで続けていた話題をさらに続け」たり、「今
  までの動作をそのまま続ける」場合に使う。

  「実際に」やってきた1つの事を、さらに続ける。〔事実指向的〕。


 (c) He went on working until he was 91.
  (“LONGMAN Dictionary of Contemporary English 4th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce
   「彼は91歳になるまで働き続けた」


 (d) Do all the students go on to work in catering?
  (“Oxford PHRASAL VERBS Dictionary for learners of English”)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#opvdl
    「生徒はみんな、次にケイタリングの仕事に向かうのですか」

  ケイタリングは、学園祭などのイベントの屋台などで飲食物を提供すること
  である。ホテルのパーティーなどで給仕することも、そう呼ばれる。


  第40号の(3)にも関連記事あり。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/031-040/egu040.html#3


………………………………………………………………………………………………
(3)mean
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    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・mean to do something「何かをするつもりである」
    ・mean doing something「結果として何かをすることになる」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) I didn't mean to hurt you...
  (“Collins コウビルド英英辞典 改訂第5版”トムソンコーポレーション)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#cobuild
   「私はあなたを傷つけるつもりはなかったんだ……」

  意図の後に行動があるので〔未来指向〕。

 (b) If we want to catch the 7.30 train, that will mean leaving the  
  house at 6.00.
  (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary 2nd edition”)
   「もし私たちが7時半の列車に乗りたければ、そのことは6時に家を出る
    ことを意味するだろう」
   →「7時半の列車に乗りたければ、6時には家を出なければならないだろ
     う」

  (b)の方の leaving the house at 6.00 も mean の目的語と考えるのが普通
  のようだが、that=leaving... という関係もみられ、補語と考えてもよい
  ような気がする。

  この例文はさかのぼるから紛らわしいが、時の関係は無視して、頭で考える
  〔概念的〕な行動と考えることができるかもしれない。


  〔to不定詞〕の前に、〔意味上の主語〕を置く例も見られる。

 (c) We didn't mean for you to lose your job.
  (“Macmillan English Dictionary: For Advanced Learners of American 
    English”Palgrave Macmillan)
   「私たちはあなたに仕事を失って欲しくはなかった」
   「私たちはあなたの仕事を奪うつもりはなかった」

  イギリス英語では for を省き、

 (d) We didn't mean you to lose your job.

  と“want O to不定詞”と同じ構文になる。

  どちらも「Oに〜させるつもりである」「Oに〜してもらうつもりである」
  という意味になる。

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 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
………………
       http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html
       http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html

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● あとがき

 携帯用に設けられていた『ミニまぐ』のサイトが『まぐまぐ』に統合されまし
 た。携帯電話の字数制限を気にする時代は過ぎ去ったということでしょうか。

 『ミニまぐ』では配信キャリア(携帯通信会社)ごとの配信数まで報告されて
 いて良かったのですが、統合されてからは確認できなくなりました。確認する
 時間は少なくなって、その分他の作業に回せるから良いのだけれど……。


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        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2009
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