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第192号 名詞の複数形−3


=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英語の文法と語法    No.192    20120420   Chick Tack
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             ● 第192号 ●

………………
 Contents         名詞の複数形−3
………………
       (1)母音が変化する複数形

       (2)oo → ee

       (3)kill the goose that lays the golden eggs


………………………………………………………………………………………………
(1)母音が変化する複数形
……………………………………

  現代英語において〔単数形〕の語中の〔母音〕を変化させて〔複数形〕を作
  る〔名詞〕がある。

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    ・変母音複数(mutation plural)
          ・・・母音部分が変化して複数形をつくる名詞

     foot → feet, louse → lice「シラミ」, mouse → mice

     woman → women, man → men, goose → geese「ガチョウ」

     tooth → teeth

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(2)oo → ee
……………………

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    ・foot[fUt]「足」→(複数形)feet[fi:t]
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 (a) My feet are aching.
  (“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 7th edition”)
  (“Oxford Advanced AMERICAN DICTIONARY”Oxford University Press)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
   「私の両足が痛んでいる」「私は両足が痛い」

  foot は「くるぶしから下の部分」。「ももからくるぶしまで」の「脚」は 
  leg。

  foot の〔複数形〕は、通常 feet を使う。foots の例は補足記事で。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/181-200/egu192.html#supple


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 (b) My height is exactly five feet ten inches.
  (“Amusements in Mathematics” by Henry Ernest Dudeney)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#aim
                     訂正および追加 2012年7月11日
    「私の身長は、きっちり5フィート10インチです」

  「1フィート」は「12インチ」。one foot=twelve inches。

   5 feet 10 inches = 12 inches × 5 + 10 inches = 70 inches
  = 2.54 centimeters × 70 = 177.8 centimeters

  日本語では、単数・複数にかかわらず長さや距離の単位は、「フィート」を
  使っている。「フット」という読み方も辞書に出ていることがあるが、実際
  には「1フット」と訳してあるのは見かけない。

  「30.48cm」の長さの「1フィート」は、前の数字が複数の場合、feet を使
  う例と foot を使う例がある。

 (c) I'm five foot four and my weight now is about ten stone.
  (“Collins コウビルド英英辞典 改訂第5版”トムソンコーポレーション
   イギリス英語話し言葉)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#cobuild
   「私は身長5フィート4インチ(162.56cm)で、現在の体重は約10ス 
    トーン(63.5kg)です」

  三省堂『現代英語語法辞典』小西友七編「P512foot欄」では、次のように説
  明している。http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#dewme

   ================================================================
    現在の米国の書き言葉では、feet が一般に用いられ、foot はあま
    り使われない。それに対し、英国の書き言葉では、米国よりは
    foot が頻繁に使われるようである。話し言葉では、この foot が
    米国、英国どちらでもよく使われている。なお、最後の例(She's
    five foot eight inches tall.―Sinclair(ed.)(1992))のように、
    この語の後にインチを表す数字や表現がくる場合には、foot を使
    うべきであるとする語法書[Collin et al.(1986); Greenbaum &   
    Whitcut(1988)]もあるが、実際にはいずれの形式も見られる。
   ================================================================

  feet, foot ともに ft と略記する。inch, inches は in と略記される。
  また、five feet eight inches は“5´8″”と記号書きされることがある。
  feet, foot を表す“´”は「プライム(prime)」、“″”は「ダブルプライ
  ム」と呼ぶらしい。時間や角度の「分」「秒」の代わりとしても使われる。


 (d) The garden was bounded by a three-foot brick wall with a fringe   
  of wood rails upon the top.
  (“A Study In Scarlet”by Arthur Conan Doyle)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#holmes2
   「その庭園は上に木製の手すりを飾り付けた3フィートの高さのレンガの
    塀で境界を区切ってあった」

  「何フィートかの名詞」という表現は、“数詞-foot 名詞”で表現する。
  feet は使わない。(×)a three-feet brick wall。


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    ・goose[gu:s]「(雌の)ガチョウ」
                → (複数形)geese[gi:s]
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 (e) Your beer should be excellent if it is as good as your geese.  
  (THE ADVENTURE OF THE BLUE CARBUNCLE from“The Adventures of    
   Sherlock Holmes”by Arthur Conan Doyle)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#holmes
   「あなたのビールがあなたのガチョウと同じくらいよかったら、そのビー
    ルは優れているのが当然です」
   「ガチョウと同じくらいの品質ならば、ここのビールもきっとおいしいで
    しょう」

  「雄のガチョウ」は gander、「若いガチョウ」は gosling、「ガチョウの
  群れ」は flock。

 (f) What's sauce for the goose is sauce for the gander.
   「ガチョウの雌用のソースである物は、ガチョウの雄用のソースである」
   「ガチョウの雌に合うソースは、ガチョウの雄にも合う」

  このことわざから、(g)のことわざもできた。

 (g) What's good for the goose is good for the gander.
   「ガチョウの雌に良いものは、ガチョウの雄にも良い」
   「あなたがそれを望んでいるように、私もそれを望んでいる」

  特に男性の立場と女性の立場について、不公平のないようにしたいときに用
  いられる。


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    ・tooth[tu:θ]「歯」→(複数形)teeth[ti:θ]
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 (h) I shall bite you with my white tooth if you talk such nonsense.
  (THUMBELINA by Hans Christian Andersen from“Childhood's Favorites 
   and Fairy Stories”)(親指姫)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#cffs
   「もしあなたがそのようなバカげたことを言うならば、私は白い歯であな
    たを噛みますよ」

  〔複数形〕の方が自然なようにも思うが、tooth と〔単数形〕になっていた。
  調べてみたら H. B. Paull 英訳の“Hans Andersen's fairy tales: a new 
  translation”では“Now don't be obstinate, or I shall bite you with 
  my white teeth.”と〔複数形〕になっていた。

  アンデルセンの作品は、デンマーク語が原文だと思う。検索してみたが見つ
  けられなかった。また見つけたとしても該当部分もわからないと思うし、仮
  に分かっても単語の形の変化や文法がさっぱり分からないので、深追いはや
  めておく。ドイツ語訳の該当部分(見つけた物だけ)を見ると、どうも複数
  形で翻訳されているようだ。

  後にデンマーク語の原文をネット上で見つけた。該当部分は hvide tand
  だと思う。これで white tooth になっている。確実なことは言えないが、
  tand は〔単数形〕のようだ。


 (i) The dog sank its teeth into my leg.
  (“LONGMAN Dictionary of Contemporary English 4th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce
   「その犬は自分の歯を私の脚に沈み込ませた」
   →「その犬は私の脚に噛みついた」

  tooth の〔複数形〕は teeth である。

 (j) Usually friendly, she suddenly began to show her teeth.
  (“Random House Webster's Unabridged Dictionary 2nd”)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#rhwud
    「普段は友好的なのに、彼女は突然敵意をあらわにし始めた」
    ←「彼女は自分の歯を見せ始めた」

  show one's teeth は、日本語の「牙をむく」に近いか。「歯を見せて笑う」
  ではない。私は、最初聞いた[見た]ときそう思った。


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  例文(b)を引用したパズルの問題文全文はこちら。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/181-200/egu192.html#supple2

  oo の部分が ee となった経緯についての補足記事はこちら。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/181-200/egu192.html#supple3
  興味があれば読まれたし。


………………………………………………………………………………………………
(3)kill the goose that lays the golden eggs
………………………………………………………………

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    ・kill the goose that lays the golden eggs
     「我慢不足や強欲・愚かさのために将来の利益を台無しにする」
     ←「金の卵を産むガチョウを殺す」
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 (a) Don't be obnoxious to Aunt Ruthie when she gives you money.
  You'll kill the goose that lays the golden eggs.
  (“Scholastic Dictionary of Idioms”by Marvin Terban)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/words100/referw01.html#sdi
   「ルーシーおばさんがあなたにお金を与えるときに、不機嫌な態度をとる
    のをやめなさい。金の卵を産むガチョウを殺してしまうことになるわよ」
   「ルーシーおばさんにお金をもらうのならば、不機嫌な態度で接してはい
    けません。せっかくの収入源を断つことになりますよ」

  イソップの寓話から生まれたことわざ。寓話は次のようなもの。

  毎日1個ずつ金の卵を産むガチョウがいた。飼い主は一獲千金を狙いガチョ
  ウのお腹を割いて中を見た。中には何もなかった。ガチョウは死んでしまい、
  1日1個の金の卵も得られなくなった。
  (“AEsop Fables”by AEsop, フランス語からによるいろいろな人の英訳)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#aesop


 (b)“You will neither torture me nor kill me.”
   “And why not?” asked Boris.
   “Because you'd kill the goose that lays the golden eggs,” replied
  Tommy quietly.
  (“Secret Adversary” by Agatha Christie)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#adversary
   「『君は私に拷問をしないし、殺しもしない』
   『どうしてそうしないと?』とボリスはたずねた。
   『そんな事をすればせっかくの利益を失うことになるからね』トミーは静
   かに返した」

  “neither A nor B”は「AもBも〜ない」。

………………………………………………………………………………………………
 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
……………… http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html
       http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html


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● あとがき

 本年は我が家の三仏の年忌が当たっていて、法要の準備と後片付けに時間を取
 られ、思うように英語の学習ができなかった。

 もうすでに何人かは亡くなっているのだが、父は8人兄弟、母は6人兄弟なの
 で、これだけでもかなりの出席者になる。三仏のうちに曾祖母(この人、百二
 歳まで生きた)が入っているので、その実家とその実家の分家も呼んだ。祖父
 母の兄弟の後を継いでいる人たちも当然呼ばなければならない。

 結構大事(おおごと)になるのだ。

 法要は自宅でやったが、食事は近く(といってもマイクロバスで送迎してもら
 った)の寿司屋でとった。母が存命中は食事も自宅で食べてもらっていた。親
 戚の女性が当日何人か早く来てくれ、準備を手伝ってくれたのだ。しかし、家
 の者は、数日前から準備(「まわし」や「したく」という)を始めなければい
 けない。

 現在でも、我が家の分家(「新家(しんや)」と呼んでいる)は、自宅で御斎
 (おとき)をしている。しかし、男ばかりの我が家では、そんなことはとても
 できない。外食になってしまう。

 普段ごちそうを食べたりお酒を飲んだりできなかった時代には、法要は一種の
 娯楽も兼ねていた。現在は、各々が自分の趣味を持ち、普段から充分飲食して
 いる時代である。食事をなくしたり、法要自体やらなくなる家もある。

 私自身はどうでいいのだが、父が存命中は続けていかなければ……。これも親
 孝行の一つだと思うから。


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 大きな椎茸ができた。左は、普段使っている私のご飯茶碗である。
 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/181-200/egu192.html#supple4


・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2012
・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
      



補足記事

● 複数形 foots

foot が「フットライト」「脚光」の意味を表す場合 foots を複数形とすることが多い。
He wanted to jump over the foots after the guy.
Notes on a Cowardly Lion: The Biography of Bert Lahr By John Lahr
「彼はその男に続いて脚光を飛び越えたいと思った」

この他「沈殿物」(=the dregs)という意味の場合も foots を使うようだ。

● THE LABOURER'S PUZZLE.

例文を採った数学の問題全文
よければ解いてみてください。

Professor Rackbrane, during one of his rambles, chanced to come upon a man digging a deep hole.
"Good morning," he said. "How deep is that hole?"
"Guess," replied the labourer. "My height is exactly five feet ten inches."
"How much deeper are you going?" said the professor.
"I am going twice as deep," was the answer, "and then my head will be twice as far below ground as it is now above ground."
Rackbrane now asks if you could tell how deep that hole would be when finished.

Amusements in Mathematics, by Henry Ernest Dudeney)

問題文中の labourer は laborer のイギリス英語表記。

解答は“10 feets 6 inches”。
解き方は後日時間ができたら。

● ウムラウト活用 oo → ee

英語の歴史において、西暦450年から1100年までの時期を古英語期と呼んでいる。

古英語の名詞は、単数・複数で活用しただけではなく、でも活用した。-e, -es の他、-a, -as, -um などが語尾に付いて活用した

語尾が変化するものの他にウムラウト活用と呼ばれる語中の母音が変化する名詞があった。この号では、その中から ooee に変異するものを紹介した。

foot は、古英語の〔単数形〕が foot、〔複数形〕が feet であった。
goose は、古英語の〔単数形〕が goose、〔複数形〕が geese であった。
tooth は、古英語の〔単数形〕が tooth、〔複数形〕が teeth であった。
thornソーン(Thorn)と呼ばれる。この文字は中英語期にも使われたが、その終わりごろには th というつづりに変化していく。

omacronの部分を oo、emacronの部分を ee と考えてもらうと納得できるであろう。

成立の経緯は以下の通りである。
foot は古英語期以前のゲルマン祖語の段階で[fo:t フォート]と発音されていたようだ。ローマ字読みしてもらえば、近い発音になる。
この複数形は、語尾に iz をつけ、[fo':tiz]と発音されていた。[i]は舌先を前に持ってきて発声される。それに対し[o:]は舌が奥に引っ込んでいる。あとに[i]を発音することが分かっているため、これを発音しやすくする目的で[o:]の舌の高さのまま、舌を(あらかじ)め前に持ってきておく。[o:]の舌の高さのまま前に持ってくると[e:]という発音になってしまう。[fe':tiz]となるのだ。その後、母音が交代する原因を作った複数形接尾辞 iz が姿をくらますのである。かくして[fe:t]という複数形の発音ができあがる。feet が[fe:t フェート]と発声されるのである。ローマ字を習ってきた我々は納得できる。

近代英語期になると、ローマ字読みだけでは通用しない事態が起こってくる。母音の舌の位置が1段か2段分、それぞれ上がるのである。これが大母音推移と言われるものだ。
このため feet の[e:]が[i:]に上がり[fi:t]になる。foot の[o:]も[u:]に舌の位置が上がり[fu:t]になる。さらに発音をしやすくするため、[t][d][k]の子音の前の[u:]は[U]と変化する。この現象は、母音が長音から短音になったので短化(shortening)と呼ばれる。16世紀から17世紀にかけて起こった。このため foot は[fUt]になった。oo が[U]になる例はこの他に good, stood, look, took, book, cook などがある。

goose は古英語期の形が で、発音は[go:s]であった。複数形は[ge:s]。こちらも元の複数形[go':siz]の[i]の発音をしやすくするため[o:]の舌の位置が前にずれ[e:]になる。iz は消滅するため、発音に合わせつづりも gosi から になった。

大母音推移によって goose は[go:s]から[gu:s]に、geese は[ge:s]から[gi:s]に変わる。

tooth は古英語期の形が tooth で、複数形は teeth

最後のpに似ている文字はソーン(Thorn)という。現代では th の2文字で表している。古英語は1音に1文字を当てるのを原則としていた。そのため上横棒の長音記号や1文字ソーンなどが使われているのである。中英語期からは2文字や3文字で1音を表すことが増えていく。

前出の2例のように、tooth は大母音推移により[to:θ]より[tu:θ]になる。teeth の方はウムラウト活用により[to:θiz]から[te:θ]に、さらに大母音推移により[ti:θ]になったと考えられる。

複数形ではないが、〔名詞〕blood「血」の〔動詞〕の形 bleed「出血する」や food「食べ物」の〔動詞〕の形 feed「食べ物を与える」も oo から ee への変化である。

● 大きな椎茸が採れた

平成24年4月収穫の椎茸
一雨ごとに大きくなった。もう少し小さいうちに収穫した方が味はよかったかも。しかし、このヴォリュームに大満足。このところほぼ毎日料理に使っている。


デル株式会社

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