[5]名詞節のページでは、中学生の学習範囲の名詞節だけを紹介しました。接続詞that に導かれる名詞節の例と、間接疑問詞に導かれる名詞節の例でした。このページでは、関係代名詞what に導かれる名詞節と、間接疑問をつくる接続詞のwhether, if に導かれる名詞節について学習しましょう。
(1) I don't care whether you are here or not. |
「君がここにいてくれても、いなくても、どっちでもいいよ」という意味になります。care は「を気にする」「を心配する」「に関心がある」という意味の他動詞です。自動詞の用法もあり、“care about wh節”の about の省略とみる説もあります。他動詞とみた場合、careの目的語は、whether you are here or not になります。
主語になる名詞節のページで説明したように、主語としては、if節は使えませんでしたが、目的語としてならば、whether に替えて if も使えます。話し言葉としては、if の方が自然となります。
(1)の例文は、
I don't care + Are you here (or not)?
で出来上がっていると説明されます。
what など、疑問詞を使っている疑問文を間接疑問とするには、疑問詞を前において接続詞の働きを兼ねさせてやることができました。でも、疑問詞を使っていない疑問文では、接続詞の代わりになる語がないので、if, whether の登場となるわけです。if, whether の後の語順は、疑問詞を使った間接疑問と同じになります。
「私は『あなたはここにいますか(いませんか)』を気にしない」という意味関係になり、「君がここにいてくれても、いなくても、どっちでもいいよ」という内容になります。
(2) I'll give you what you want. |
「僕は君が欲しいものなら何でもあげるよ」という意味になります。you が〔間接目的語〕、what you want が〔直接目的語〕となっています。第4文型ですね。
what は、先行詞を含む関係代名詞と説明されます。
=I'll give you anything that you want. と書き換えることもできそうです。そうすると、先行詞は anything となります。anything that=what となっているのです。書き換え文は、anything が〔代名詞〕で〔目的語〕、that you want は、anything を修飾する〔形容詞句〕と分解できてしまいます。ところが、what you want は、切り離すわけにはいきません。全体で【名詞句】となって〔目的語〕の資格を得るわけです。
関係代名詞 what は、the thing which; the things which; the thing that; the things that; that which; those which とさまざまな書き換えが考えられます。単複の違いを除けば、どれも同じようなものです。
例文(2)の what は、all that; anything that と書き換え可能で、「〜するすべてのもの[こと]」という意味になるものです。もっとも、「僕はあなたが欲しがっている(特定の)ものをあげるよ」という意味にもとれます。それを避けるために、whatever という〔複合関係代名詞〕を使うことがあります。
(3) I'll give you whatever you want. |
これは、(2)の例文と同じ意味になります。誤解を受けずに「君の欲しいものは何でも」という意味で使えます。
whoever(〜する人はだれでも);whichever(〜するのはどちらも);whatever(〜するものは何でも)という〔関係代名詞〕に ever がくっついたものを【複合関係代名詞】と呼びます。これに導かれる節も【名詞節】となることがあります。当然〔名詞〕と名が付くだけあって〔目的語〕として使うことができます。
(3-2) I like whoever has a warm heart. |
「私は、温かい心をもった人なら、誰でも好きです」
=I like anyone who[that] has a warm heart.
(3-3) I like whomever you like. |
「私は、あなたが好きな人なら、誰でも好きよ」
=I like anyone whom[that] you like.
(3-2),(3-3)の例文を見比べてください。(3-3)の書き換え文では、〔名詞節〕の部分が、you like whom の関係になっていて、whom の部分が〔目的語〕にあたります。ですから whom, whomever になっています。でも、口語では who と whoever が好んで用いられています。
wh--ever は、〔副詞節〕を導く場合もあります。その場合は譲歩(じょうほ)を表し、「だれが〜しようと」「何を〜しようと」「どちらを〜しようと」などという意味になります。
この場合は当然、目的語とはなりません。
この他、“Whoever went there?”「いったい誰がそこに行ったんだ?」と疑問詞を強調する使い方もあります。この例文は whoever 自身は主語になっていますが、節を導いてはいません。主語が〔代名詞〕の例となります。
(4) You may take whichever cake you like. |
「好きな方のケーキを取っていいわよ」
=You may take either cake that you like.
whichever が、either と that の働きを兼ねています。cake という名詞を修飾しているので〔形容詞〕と考えられます。【複合関係形容詞】と呼ばれています。
whatever も後ろに〔名詞〕を置いて〔複合関係形容詞〕として利用できます。後ろに名詞がつくことの他は、譲歩の〔副詞節〕を導くことなど、複合関係代名詞と同じですね。まあ究極の目的語は、後ろの〔名詞〕なんでしょうけど、〔名詞節〕全体と考える方がわかりやすいですね。
複合関係詞の仲間でもう一つ、〔複合関係副詞〕というものがあります。でも、この複合関係副詞に導かれる節は、〔副詞節〕になるので、目的語とはなりません。
(2)の次が順当なのですが、(2)の終わりの話の続きが(3)にうまく流れたので、紹介が後になってしまいました。
(5) Give me what money you have. |
「お前が持っているお金を(俺に)全部よこせ」
=Give me all the money that you have.
=Give me as much money as you have.
あまり、ほめられた例文ではありませんが、what は後ろに名詞を置いて〔関係形容詞〕として働いています。この場合、「〜するすべての」「少ないながら〜するすべての」「〜するどんな〜でも」「〜するだけの〜」という意味になります。
「少ないながら〜するすべての」という意味になるときは、little, few, small などを名詞の前において意味を強めることがあります。
(5-2) I'll give you what little help I can. |
「私は、私のできる少ないながらすべての援助を、あなたに与えるでしょう」
→「私は、大したことはできないけれど、あなたをできるだけ援助しますよ」
〔関係副詞〕の先行詞 the time や the place, the reason というのは、しばしば省略されます。この場合関係副詞に導かれる節は、〔名詞節〕のように見えます。実際〔名詞節〕と考えても差し支えないと思います。これが他動詞の目的語となることも考えられます。間接疑問と混同してしまいますが、取り違えてもさほど意味の違いは生じないと思います。
[7][8]は、まだできていません。(ー_ーゞ
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