通常、中学生が接するような英文に、これが主語として使われることはないと思います。目的語として使われる場合はあります。目的語として取り扱われる場合は、学校でも重要な構文として教えられています。
名詞の重要な働きは、文中で主語・目的語・補語になることです。名詞節とは、主語と動詞が含まれた句が名詞の働きをすることです。【名詞節】が、英文中で〔目的語〕になるのだったら、【主語】にもなりますね。
“You know that you are wrong.”「君は自分が間違っていることを知っているね」
この英文では、that you are wrong の部分が、他動詞know の目的語として使われています。「that以降全部を知っている」んです。
(1) That you are wrong is evident. |
「あなたが間違っているのは、明らかだ」という意味になります。この文の主語は、That you are wrong です。you are wrong で、完全な文として成り立ちますね。それを〔主語〕や〔目的語〕として使いたければ、前に接続詞that を置いてあげればいいのです。そうすれば、その文は〔名詞節〕となり、主語として使おうが、目的語として使おうが自由なのです。もう名詞になったのだから。こういう主語と動詞を含み、文としての体裁(ていさい)を整えた部分を【節】と呼んでいます。だから名詞節なんですね。
接続詞というと、節と節(文と文)の間に入れなければいけないと思い込んでいる人がいますが、そんなことはありませんね。when や if といった接続詞は、節と節の間にないことも多いですね。だから、that で始まっても、何も問題ないのです。
ただし、主語が長くなるとわかりにくくなることもあるので、“It is evident that you are wrong.”と形式主語の It を使って、本当の主語を後ろにまわす“It...that....”の構文というのもあります。この説明でもわかってもらえると思いますが、もっとくわしい説明は、“It構文”のファイルをつくって行いたいと思います。
(2) What is learned in the cradle is carried to the grave. |
「ゆりかごの中で学んだことは、墓場まで持っていかれる」という意味になります。「三つ子の魂百まで」ということわざでしょうか。
関係詞に導かれる節は、〔形容詞節〕が普通です。〔先行詞〕である名詞を修飾しているからですね。ところが関係代名詞の what は、この中に〔先行詞〕も入っています。よく「“the thing(s) which”“that which”と書き換え可だ」と言われます。この場合ならば、the thing が主語で、which以降が〔形容詞節〕と分解できます。でも、what は分解できないので、what以降が1つの節とするしかないのです。ですから、what 以降は名詞節ということになります。
The thing | which is learned in cradle | is carried to the grave. |
S(名詞) | ←形容詞節 | V.... |
What is learned in cradle | is carried to the grave. |
S(名詞節) | V.... |
〔関係代名詞〕に“ever”の付いたものを【複合関係代名詞】と呼んでいます。whoever, whichever, whatever があります。これらが導く節は、【名詞節】となる場合と【副詞節】となる場合の2通りがあります。
「誰が〜しようと」「どちらを[が]〜しようと」「どんなもの[こと]が[を]〜しようと」という意味になるのが副詞節の方です。ここでは、主語になることができる〔名詞節〕の方についてだけ見ていきます。こちらは、「〜する人はだれでも」「〜はどれでも」「〜するものは何でも」という意味になります。
(3) Whoever says so is not my friend. |
「そんなことをいうやつは、(どんなやつでも)僕の友達なんかじゃない」という意味の英文です。“Anyone who says so is not my friend.”とやれば、who says so は〔形容詞節〕になります。
whoever は、「人」を表す言葉なので、これに導かれる節は〔主語〕となる可能性は、大いにあります。ちょっとかたいのですが、whomever という形もあります。
(3-2) Whomever I know is my friend. |
「私が知っている人は、誰でも友達だ」という意味です。Whomever I know が〔名詞節〕で〔主語〕となっています。whomever は、I know の〔目的語〕となっているので〔目的格〕となっています。ただし、whomeverは、whoever で代用することが多く、めったに使われません。
whatever が導く節が〔主語〕となるときもあります。「〜するものは何でも」というのは、(2)で紹介した関係代名詞what でも表す事ができます。特に「何でも」の文を強調したいときには、この whatever が使われます。
(3-3) Whatever Nobita has is mine. |
「のび太の持っているものは、全部俺のもの」という内容です。
中学校3年生のときに、他動詞の目的語となる例が出てきたと思います。
I don't know what I should do.
「私は何をするべきか知りません」→「私はどうしたら良いかわかりません」
what I should do が、know の目的語となっています。【名詞節】ですね。〔名詞節〕ならば【主語】になることもできるでしょう。
(4) Who should do it is a matter for argument. |
「誰がそれをやるべきかということは、議論のためのことです」
→「誰がそれをやるかは、議論の余地がある」という意味です。
Who should do it が【名詞節】で【主語】となっています。who を【間接疑問(代名)詞】と呼んでいます。〔疑問詞〕と〔接続詞〕の両方の性質を兼ね備えていると考えられます。
(4-2) Where he went is important. |
「彼がどこへ行ったかが重要です」
Where did he go? + is important で成り立っている文です。もういう必要はないかもしれませんが、〔間接疑問〕は、疑問詞(とその付属語)は、最初にきますが、その後は疑問文の形式を取らず平叙文の語順になります。where did he go → where he went となります。
中学校で習う間接疑問は、疑問詞を使うものしか出てきませんでした。yes, no では答えられない疑問文を名詞節にするものでした。高校では、疑問詞を使わない疑問文を間接疑問にする方法を習います。
Is the rumor true? を間接疑問にすると、whether the rumor is true となります。これを主語にして、
(5) Whether the rumor is true is doubtful. |
「そのうわさは、本当かどうか疑わしい」
接続詞 whether, if を使って【名詞節】を作ることができます。ただし、if は文頭では使えないので、主語として使う場合は形式主語の it を利用します。
(×)If the rumor is true is doubtful.
(○)It is doubtful if the rumor is true.
(5-2) Whether we will win the race or not is very important. |
「私たちがそのレースに勝つか負けるか、それがとても重要なんです」
whether...or not.... という形はよく使われます。しかし、if...or not.... はありません。