こちらは高校英語の文法範囲です。【to不定詞(トゥーふていし)】は、〔名詞〕〔形容詞〕〔副詞〕の働きをすることを習いましたね。いろんな働きができて便利なんだけれど、ややこしいことも確か。「[5]不定詞」で紹介したものは、明らかに〔名詞〕の働きをしています。今から紹介する〔to不定詞〕は、〔形容詞〕と考えると理解しやすいと思います。「〔to不定詞〕するような状態」というような意味になるからです。
「[5]不定詞」で習ったのは、「〜すること」という意味になるものでした。be動詞の直後にto不定詞が来た場合、この他に、〔予定〕〔運命〕〔義務・命令〕〔可能〕〔意志〕という意味を表すことがあります。ちょっと硬い表現なので、会話で使って自然なのかどうかは知りません。
(1) We are to leave here at ten. |
「私たちはここを10時に出る予定です」
We が 〔主語〕、are が〔自動詞〕、to leave...が〔主格補語〕となります。
「私たちはここを10時に出発することです」という訳は成り立ちません。全くの=(イーコール)ではないのです。「10時に出発する状態」なのです。形容詞っぽいでしょ。
=We are scheduled to leave here at ten.
公式の予定なので、以下のようには書き換えないという。
≠We are going to leave here at ten.
≠We will leave here at ten.
≠We are leaving here at ten.
(2) He was never to return home again. |
「彼は再び故国に戻ってくることはなかった」
never などがついて、〔運命〕とわかるようになっています。
(3) You are not to talk in my class. |
「私の授業では私語は厳禁」
=Don't talk in my class.
=You must not talk in my class.
=You should not....
(4) Books are to be returned within three days. |
「本は3日以内に返却のこと」
張り紙の注意書きなどによく利用されます。
(5) No one was to be seen there. |
「そこでは、人は誰も見られなかった」→「そこに人は1人もいなかった」
=No one could be seen there.
=We couldn't see anyone there.
〔可能〕の意味を表すとき、不定詞の部分は“to be ...”と〔受動態〕になります。to be seen, to be found と来たら、これ。
(6) If you are to be in time for school, you must get up earlier. |
「学校に間に合おうと思えば、もっと早く起きなければいけません」
条件節(if...)で使われていれば、これでしょう。帰結節の助動詞は must がよく使われています。
(7) If the lot were to fall on you, what would you do with it? |
「もし、その宝くじが当たったら、そのお金をどう使う?」
were は、was を使う場合もあります。主語が you や 複数ならば文句なしに were ですが。
実現の可能性が低いものは、このように、be動詞が過去形になります。帰結節も助動詞の過去形を使います。仮定法の授業で、未来の実現可能性が比較的乏しい場合は、"were to","should"を使うと習うと思います。これで、“were to”の成り立ちが理解できましたね。
=Were the lot to fall on you, what would you do with it?
漫画家の柴門ふみさんの独占インタビューもある『親子で合格る本』や『不合格体験記』などの小冊子、資料請求された方にプレゼント中!
(8) She seems to like him. |
「彼女は彼のことが好きなようだ」
She が〔主語〕、seems が〔動詞〕、to like him が〔主格補語〕と考えるとわかりやすい。She likes him. と言い切れないときに使う表現です。to like him は、〔名詞句〕とみる向きもありますが、〔形容詞句〕の方が近いように感じます。look と同じようなものですからね。seem to を〔助動詞〕と考える人もいます。
そのまま不定詞にしていいのは、普通 think, know, like, have などの〔状態〕を表す動詞です。〔動作〕動詞は、〔進行形〕か〔完了形〕にします。
(9) He seems to have already proposed to her. |
「彼は、もうすでに彼女にプロポーズしたらしい」
〔不定詞〕の時制の授業などでよく使われるのが、seem を使った文です。判断しているのは、seem の表すときで、その判断時よりも過去のことは、〔完了不定詞〕を使います。
(10) But she seems to be waiting for your proposal. |
「でも、彼女は君のプロポーズを待っているようだよ」
〔to不定詞〕が、〔進行形〕になっている例です。
(×)She is seeming....
と seem 自身が進行形となることはありません。like, have と同じ扱いの状態を表す動詞ですから。
(8') It seems that she likes him. |
「彼女は彼のことが好きなようだ」
これは、(8)の She seems to like him. とほぼ同じ内容を表しています。(8)の方は、彼女のようすを話し手が見て、判断を下しているのに対し、(8')の方は、周りから聞いたり、周囲の状況証拠から判断を下しているということです。まあ、でもテストに出たら、そんなことは考えずに書き換えていいと思います。
(8)の主語It は、〔形式主語〕ではありません。
(×)That she likes him seems.
という文が成り立たないからです。It が形式主語ならば、真主語は that 以後です。that の以後を主語に位置に持って来た文が成り立たないので、that 以降は主語ではないということです。
この it は、〔ばくぜんとした状況・事情〕を表しています。当然「それ」とは訳しません。私の持ってる旺文社の『ロイヤル英文法(第何版かは不明)』には、「it が that 以下の節を導入する働きをしている。形の上では<主語+動詞>となるので第1文型として扱われる。
(P40)」と記されています。
でも、私は「ばくぜんとした状況は、that以降だと思われます」と考えて、It が主語、seems が述語動詞、that... が補語と見たほうがわかりやすいと思います。SVCの第2文型ですね。「導入」というのがわかりにくい。
(9)≒It seems that he has already proposed to her.
≒It seems that he already proposed to her.
(10)≒But it seems that she is waiting for your proposal.
(11) She seemed depressed. |
「彼女は、がっかりしているようだった」
高校になると、seem は第2文型をつくる動詞の代表の1つとして習うと思います。補語(C)の部分には、名詞・形容詞・過去分詞・現在分詞や、それらを含む句がきます。
(11)=She seemed to be depressed.
これらの前には、to be が省略されていると考えられます。seem to do の do の部分が be ならば、to be が省略できるのです。すべては、〔seemの補語になるto不定詞〕から始まっているのです。
ですから、=It seemed (to me) that she was depressed. と書き換えも可能です。ただし、(8')の例文解説のところで述べたように、違いはあります。
(12) Nana appeared to have forgot the name of her customer. |
「ナナは、客の名前を忘れていたようだった」
≒It appeared that she had forgot the name of her customer.
appear(〜であるようだ、〜のようにみえる)も、seem と同じように使うことができます。やや、appearの方が正式で、客観的に見てそう考えられるときに使うようです。でも、These stars appears to move around the North Star.(研究社英和中辞典第5版P68)という例文もあり、間違っていることがわかっていることでも使えます。
S+appear+C(名詞・形容詞・前置詞句)
というのも、seem と同様にあります。これは、
S+appear+(to be)+C の to be の省略ですね。
(13) He happened to see Socrates there. |
「彼はそこで、たまたまソクラテスに会った」
「たまたま〜する」という意味の happen, chance の後ろにも、〔to不定詞〕がきます。(13) は、He saw Socrates there. という文にしても文が完成するので、to see Socrates there は、〔主格補語〕と見て大丈夫だと思います。
マカフィー・インターネットセキュリティスイート
フィッシング詐欺対策を強化。