〔現在分詞(に導かれる句)〕が〔主格補語〕になれるんだったら、〔過去分詞(に導かれる句)〕も〔主格補語〕になれるでしょう。同様に〔形容詞(句)〕と考えると理解しやすいと思います。
〔過去分詞〕は〔過去形〕と同じ形のものも、たくさんあります。でも、〔過去分詞〕が〔主格補語〕となっている場合、すぐ前の〔不完全自動詞〕が、〔現在形〕か〔過去形〕・〔原形〕ですから、そのあとにまた〔過去形〕が来ることはありません。〔過去分詞〕であることが比較的分かりやすいと思います。
〔過去分詞〕が〔主格補語〕として使われる場合の多く(他動詞が過去分詞になっている場合)は、〔主語〕は〔過去分詞〕の〔動作〕をされる(受ける)方です。「〜されて……」「〜されながら……」という意味になることが多い。「……して〜されていた」「……して〜されている」と前から訳すのもありますが、自然な日本語にするためには、あまり「される」にこだわらない方がよい。
(1) She sat surrounded by her nursery school children. |
「彼女は自分の教え子の園児たちに囲まれて座っていた」
She が 〔主語〕、sat が〔自動詞〕、surrounded by ... が〔主格補語〕となります。
主語she は、「囲まれる方」なので、「囲む」は〔過去分詞〕になります。She sat surrounding.... ならば、「彼女が何かを取り囲んでいる」ことになります。
(2) He seemed surprised at the news. |
「彼は、その知らせに驚いたようでした」
surprised は〔過去分詞〕ともとれますが、辞書に〔形容詞〕として載っています。seem, look, appear「〜に見える」 などの〔補語〕としては、原則〔形容詞〕として辞書に載っているものを使うようにしましょう。
fell「感じる」も、tired「疲れて」を補語としてとりますが、やはり〔形容詞〕として認知されています。となると、〔過去分詞〕を自由に作って〔補語〕とできる場合はあまりないことになります。
(3) They got excited at the game. |
「彼らはそのゲームに興奮した」
〔過去分詞〕なので、「興奮させられた」が直訳なのですが、「興奮した」が自然なので(、特に説明もなしに)、このように訳されます。
(×)They got exciting at the game.
〔現在分詞〕ですと、they が「わくわく・興奮させるもの」になります。
(○)The game was exciting to them.「そのゲームは、彼らにとって興奮するものでした」
「〜になる」という意味の get の〔主格補語〕は、〔形容詞〕か〔形容詞化した過去分詞〕のみで、勝手に形容詞化していない〔過去分詞〕を適当につくって補語とすることはできません。「〜になる」という意味の go, come, become, grow なども、違いはありますが、ほぼこの原則が適用できそうです。
(4) She got taken good care of by her foster parents. |
「彼女は里親によって大切育てられた」
〔受動態〕の基本形は、“be+過去分詞”ですが、be動詞の代わりに、get(become, grow)が使われるときがあります。高校の英文法で習った方もいると思います。この場合、一見、“自動詞+過去分詞”の〔過去分詞〕が〔補語〕のようです。わたしはこの意見に賛成なのですが、〔受動態の一種〕というのが一般的な考え方です。
be動詞を使うよりも、get を使った方が、〔動作〕を強調できるんでしたね。「されている状態よりされる〔動作〕重視。こういうときに get を使います。〔形容詞〕として認められている〔過去分詞〕の他にも、いろんな〔他動詞〕が〔過去分詞〕として使われる可能性があります。
be動詞の受動態は、事実だけを述べるのに対し、get の受動態は、主語にとって「都合がいい」「都合が悪」、主語の「責任である」などの話し手の主観が入ったり、「予期しないこと」が起こったときに、よく使われます。
(5) When did you get acquainted with her? |
「おまえは、いつ彼女と知り合ったんだ」
「〜する」「〜した」と能動のように訳すときれいになるときがあります。
PR----------------------------------------------------------
(増補・音声付)TOEIC(R)で920点を取った医師の英語勉強法
「[8]英文の主格補語になる現在分詞」のファイルを隅々までご覧になった訪問者の方は、言わなくても分かると思いますが、ここからは、一般的に教えられている文法ではないので、そのつもりで読んで欲しい。急いでいる人は、パスしてください。
He broke the door. を〔受動態〕にすると、The door was broken by him. となります。元の英文は、He が〔主語〕、broke が〔動詞〕、(the) door が〔目的語〕なので、S+V+Oの〔第3文型〕。その〔受動態〕は〔第3文型〕の〔受動態〕と呼ぶだけです。高1の一学期の(第一)中間試験に、文型の問題が出ることがありますが、〔受動態〕は、まず出ないと思います。
万一出たときのために、標準的なものを。上記の〔受動態〕は、(The) door が〔主語〕、was broken が〔動詞〕、by him は〔副詞句〕の〔第1文型〕とします。S+V(+M)。
分かりやすくするために、一般的なものと、私の考えを併記した表を作ります。
(6) | He | broke | the | door | . |
代名詞 | 完全他動詞 | 冠詞-- | -->名詞 | ||
S | V | O |
(7) | The | door | was | broken | by him | . |
一般 | S | V<-- | --副詞句 | |||
愚見 | S | V | C(形容詞句) |
一般的な見解が〔第1文型〕であるのに対し、私の愚見(ぐけん)では、〔第2文型〕となります。C(形容詞句)の部分は、昔の動詞broken と、それを修飾している副詞句’by him が一体となって働いているという考えです。「『彼によって壊された』状態だ」と解釈します。
(8) | She | gave | me | chocolate | . |
代名詞 | 不完全他動詞 | 代名詞 | 名詞 | ||
S | V | O(間接) | O(直接) |
(9) | I | was | given | chocolate | by her | . |
一般 | S | V | O | 副詞句 | ||
愚見 | S | V | C(形容詞句) |
〔第4文型〕の〔受動態〕の一つです。間接目的語me を〔受動態〕の主語としたものです。一般的な解釈では、〔第3文型〕となっていますが、愚見では、またまた〔第2文型〕となっています。私のやり方では、〔受動態〕は、いつも〔第2文型〕になります。
(8)の〔能動態〕の文は、もう一つの〔受動態〕を持ちます。
(10) Chocolate was given (to) me by her.
一般の解釈では、to がない場合は、〔第3文型〕となるでしょう。Chocolate がS、was given がV、me がO、by her は副詞句。
to がある場合は、厳密には、to me が副詞句になるので、〔第1文型〕となります。
私の考え方では、いずれにしても〔第2文型〕です。
〔第5文型〕の〔受動態〕は、一般的な解釈でも、私の意見でも〔第2文型〕となります。ただし、区切る箇所は異なってきます。ご自分で考えてみてください。
(11) Stay tuned to us. We'll be back soon. |
「チャンネルはそのままで。(コマーシャルをちょっとした後)すぐに番組に戻ります」
〔受動態〕の〔動作〕を強調するには、be動詞の代わりに get を使いました。逆に【状態】を強調したいときは、stay, remain, lie, rest 等を使うときがあります。
tune は、「周波数・チャンネルを合わせる(同調させる)」という意味の他動詞。「ギターのチューニング」とか使いますよね。このように、「tune された状態のままでいてね」と stay が使えるんです。
(12) Those books layhidden in a musty cellar for five hundred years. |
「それらの書物は、五百年間も、あるカビっぽい穴倉に隠されていた」
(13) Rest assured of her recovery. |
「彼女の回復を確信させられなさい」→「彼女はきっと回復するよ。安心して」
(11)〜(13)の例をみると、〔状態〕を強調しているというよりも、むしろ、「積極的にその状態を変えずにいる」という傾向が浮かび上がってきます。