(熱中症死傷者推移)
厚生労働省の「職場での熱中症による死傷災害の発生状況」によると、2015年中に
職場での熱中症による死傷者は464人と前年よりも41人多い結果となった。
そのうち死亡者は29人で、前年より17人増加。
近年の死傷者は猛暑だった2010年は656人で、その後も毎年400~500人台
で高止まりの状態にある。
業種別に死亡者をみると、建設業が11人、次いで警備業で7人発生している。
死亡した状況をみると、暑さ指数の測定を行っていなかった、計画的な熱への順化期間
が設定されていなかった、自覚症状の有無にかかわらない定期的な水分・塩分の摂取を行
っていなかった、など基本的な対策がとられていなかったことが分かっている。
今年の夏は、西日本で気温が平年並みか平年より高くなることが見込まれ、熱中症によ
る労働災害が多く発生することが懸念されている(労働法令6/18号より抜粋)

(職場における熱中症対策例)
①WBGT値(暑さ指数)を測定する
作業場の暑さ指数を測るには、温度だけでなく湿度、風速、放射熱、作業服の熱特性な
どを総合的に評価する必要がある。
WBGT測定器があれば測ることができるが、ない場合には環境省の熱中予防情報サイ
トや厚生労働省の「職場における熱中症予防マニュアル」などを活用する方法もある。
②休憩場所の整備

日陰などの涼しい場所を設け、氷や冷たいおしばりなど身体を適
度に冷やす備品や、水分と塩分補給のためのスポーツドリンク等の
準備、体温計の設置をする。
③労働衛生教育
従業員に対し、熱中症の正しい知識、定期的な水分・塩分ぼ摂取
などの防止対策、体調の異常の認識と対応など定期的に講習を行う
④日常の健康管理
定期健康診断の実施と、糖尿病、高血圧症、心疾患などがある場合、医師の意見を聞く
など必要な措置を行う。
疾患以外にも、当日の睡眠不足、体調不良、前日の飲酒、風邪などの体調チェックを行
う。
⑤緊急連絡網などを作成
緊急時に対応できる病院や診療所の情報把握、緊急連絡網や救急措置の手順作成などを
しておく。
⑥環境適応するための期間
高温多湿な環境での作業がある場合、長期の休み明けの場合など、労働者が熱に慣れ環
境に適応しているか確認、作業時間を次第に長くするなどの措置を行う。

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