越冬用の流れ

StreamGravid Female

長野県北安曇郡白馬村北城に生息するヒダサンショウウオの越冬場所(2005年11月6日撮影)

(A) 緩やかな流れ(水温=9.3℃、水のpH=6.6〜6.7)で、ヒダサンショウウオの冬眠と、それに続く繁殖に利用されている。この流れは、湿地、及びその上の湿原地帯の脇にあり、これらの場所にはサンショウウオ科2種(ハクバサンショウウオとハコネサンショウウオ)が生息している。調査時に、この流れの石の下に、左右の後肢の趾が4本のヒダサンショウウオのオス(体重=8.7g、最大頭幅=12.32mm、最大尾高=9.39mm、総排出口前端までの頭胴長=57.15mm、総排出口後端までの頭胴長=63.52mm、尾長=44.22mm)が1匹いた。また、ハコネサンショウウオの幼生3匹、タゴガエルのオス1匹と幼体1匹、ヤマアカガエルの幼体少なくとも3匹がいた。

(B) ヒダサンショウウオの成熟卵を持ったメス(体重=7.9g、最大頭幅=11.93mm、最大尾高=7.41mm、総排出口前端までの頭胴長=61.50mm、総排出口後端までの頭胴長=67.17mm、尾長=44.34mm)。左右の後肢は4趾で、流れから約1mのところにある、陸上の倒木の下に隠れていた(土壌pH=5.9)。このメスの総排出口周辺部は膨らみ、皮膚には粘液の分泌が多く、皮膚を通して見える卵巣には黄色い成熟卵(濾胞)があった。これは、このメスが水の出入りを繰り返していることを示唆するものである。

同行した調査者(敬称略): 懸川雅市(東京都立小松川高等学校)、岸冨士夫(しろうま自然の会)。


Copyright 2006 Masato Hasumi, Dr. Sci. All rights reserved.
| Top Page | | English |