「双軸の舎」は旧家を再生したもので、以前は南北に細長い道路沿いの敷地の南端に店舗併用の母家、北側に離れ、その間に倉庫と畑と駐車スペ-スという佇まいであった。 再生のプランは、離れの建て替えと母家への連結、そして母家と店舗の改修である。 手法は既存の骨格を成す構造材をそのまま残し、新たに求められる平面を軸線に添って書き重ねることで、両者の間に生ずる「ズレ」た部分をデザインするところにあった。“過去と現代/内と外/公と私/住宅と店舗”の双方向の「輪郭」を損なうことなく保ち、重層させてゆくこと。即ち整然としたものではなく、適度な不協和を持ち込むことで内的エネルギ−を喚起させようと意図したものである。
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