雅楽の笙の笛を思わせる敷地の形状、その敷地に相似する建築。山肌を伝って昇ってくる風は建築を巡る。風は建築の内部に誘われ自然を歌う。・・・・・・そう、風笛を奏でているのだ。 眺望と森林浴、自然との一体感。眼下の海が西日を銀色に反射するとき、樹々の間で同化していた木の家は森の中で照る。
この建築の主題となる空間は「風笛」と称し、コンクリ―トの擁壁施工時に切り取った土(風化岩)を埋め戻すことなく洞窟として利用したもので、文字通り風の通り道である。夏にはここを通った涼風を室内に取り込むことができる。
敷地の既存樹を出来る限り残すよう配慮した基礎伏図とその工事。工事中仕方なく取り除いた既存樹(松)の跡には、同種の幼木を植樹して補っている。 木材を大量に使うこと――木を切り使うも、それに見合う植樹がなされれば再生のサイクルは成立する。この時期森の木は最盛期であり今使われる必要に迫られている。経済発展と環境保護とはトレ―ドオフの関係と言われて来たが、こと「木」に関してはアフタ―ケアがある限り両立する。ここでは木を大量( 1.58立米/坪)に使うことを意図し、盤または面の表現としてデザインに取り込んでいる。
風笛
/風のデッキ1
夕焼けに照らし出された風笛の舎。
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前面道路より見上げる。斜面を支える擁壁が建物を貫く。
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斜面に息づく松の木を保存。既存の敷地形状を生かした。
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賞歴 |
2007年
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平成19年建築士会連合会賞・優秀賞 |
2008年 |
デダロミノッセ国際建築賞2007/2008 入選 |
書籍/番組 履歴 |
2006年7月
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RKC高知放送「わたしはこう建てる〜山本恭弘の世界〜」 |
2007年6月
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「新建築 住宅特集」 2007年6月号
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2009年2月
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「住宅建築」 2009年3月号
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