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白い古書、ぞっき本も、時を経て読むと面白いものです。

今月の一冊は、これ!


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  最新駅弁全線全駅  

主婦と生活社・編
主婦と生活社刊(1983年12月25日発行)

 副題に「71路線360駅1610種類 全国駅弁完全カタログ」とあります。掲載の弁当は83年10月現在のもの。赤字を抱え疲弊していたとはいえ、87年4月の分割・民営化前の国鉄時代ですから、まだ鉄道網健在の頃です。北海道は青函連絡を入れて10路線、127種類の駅弁が網羅されています。カラー口絵には網走の「かにめし」、森「いかめし」、池田「あきあじ弁当」、札幌「やまべ鮭寿し」、岩見沢「イクラ弁当」が載っています。

 当時もデパートで「全国駅弁大会」「有名駅弁味くらべ」などと銘打った催事を開いて客を集めていました。仲間内でも好評で、よく話題になりましたが、私はよく「駅弁は旅先の駅で買うもの。品物は同じでも、デパートで買って食べるのはデパ弁だ。あんなものを食うやつに駅弁を語る資格はない」と、憎まれ口を叩いたものでした。
 83年4月から始まったNHK朝の連ドラ「おしん」が大ブーム。私も「おしんに負けず、辛抱、辛抱」で、日々労働に追われて旅行などとんと縁がなく、したがって駅弁を食べる機会もありません。辛辣なことを言いつつ、内心では全国の駅弁に興味があったのでしょう。せめて写真だけでも、と本書を買ったものと思われます。それから20年、さほどの旅もせず、駅弁を食べたのも数えるほどで、考えると情けない限り。久々にページをめくって、感慨深いものがありました。

 本書によると、デパートの駅弁大会の初開催は、東京上野・松坂屋(1959年3月24日から29日まで)の「有名駅弁とおみやげ大会」。結構、昔から開かれていたのには驚きます。また、83年当時の、各地の駅弁大会で常連の名物駅弁は、北海道は森のいかめし、長万部のかにめしがトップ。さらに富山のますのすし、郡山の磐梯鍋めし。仙台の栗めし、折尾のかしわめし、神戸の肉めし、横川の峠の釜めしなどが代表格となっています。

 今は路線、駅数も少なくなり、駅弁も様変わりして、当時の名称のままで売られているものは少ないでしょう。それでも今もって、停車する駅々で駅弁のことが気になります。郷愁と言うものでしょうか。
 現在の駅弁については、集英社刊「imidas2002」の欄外下に、各地の人気駅弁を各県一種紹介しています。ちなみに北海道は登別駅の「洋寿し」(650円)で、読んでいるだけで腹の虫が騒ぎます。

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