(1,917m、 栃木県)
1997年5月1日(木)
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相模原400−(東北道)−那須IC−740那須ロープウェイ830〜茶臼岳〜峰の茶屋〜朝日岳〜三本槍〜峰の茶屋〜峠の茶屋−那須湯本(泊) |
那須岳とは茶臼岳、朝日岳、三本槍岳などの総称で、那須岳という山は存在しない。したがって、正しくは那須岳ではなく、那須連山とか那須連峰と言うべきだろう。日本百名山をめざす者にとって、このような総称は実にやっかいなのである。
実は昨年の夏に家族で那須高原へ行き、その時ロープウェイを使って茶臼岳を登って来た。しかし、「茶臼岳を登っても三本槍を登らないと那須岳に登った事にはならないかも知れない」、という疑問が生じて来た。
それは、深田久弥氏は『まず正面に大きく現れるのが茶臼岳である。これは那須連山の最高峰であるのみでなく、盛んな噴煙をあげているので一偉観である。現在唯一の活火山である』と言っており、明らかに那須岳とは茶臼岳を指しているのだが、山と渓谷社の本では、那須岳という欄に、親切に(心から嫌味をこめて)「三本槍岳1,917メートル」と書いてあるからだ。
深田久弥氏は茶臼岳が最高峰と言っているが、正しくは茶臼岳が1,915メートルで、三本槍岳が1,917メートル、つまり三本槍の方が2メートルほど高いのである。
日本百名山を目指す者にとっては、やはり那須連山の最高峰を登らずして、那須を登ったとは言えないかも知れない、と思うようになった。
そこで、後で悔いが残らないように、「この際、茶臼岳と三本槍の両方を登ってしまおう」と思い、5月の連休に出かけて行くことにした。
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朝4時に家を出た。東北道を飛ばして来たせいか、那須のロープウェイ駅へ7時40分に着いた。観光客は一人もいなく、一瞬「運休か?」と心配したが、8時30分に始発が出ると分かってホッとした。
ここはかなり寒かった。温度計は5度を指している。準備運動のつもりで身体を動かしながら時間を待った。観光客も少しずつ増えてきた。
(ロープウェイへ向かう途中から見た茶臼岳) |
(ロープウェイへ向かう途中から見た朝日岳) |
山にはわずかに残雪があった。ピッケルを持って行くべきか迷ったが、念のため持っていくことにした。
若者や家族連れなどハイカーの中で、ニッカズボンをはいてピッケルを持っているのが場違いのような気がして恥ずかしかった。
ロープウェイの終点からは、ハイカーを追い越して、急いで茶臼岳が見える尾根へ出た。そこからは、目の前に茶臼岳の雄姿が見えた。去年の夏は、ここから山頂までハイカーが繋がっていたが、今日はまだ誰も登っておらず私が一番乗りだった。すがすがしい気分で登って行った。
茶臼の山頂では、明日登る予定の会津駒ケ岳を一目見たいと思ったが、春霞のせいか遠くの山はボンヤリとしか見えず、どれが会津駒か分からなかった。
(平ケ岳方面) |
(会津方面) |
(三本槍方面) |
山頂で一服したあと、火口を左側から周って峰の茶屋へ向った。
峰の茶屋は、茶臼岳と朝日岳の鞍部にあり、さらに峠の茶屋へ下るルートと三斗小屋温泉へ行くルートが交差した十字路になっている。ここは峰の茶屋というので小屋ぐらいはあるのかと思ったが、あったのは噴火した時に潜り込むコンクリート製の避難所だけだった。
ここは展望がよく、休憩するには絶好の場所だった。今下って来た茶臼岳を眺めるのもいいが、反対側にある剣ケ峰と朝日岳の眺めもいい。地肌をむき出しにしてそそり立った朝日岳は、アルペン的というよりも、むしろ地獄の山でも見ているような気がした。
(峰の茶屋から茶臼岳を振り返る) |
(峰の茶屋から朝日岳への道) |
朝日岳を登って行くと、左正面奥に槍のような山が見えて来た。思わず、「オー!」と歓声を上げた。近くにいたご婦人が、「あれが三本槍かしら?」と言っていたが、三本槍にしてはちょっと遠すぎる。それに三本槍は「ボッテリした山」と聞いているので残念ながら三本槍ではなさそうだ。
久しぶりにアルペン的な気分を味わいながら朝日岳の山頂へ立った。山頂からは今回の目的である三本槍岳をさがしたが、結局、分からなかった。
(あれが三本槍?) |
(槍のような山容の正体?) |
(三本槍の本物は・・・こんな感じ・・・) |
三本槍は、昔、黒羽藩と会津藩、白河藩の武士が所領を確かめるために、それぞれ槍を持って登り、山頂で三本の槍を立てたことから付いた名前だというが、いずれにしてもあまり魅力がある山ではなかった。完全に名前負けしたような山だった。
こんな山がなぜ百名山なのか。たとえ那須連峰の最高峰でなくても、やはり那須の盟主は茶臼岳だろう。
山頂からは北側に会津磐梯山らしい山が見えた。しかし、南西方面にあるはずの会津駒ケ岳は見えない。
下りは、峰の茶屋から峠の茶屋へ下った。
今日歩いた登山道は、雪は全くなく、ピッケルを持っているのが恥ずかしかった。明日は会津駒へ登る予定だが、ピッケルは車の中へ置いて行くことにしよう。
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