有形書庫−心の結晶−

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 オフラインで活躍する詩を紹介するために、Poetry Japanとディストリビューターの契約を結びました。ここは要するに、ネット書店ということになります。ただご存知の方もいると思いますが、私は他人の詩の感想をまず口にしません。それは作者の世界観は、終局的には作者にしか分からないと思っているからです。訳知り顔で批評するのは簡単ですが、その多くは作者の意図を歪曲している可能性が高いと思われます。発表された作品の解釈は読み手の自由ですが、だからといって決め付けるのは論外です。その辺のところを理解せずに、自分の物差しで詩の内容を判断してしまう人がいるようです。
 そんな考えの私が詩集を紹介する訳ですが、当然のことながら全編に目は通しています。ただ全ての詩に対して、共感しているという訳ではありません。共感できなくても理解しているかというと、困ったことにそういう訳でもありません(笑)。いくつかの詩に対して、心に残るものがあったから紹介するというのが本音です。ですから書評ではなく、「恵の独り言」として推薦をしています。あまり私の文章に拘ることなく、自分の目でサンプルを確認してみて宜しければご購入ください。

詩集の買い方(PJコールセンター)  supported by 


 『パイロットボートの深夜行』       立ち読みはクリック

     

著者名   北川浩二
出版社名 ポエトリージャパン
販売価格 1900円(税別)
内容
詩をかっこよく持ち歩きたかった。現在(いま)の僕達の現在(いま)の言葉で、僕の魂(ソウル)をのせられる詩を求めていた・・・それを満たす詩と、新しいかたちのポエトリー・ベッセル(入れ物)。ぴかぴかに光ったまま、お届けいたします。(木村ユウ)

恵の独り言
本の価格というものに、疑問を持ってしまいました。詩集自体は手に入れて良かったと思うのに、それでも高いと思ってしまいます。これはきっと価値観の問題で、私の中では本は手に取りやすい価格というのが前提にあるからでしょう。私が出版するなら文庫本、そう考えているのも原因かもしれません。さて内容の方ですが、PJの出版ということで期待していたのですが・・・思ったとおり、全く裏切られない内容でした。装丁に訳詩題・・・随所に拘りが見え隠れしています。それに加えて、一番肝心な詩は分かりやすくて不満なんて全くありません。私の嗜好から選ぶと、「いつかきたなら」と「知る人」がお薦めの作品です。内容の話だけをすれば、手に入れて絶対に損はないと思います。


 『版画、ウミガメ、タイプライターとその周辺の欲望について』

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著者名   荒木時彦
出版社名 アトリエ空中線
販売価格 1,000円(税別)
内容
ヴァレリー「テスト氏」と対話する詩集です。(荒木時彦)

恵の独り言
正直に言いますと、私には難解でした。「問い」に対する「答え」・・・そこに行き着くまでの過程を考えさせられます。実はその過程さえ、私には不可解でした。頭を柔軟にして考えようとしましたが、その努力も無駄でした。そこで頭に浮かんだ言葉は・・・「考えても分からないものは考えても仕方ない」です。そう思って読み直すと、また違った角度で楽しめるから不思議です。貴方なら、この詩集をどう読むのでしょうか。挑戦してみるのも、一興だと思います。


 『あなたが出かけてしまったあとに−24の断章−』

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著者名   荒木時彦
出版社名 アトリエ空中線
販売価格 800円(税別)
内容
遠い日、ありえたかもしれない日々をつづってみました。(荒木時彦)

恵の独り言
何の迷いもなく、私の好きなタイプの詩集と断言できます。何気ない言葉なので、余計に読者の想像力が膨らみます。造本も洒落ていて、ぜひ手にとってもらいたい作品です。こういう短文詩には憧れますが、なかなか私には上手く創れません。私の場合は、どうしても意味が通じるようにしてしまうからです。行間から想像させるという芸当は、誰にでもできることではありません。本当に出合えて良かったと思えた、私にとってそんな詩集でした。


 『つまづく地球』                 立ち読みはクリック

     

著者名   長沢哲夫
出版社名 SPLASH WORDS
販売価格 480円(税別)
内容
絶版になっていた詩集「あおういえ」(1991年)に未刊の詩6つを加え、7つの詩をはずし、題を変えてSPLASH WORDSから出版することになりました。40年来の友、ゲーリー・スナイダーが序文を引き受けてくれ、詩集を飾ってくれました。
何も言わない、何も思わない心の流れから、ふと聞こえてきた言葉が書きとめられできた詩たちですが、明らかに、この地球に生きている数知れない人たちや他のいのちたちと、ごちゃごちゃ結びあってできているこの今の時間のものです。これらの言葉の木々や草たちに親しんでもらえれば幸いです。お互いの、ここにいる旅のままに。

恵の独り言
長沢哲夫という詩人、実は詩を読む前にネットで検索してみました。そこで目に止まったキーワードは「ヒッピー」で、それが書名とシンクロしたので手に取ったしだいです。それで感想ですが、想像通りの内容でした。どう転んでも、私には創れない詩の世界です。人は自分にはないものを求めるか、あるいは徹底的に嫌います。それは好悪の感情が、実はコインの表と裏ということです。私には理解が困難な詩ですが、裏を返せば心に残っているというのも事実です。


 『カワグチタケシ詩集』            立ち読みはクリック

     

著者名   カワグチタケシ
出版社名 SPLASH WORDS
販売価格 480円(税別)
内容
ちょっと無鉄砲で、感傷的で、たまらなくチャーミングなそしていまは疎遠になってしまった何人かの友だちのために僕は詩を書いています。この詩集には、1985年から2002年の作品が収められています。(カワグチタケシ)
noises, samples+poetryreadingシリーズ のライナーノーツとしても最適の一冊。僕はセットで手に取ることを薦めます。(木村ユウ)

恵の独り言
この詩集はベスト版であって、一つのコンセプトに基づくものではありません。入門書としては最適かもしれませんが、不揃いな感は否めません。(最初から不揃いな詩集作りを目指している、私が指摘するのも変な話ですが。)さて内容の方ですが、「カワグチタケシはリーディングの人」とそんな印象を受けました。残念ながら、私はリーディングには興味はありません。ですが、それは大した問題ではないと思っています。頭の中で声に出して読むので、耳に外から入れないだけの違いでしかありません。結局は、良いものは良いということです。

 『歌いながら生きていく』           ザンボアの特集

     

著者名   豊原エス
         画・足田メロウ
出版社名 青幻舎
販売価格 1,000円(税別)
内容
豊原エス、足田メロウの詩画集、最新刊! 売れているんですなこれが。こないだ近所のお祭りでPJブース出したんだけど、80歳くらいのおばあさんがこれをずっと立ち読みしていたという。詩集をですぜ? そこのお姉さん。パッケージも白いフランス装で可愛さアップ。プレゼントにもいいと思う。(木村ユウ)

恵の独り言
「ISBNは信用していない」豊原エスの言(7月28日カフェ・アンデパンダンにて)・・・この一言に彼女の詩集に対する思い入れが現れているように感じました。彼女の基本は手売り・・・これは発行部数に関係なく、きっと続けていくのでしょう。私はというと、逆にISBNに依存するつもりです。単純に手段の違いですが、彼女の言が眩しく思えたのも事実です。さて内容の方ですが、少女趣味に走っています。豊原エスいわく、出版社の意向とのことでした。でも彼女の一面であって、彼女の詩であることに変わりはありません。決して、かけ離れたものではありません。ぜひ手にとって、貴方にも何かを感じてもらいたい詩集です。(ポインタを画像に載せると、本を開いた画像に変わります。)

 『Cafe@Sunny*Side*Papers*』   立ち読みはクリック

     

著者名   芳賀梨花子
出版社名 ポエトリージャパン
販売価格 500円(税別)
内容
芳賀梨花子の第一詩集。第二版。

恵の独り言
オープン・カフェで、ティー・カップを片手に読みたくなる装丁。日の当たらない場所には、似つかわしくないように思いました。PJが出版を手がけた記念すべき1作目で、ディレクターの木村ユウが有言実行の人だと実感できます。さて内容の方ですが、装丁から受けた印象とは裏腹なものでした。意外性があるとでも言ったらよいのか、日の光が私にはイメージできませんでした。感受性の問題なので、一概には言えませんが・・・。日光=明るいという先入観があったので、いい意味で裏切られた作品です。この詩集は余計なことを考えないで、手に取るのが正解かもしれません。

『うた』                         立ち読みはクリック

     

著者名   豊原エス
          絵・足田目朗
出版社名 おきらく商店
販売価格 600円(税別)
内容
豊原エスの詩と足田メロウの絵がええ感じに混ざり合ったイラスト詩集。全部で48ページです。
(豊原エス)

恵の独り言
こういうコラボレーションは、実は嫌いではありません。イメージの相乗効果が狙えて、なんということもない言葉が活きてくることもあります。表現の手段として、私も見習いたいくらいです。内容の方ですが、この詩集は私にはモノローグに思えました。誰かに聞かせるためではなく、自分自身に向かっているように感じました。イラストが版画調なのも、その印象に拍車をかけているのかもしれません。誰にでも共鳴できる言葉が、必ず一つは見つけられると思います。葉書サイズで、携帯にも適している詩集です。

『ホイッスル』                    立ち読みはクリック
     

著者名   豊原エス
          画・足田メロウ
出版社名 おきらく商店
販売価格 600円(税別)
内容
豊原・足田のイラスト詩集第2弾。足田君の絵がやや男らしくなっているような・・・。全48ページ。
(豊原エス)

恵の独り言
前作と比べて、言葉が力強くなっているような気がしました。言葉が外に向かっている、そういうふうな印象を受けました。イラストは前作と比べると、人物画が少なくなり抽象性が増しています。ベクトルの方向は、目指す対象によって変わってくるものです。私の創る詩は基本的に内向型ですので、異なる感性は良い意味で刺激的でした。叫んでもいいのだと、そういうふうに感じられる詩集でした。(ポインタを画像に載せると、本を開いた画像に変わります。)

『四通の手紙』                       立ち読みはクリック
     

著者名   カワグチタケシ
出版社名 プリシラ・レーベル
販売価格 500円(税別)
内容
カワグチタケシのショートストーリー。
Poetry Japan のみの独占販売! コレクターズ・アイテム。「最後の歌が終る」他。詩の部分はタイプだけど、カワグチタケシが自らタイプして封筒に入れてるわけで、まさに手紙が「届く」。今ならカワグチタケシからレスのあるファンクラブURLお教えしちゃう特典付。語らうー!

恵の独り言
手紙という古典的なコミュニケーションの手法、この形を選べたことが凄いと思いました。(ポインタを画像に載せると、封筒の中身の画像に変わります。)何てことはないと思うかもしれませんが、それを実行する行動力に私は敬意を表します。保管し難いなんていう問題は、表現の世界では二の次です。内容の方ですが、詩というよりも短編小説です。そもそも詩というものの定義、それには個人差があって曖昧です。極論すれば、作者が詩と言えばそれは詩ですから。カテゴリーに関係なく、素晴らしい作品だと思いました。

『希望について』                     ザンボアの特集
     

著者名   さいとういんこ
出版社名 SPLASH WORDS
販売価格 480円(税別)
内容
私の初めての詩集です。強いメッセージを持ったもの、クールなもの、そして、いま読み返すと恥ずかしいぐらい乙女なもの。私の中にいる何人もの私がかわりばんこに顔を出して、さまざまな年齢や状況を行ったり来たりしています。<大人になった文学少女>のある時点での矛盾や願いがごちゃまぜになった、でも正直な言葉たちです。
(さいとういんこ)

恵の独り言
「さいとういんこは、女である」それが詩集を読んだ、私の第一印象です。そんな当たり前のことが、私にとっては新鮮でした。これは比較の問題で、私が自分の性別を消すことに腐心しているからです。変な表現ですが、さいとういんこは「女であることから逃げていない」と思いました。「あなたに会いに行く」という詩は、そういう意味で印象に残る作品です。私の嗜好から選ぶと、「いつか」と「すこしずつ」がお薦めの作品となります。手に取りやすい価格ですので、一読する価値はあると思います。

『too much caffeine makes her a poet』  立ち読みはクリック
     

著者名   さいとういんこ
出版社名 SPLASH WORDS
販売価格 480円(税別)
内容
毎日、かならずと言っていいほどスターバックスや、他のカフェに行きます。新聞や本を読んだり、メールをしたりノートやモバイルPCを広げて書き物をして過ごします。自由業ゆえに、ひとりで過ごす時間が長い私にとって、カフェのテーブルはなくてはならないものになっています。窓際の席に座って外を眺めていると不思議に落ち着いて、優しい凛とした気持ちになれるのです。この詩集に収められている詩のほとんどは実際にカフェのテーブルで書き留めたもの。シンプルな日常の中で生まれてきてくれました。(さいとういんこ)

恵の独り言
詩集の構成を俯瞰して、何処かで聞いた「言葉が天から降りてくる」という言葉を思い出しました。表紙を自画像にしていますが、前作に比べると女という性が作品から薄れた気もします。「trap」という一連の作品群では、何か啓示を与えられたような錯覚に陥りました。詩という表現は誰にでもできますが、他人に感銘を与える詩はほんの一握りだと思います。それぞれ個人差があるので、そんな詩には出合えない可能性もあります。もしかしたら、この詩集で貴方は出合えるかもしれません。

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