地震・防災関連用語集

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地盤

地盤は厳密な意味で定義されているわけではありませんが、一般には、建物などの構造物を支持する層をイメージして、人間の生活と関わりのある比較的浅い部分(地表面~深度数mないし数10m程度)を指すものとされております。日常的にも地盤が良いとか悪いというような使われ方をします。

岩石で構成されている場合を岩盤というのに対して、土で構成されている場合を地盤という言いうこともあります。地表付近は岩盤が露出していることはまれであるので、生活との関連では地盤という言葉が一般的です。

構造物の基礎としての地盤は、構造物支える必要があるため、構造物に応じた強度(支持力)を持っている必要があります。そのため、構造物(高速道路、橋梁、マンションなどのビル)は地盤の性質に応じた基礎が必要になります。一般の木造住宅は重量が小さいので、地盤の上(地表)に直接基礎(鉄筋布基礎、べた基礎)を置くだけで問題がない場合が多いですが、時には地盤沈下、不同沈下など地盤が原因となる問題が生じることがあります。

沖積層の厚さと木造住宅の被害率を示すグラフ

日本の大都市は平坦あるいは緩やかな場所に広がっており、その地盤は最も新しい地質時代である新生代第四紀(更新世、完新世に区分)の地層で構成されている場合がほとんどです。特に完新世の地層は最終氷期が終了してから現在までに形成された地層であり、未固結の新しい堆積物よりなる地盤であるからこそ、問題となるという特徴を持っています。地震災害として問題となりやすい地盤には、軟弱地盤、砂質地盤、異種地盤、盛土地盤などがあります。

軟弱地盤は通常時の地盤沈下や不同沈下に加えて地震時の震動の増幅作用や建物の共振作用によって被害が拡大することがあります。N値による軟弱地盤の基準として、粘土や粘性土の場合はその厚さに応じて4から6以下、砂または砂質土の場合10以下とすることがあります。一方、砂質地盤では液状化による被害が生じることがあります。

右の図は沖積層(最終氷期最盛期以後の堆積物)の厚さと木造住宅の被害率(関東大震災 1923年)の関係を示しており、沖積層の厚さが厚いほど被害率が増加しています。(大崎順彦『地震と建築』岩波新書より)