地震・防災関連用語集

カテゴリ:災害

岩屑流(がんせつりゅう):岩屑なだれ

御岳 岩屑流

御岳崩れ 伝上川を下る岩屑流(絵)

岩屑流は空気などの低温のガスと岩屑(岩片)が一団となって斜面を流下する現象です。岩屑流に似たような現象に土石流火砕流がありますが、これらは固体(土砂や岩屑)が何と混合しているかによって区別されています。

大量の岩屑と空気などのガスが混合するとガスが滑材として作用し、粘性の極めて低い流体のようになって斜面を高速で流下することがあります。岩屑流の発生は山体崩壊のような大規模な崩壊が発生することが必要な条件であり、地震や噴火が引き金になります。

明治以降の例としては、1888年の磐梯山の噴火に伴う岩屑流、1923年の関東地震の際の根府川の山津波、1984年の長野県西部地震の際の御岳崩れが知られています。資料1によると、「第四紀火山の山麓にしばしば見られる流れ山地形は岩屑流による堆積物に特徴的なもので地質学的に見ると岩屑流の発生する頻度は決して低くないようである。」とあります。

右の絵は長野県西部地震で発生した岩屑流の想像図です。当時は雨が降っていたうえに先行雨量もありました。また、堆積状況の調査から岩屑流の下部は土石流に似たような状況であったろうと推定されています。

資料1 栗田ほか 「1984年長野県西部地震の緊急調査報告」 地質ニュース364号 1984