地震・防災関連用語集

カテゴリ:h物理探査

逆解析

原因から結果を求める問題を順問題といい、結果から原因を推定する問題を逆問題といいます。逆問題を解析する作業が逆解析であり、工学・理学・医学などの分野で広く用いられています。

今、テレビのスイッチを切ったら(原因)テレビの画面が消えた(結果)のであれば、順解析と言うのも大げさですがスイッチを切ったという行為によりテレビの画面が消えたことが分かります。一方、テレビの画面が突然消えた場合、その原因を探る作業が逆解析になります。誰かがスイッチを切ったのか、コンセントが抜けたのか、ブレイカーが落ちたのか、テレビが故障したのか、直ちに原因を突き止めることは容易ではなく場合によっては電気屋さん(専門家)に依頼する必要さえあります。

一般に、逆解析は順解析と比べて複雑であり、逆解析が可能な条件として、

  1. 解が存在すること、
  2. 解が1つであること、
  3. 解が安定していること

が必要となります。

物理探査においても逆解析は地震探査屈折法地震波トモグラフィ表面波探査、微動アレー探査、電気探査などに用いられています。屈折法弾性波探査や地震波トモグラフィにおける順解析は速度分布モデルから走時曲線を求める作業であり、逆解析は速度分布モデルを測定された走時曲線と合致する方向に修正する作業です。また、表面波探査や微動アレー探査における順解析は速度分布モデルから分散曲線を求める作業であり、逆解析は速度分布モデルを測定された分散曲線と合致する方向に修正する作業です。全体としての解析は順解析と逆解析を交互に繰り返しながら測定値(入力)を満足するような原因(出力)を追求していきますが、安定した解析が可能なようにいくつかの拘束条件を設けるのが普通です。