余所者
女の腹だけが成長し
いつしかそれは独り歩きし始めた
意識を持ち、女の体から離れ
世界の方へ歩いていった
女は慌てたが
世界を好まなかったので
傍観していると
腹は帰ってきて首をふった
その頃には首もできていたのだ
腹の首だけが成長し
いつしかそれは女になった
二人が世界を傍観し
時には右足だけが育ったり
足の親指だけが育ったりしたが
女のまわりには粘っこい膜が生じ
二人は動けなくなった
世界はどんどん膨張し
よく分からない理論が生まれ
宇宙にまではみ出していき
理論は膜に張りついて
膜は女に張りついて
二人は綺麗な文字になった
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