椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアを起こす原因

 加齢によるもの、背骨に予想以上の力がかかった事が考えられます。

 加齢を進行させる原因として、メタボリック症候群やヘビースモーキングも関与している可能性があります。若い頃の過度なスポーツも原因になります。

 髄核(椎間板の中心部にある)が弾力性を失い、繊維輪に亀裂が生じ髄核が繊維輪を破って飛び出し神経を圧迫した結果起こるものです。椎間板は周囲からの細かい血管によって栄養を補給され、中心部は血管自体もありません。脊柱のクッションの役割を果している椎間板は、年齢とともに(20歳を過ぎ)次第に血流が不足し、弾力性が衰えてくる為、変性(老化)が進みます。そこに負担がかかり軟骨が破断するものと考えられます。

働き盛りの20歳~30歳代の軽作業(事務、運転、セールス、看護、家事など)の人に多く見られます。

腰椎の下のほう、腰椎4番と5番の間(L4L5)腰椎5番と仙骨1番(L5S1)の間にもっとも多くでます。

椎間板ヘルニアのタイプ

脱出型
 =繊維輪に亀裂(ヒビ)が入り、そこから中の髄核が繊維輪を完全に飛び出す


完全脱出型
 =飛び出た髄核のかけらが、椎間板の中にある髄核と分離してしまう


膨隆型
 =繊維輪に亀裂が無く、髄核が繊維輪から飛び出さず、髄核と繊維輪が一緒に膨れ出る


一般的には膨隆型ヘルニアが多い(特に若い人)

椎間板ヘルニアの治療・手術

椎間板ヘルニアの治療・手術については下記のような治療法があります。

後方侵入髄核摘出術(LOVE法): 直接ヘルニアを見て取る、従来からの方法です
 オーストラリアのLOVE先生が最初に発表したことからこの名前がついています

内視鏡視下ヘルニア摘出法(MED法): 従来の方法をより小さな視野で行います
 顕微鏡やテレビカメラを使用します。

経皮的髄核摘出術 : レントゲンの透視で下細い管を椎間板まで刺して、その中から中心部の髄核を取る手技です。

レーザー治 :経皮的髄核摘出術と同様の手技で細い管の中にレーザーの光源を入れ、レーザーにより椎間板中心部の軟骨を焼却する方法です。

脊椎固定術

当院では、主に従来法を採用しています。その理由としては
1)確立された最も安全な方法であること
2)従来法でも7~10日間の入院で治療可能であること
3)皮膚切開も3.4cmで済むこと

 余談ながら、レーザー法は直接飛び出しているヘルニアを取るわけではなく、髄核中心部を焼却することにより圧を減少させて飛び出している部分が小さくなることを期待する方法であるため、確実性にかけると考えています。またレーザーで神経を痛めた場合は回復不可能な損傷となります。よって当院では採用していません。

 若年者(20代以下の若い人)で、髄核がみずみずしく弾力性に富んでいる場合は、経皮的髄核摘出術を行う場合があります。
(ただし機材のセットが自費で10万円前後かかります)

 高齢者や女性の方で脊椎の不安定性がある場合、男性でも腰椎分離症を合併している場合は、脊椎固定術を併用します。

どの方法を取るかは各人の所見に基づいて判断しています。
⇒ヘルニアでお困りの方は院長にご相談下さい。