後藤の部屋

No.68「この漢方薬があれば」

 暑さと寒さが混在する難しい時期となりました。暑くなると冷たいものが欲しくなりますが、表面の暑さには表面を冷やすのが鉄則です。冷たいものを体内に入れすぎるとお腹を冷やして体調を悪くします。もちろんぐったりして体温が上昇しているようなら重症の熱射病になる可能性があり危険ですので、全身を冷やして水分を補給する必要があります。命に関わるのですぐ救急車を呼んだ方がよいでしょう。しかし、軽い暑気あたりならまず暑くない場所に避難して頭を冷やしましょう。水分も冷蔵庫から取り出したばかりの冷え冷えより、常温のもので徐々に補う方がお腹にはやさしいです。真水よりも少し塩分があった方がいいのは言うまでもありません。暑さに慣れていないこの時期は熱中症になりやすいので気をつけましょう。

 漢方外来の曜日が変わったので、患者さんが減った気がします。国会では保険を使える薬から漢方薬を外そうという動きもあり心配しています。漢方薬が外されてしまうと、もちろん患者さんの自己負担も増加しますが、保険診療の決まりで同じ患者さんに西洋薬と一緒には処方できなくなります(混合診療禁止の原則)。漢方薬は薬局でも買うことはできます。しかし、もともと漢方薬は昔の漢方医が患者を診察し、その状態を分析して患者さんにあった薬を調合して飲ませていたものです。ただ症状からのみでは効果がないことや症状が悪化することがあります。腹痛に効く漢方薬はいろいろありますが、なんでも効く訳ではありません。以前腹痛のある女性を漢方で治療した時に言われたことが印象に残っています。「私の母も私と同じ症状でずっと苦しんでいました。その時にこの漢方薬があれば母は苦しまずにすんだのに。」
漢方は正しく使えば人を救います。


2025年04月28日

No.67「4月から漢方・鍼灸に専念します」

 4月から松田整形外科に常勤の小林先生が着任されることになり、整形外科の診療がさらに充実することとなりました。長らく整形外科をやりながら、漢方の診療を行ってきましたが、正直漢方診療に十分な時間をかけることができていませんでした。これを機に4月からは整形外科の診療は他の先生方にお任せして漢方・鍼灸の診療に専念したいと思います。
私の外来も木曜午後と金曜午前だったものが水曜午後と木曜午前になりますので、お間違えないようにお願いします。

 漢方をやっておられる先生はたくさんおられますが、私の場合は漢方薬を使う治療に加えて、養生を基本とした上で鍼灸を使った治療も行います。鍼灸院のように長い時間をかけて行うことはできませんが、特に痛みについて鍼灸の治療は有効です。私の教わった鍼灸師の先生は「医師はみんな鍼灸が使えれば患者のためになるのに。」というのが持論でした。だいぶ前の話ですが大学病院にいた頃に鍼灸院で痛みの治療を長く続けて癌の発見が遅れた患者さんを受け持ち苦労したことがありました。まずしっかり診断をつけて患者さんに最適な医療は何かを追求しながら、納得いただいた患者さんに漢方・鍼灸の治療を行っていきたいと考えています。鍼治療は怖いと言われる患者さんが多いのですが、私は長い鍼ではなくワッペンの先にごく小さい鍼のついた浅皮鍼を使います。ほとんど副作用がないので安全に使うことができます。鎮痛剤の効きが悪いと思われる患者さんは一度お試しください。


2025年03月17日

No.66「足湯=フットバス」

 寒かった冬も終わりが近づきました。今年は冷えが強かったせいか、足湯や足へのお灸で症状が警戒する患者さんがたくさんおられました。現代人は足が冷たい人が増えているようで、足湯がさまざまな症状に効くようです。先だっての勉強会では「いよいよ花粉の時期が始まります。漢方薬と西洋薬で治療しても症状が軽快しない人は、まず甘いもの、食べ過ぎを控える養生、適度な運動、そして足湯をしましょう。」という話がありました。足湯が花粉症に効く?不思議な話ですが、ストレスなどがあると気の巡りが悪くなります。頭で考えすぎると上半身に熱が集まるので 鼻詰まりや顔面紅潮などの症状を起こすほか熱の分布が不均衡になり下半身が冷えます。全身の熱循環をよくしなければなりません。熱は本来下から上に上がるものなので、足湯で下半身を温めると熱の循環が改善され上半身に集まりすぎた熱が全身に回って症状が軽快します。このほか婦人科疾患や腰痛、老人のうつなど足が冷えている患者さんに足湯の効果があります。

 これまではお風呂の追い焚きで、汗をかくくらいまで足湯することをお勧めしていましたが、寒い中でお風呂まで行ってやるのは面倒だと思います。最近の経験でフットバスで十分効果があることがわかりました。1万円くらいでネットで購入できますので足が冷えて体調が悪い方は、お風呂で試して効果がありそうなら寒い時期はフットバスで足湯されてはいかがでしょうか。こたつでいいじゃんという方もおられますが、空気とお湯では熱の伝わり方が段違いですので足湯をお勧めしています。湯冷めしないように上がった後で冷たい水をかけるのがよいでしょう。



2025年02月19日
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