猛暑が続いていて、熱中症にならないように注意しないと危険です。汗をかくので脱水と電解質の乱れから、脚がつるという患者さんが多く来られます。脚がつるなら通常漢方の68番芍薬甘草湯でよく効くのですが、いつもそれでよいのかというお話です。
女性の方が「最近脚がつるんです。」と来院されました。最近電子カルテの入力にも手間取ることも多くなり時間つなぎで「どこがつるんですか?」と聞いたところ「ふくらはぎの前の方です。」と。それはおかしい。普通はふくらはぎがつります。「戻してもまたすぐつるんです。」これは何かつる原因が継続していることを示しています。「普通ではありませんので一応血液検査をしましょう。」と言って検査を指示しました。
脚がつるのは困るので、お薬として68番の芍薬甘草湯を出そうと考えました。「飲み続けると血圧が上がることがありますので、できるだけ飲まないでください。」と言ったところ「血圧は少し高めなので毎日記録をつけています。」とのこと。これは芍薬甘草湯を使ってはいけない病気があるかもしれないと考えました。電解質に異常があれば心電図に変化が出ますのでその場で脈を調べたところ不整脈はありませんでした。しっかり注意すれば芍薬甘草湯を飲んでもよいと判断して処方しました。
68番芍薬甘草湯を飲んではいけない病気は①アルドステロン症②ミオパチー③低カリウム血症です。いずれも検査しなければわからない病気ですが、診察である程度推測することはできます。
かえってきた検査結果を見てみるとカリウムの値が正常値以下なので低カリウム血症があることがわかりました。すぐに電話して漢方薬を飲まないことと、カリウムを多く含む食べ物(バナナなど)を食べるようにお伝えしました。他に原因があるかもしれないので再度受診をお願いしました。
通常は脚がつる=68芍薬甘草湯でよいのですが、よく効くだけに注意が必要なお薬であることは間違いありません。余ったお薬をお持ちの方もあるでしょうが、いつもと違うと思ったら必ず受診してください。
後藤の部屋
No.70「歳をとると間違ってつながることがある
暑い日が続きます。熱中症や頭がぼっとして起こす事故に注意しましょう。
本を読んで目が疲れた時にメールが届きました。「やはりこの件はご希望の通り・・・」かねて気がかりだったことがうまくいったようです。早速関係先に問題が解決したと連絡してお茶を一杯飲んでもう一度メールと読んでみると「やはりこの件は慎重に検討し・・・」ええ!違うじゃん。何度読み返しても違う。仕方なく関係先に頭を下げて訂正の連絡をしたのですが、最初のメールは何だったのか。何が起こったのか。
検討した結果間違ってつながったようだとの結論になりました。以前手の外科医をやっている時に切断した神経を縫ってつなぐことがあったのですが、神経を正確に縫合して元通りにしたようでも感覚を伝えるすごく細い神経は間違えてつながること、例えばJR線が東武線につながるようなことが起こります。やがて慣れて困らなくはなるのですが、触った感覚が違うのでしばらくは「何が違う」と不便を感じるようです。
今回振り返ると目が疲れていて正確にメールの文章を読み取れていませんでした。読めなかったところを、暑さでぼっとしていた脳が適当にうめてしまった。もともと問題が解決すればいいのになと思っていたからでしょうが、勝手の都合の良い文章を作ってそれを事実のように記憶したようです。
オレオレ詐欺とか電話でお金詐欺の話を聞きますが、騙される一つの原因に聞こえにくさから情報を自分で都合良いように間違えて記憶することがあるのかもしれません。子がトラブルで困っているのは都合は悪いことですが、本人にすれば滅多に連絡してこない子供が連絡してくれたことから、つながりやすいところにつながって騙されるのかもしれません。
歳をとると若い時には想像もできなかったことが、面白いように起こります。子供の頃におじいちゃん、おばあちゃんが何か変なことやっているなと思っていたことがありました。自分がそうなるまでは理解できませんでしたが、今になってみれば納得できます。人間は間違える、特に歳をとると間違えることが多い。私も歳をとりましたので、間違えることが多くなります。間違いが起きないように、間違えても間違いに気づいてすぐに訂正できるように、何事も慎重に物事を進めていきたいと考えています。外来で時間をいただくことになるかもしれませんが、その分丁寧に診療しているとお考えいただきご容赦お願いします。
本を読んで目が疲れた時にメールが届きました。「やはりこの件はご希望の通り・・・」かねて気がかりだったことがうまくいったようです。早速関係先に問題が解決したと連絡してお茶を一杯飲んでもう一度メールと読んでみると「やはりこの件は慎重に検討し・・・」ええ!違うじゃん。何度読み返しても違う。仕方なく関係先に頭を下げて訂正の連絡をしたのですが、最初のメールは何だったのか。何が起こったのか。
検討した結果間違ってつながったようだとの結論になりました。以前手の外科医をやっている時に切断した神経を縫ってつなぐことがあったのですが、神経を正確に縫合して元通りにしたようでも感覚を伝えるすごく細い神経は間違えてつながること、例えばJR線が東武線につながるようなことが起こります。やがて慣れて困らなくはなるのですが、触った感覚が違うのでしばらくは「何が違う」と不便を感じるようです。
今回振り返ると目が疲れていて正確にメールの文章を読み取れていませんでした。読めなかったところを、暑さでぼっとしていた脳が適当にうめてしまった。もともと問題が解決すればいいのになと思っていたからでしょうが、勝手の都合の良い文章を作ってそれを事実のように記憶したようです。
オレオレ詐欺とか電話でお金詐欺の話を聞きますが、騙される一つの原因に聞こえにくさから情報を自分で都合良いように間違えて記憶することがあるのかもしれません。子がトラブルで困っているのは都合は悪いことですが、本人にすれば滅多に連絡してこない子供が連絡してくれたことから、つながりやすいところにつながって騙されるのかもしれません。
歳をとると若い時には想像もできなかったことが、面白いように起こります。子供の頃におじいちゃん、おばあちゃんが何か変なことやっているなと思っていたことがありました。自分がそうなるまでは理解できませんでしたが、今になってみれば納得できます。人間は間違える、特に歳をとると間違えることが多い。私も歳をとりましたので、間違えることが多くなります。間違いが起きないように、間違えても間違いに気づいてすぐに訂正できるように、何事も慎重に物事を進めていきたいと考えています。外来で時間をいただくことになるかもしれませんが、その分丁寧に診療しているとお考えいただきご容赦お願いします。
No.69「鍼治療を頑張る」
先日、日本東洋医学会という漢方分野での最大の学会に参加しました。今回は鍼灸がテーマでとても勉強になりました。鍼治療というと、長い鍼を思い浮かべる人が多いと思いますが、私は主に真ん中にごく短い針というより金属の突起がある円皮針を貼り付けて治療しています。出血することもなく胸部に使用した時に気胸を起こさないなど安全です。しかし、患者さんには効果は今一つと考えられている方も多いのではないでしょうか。学会ではその円皮針を用いても十分に効果があることが発表されていて、私の方法で良いのだと勇気づけられました。動物実験で頭の毛を刈ったネズミに円皮針をてっぺんに貼って置くと攻撃性がなくなり他のネズミと仲良くしている現象が紹介されていました。
円皮針の問題はすぐに剥がれてしまうので効果が続かないということでしたが、一般向けに「パイオネックスゼロ」というほぼ同様のものがあり、患者さんが自分で買って貼ることが出来ることが今回わかりました。Amazonで調べると100枚3千円くらいでした。毎週針治療だけのために通院されている患者さんもおられますが、これは朗報だと思います。針を置くツボも変化することがあるので、効果が無くなったらその時だけ受診すればよいわけです。そのツボは何かということでも面白い研究が行われていて、神経の先端が集まっているところと考えられていたこともありますが、最新の研究では脂肪細胞と言われる特殊な細胞がツボに集まっていて、針を刺すとその刺激を受けた細胞から化学物質が放出されてそれが神経を刺激して効果があることがわかりました。医学生の時に「いいか、医者は一生勉強だ!」と言われましたが、何歳になっても学会に参加して勉強を続けなければなりません。
鍼治療は多くの患者さんの症状改善、健康回復のために有効です。私は整形外科中心に痛みのある疾患を治療することが多いのですが、うつ病、慢性呼吸器疾患、耳鳴り、冷え症、アトピー性皮膚炎、がんによる倦怠感などに効果があると報告されていました。これからも鍼治療の研鑽を積んで、いろいろな患者さんのお役に立てるように頑張りたいと思います。
円皮針の問題はすぐに剥がれてしまうので効果が続かないということでしたが、一般向けに「パイオネックスゼロ」というほぼ同様のものがあり、患者さんが自分で買って貼ることが出来ることが今回わかりました。Amazonで調べると100枚3千円くらいでした。毎週針治療だけのために通院されている患者さんもおられますが、これは朗報だと思います。針を置くツボも変化することがあるので、効果が無くなったらその時だけ受診すればよいわけです。そのツボは何かということでも面白い研究が行われていて、神経の先端が集まっているところと考えられていたこともありますが、最新の研究では脂肪細胞と言われる特殊な細胞がツボに集まっていて、針を刺すとその刺激を受けた細胞から化学物質が放出されてそれが神経を刺激して効果があることがわかりました。医学生の時に「いいか、医者は一生勉強だ!」と言われましたが、何歳になっても学会に参加して勉強を続けなければなりません。
鍼治療は多くの患者さんの症状改善、健康回復のために有効です。私は整形外科中心に痛みのある疾患を治療することが多いのですが、うつ病、慢性呼吸器疾患、耳鳴り、冷え症、アトピー性皮膚炎、がんによる倦怠感などに効果があると報告されていました。これからも鍼治療の研鑽を積んで、いろいろな患者さんのお役に立てるように頑張りたいと思います。