後藤の部屋

東洋医学編「便秘にはヨガが効く」

 ウクライナもガザも悲惨な状況が続いています。見たくも聞きたくもないという人も多いようですので1日も早く平和が訪れることを願いつつ、読者のみなさんの健康に役立つ情報を提供したいと思います。今回はヨガの効用についてです。

 便秘と鼻詰まりにはヨガが効くと言う話はよく聞きます。「気持ちよく便を出すことは人生最高の幸せである。」これは同級生で外科の教授になったH君の言葉ですが、便秘は苦しいものです。薬もありますが、次第に効かなくなることも多いので、運動を心がけたり水をたくさん摂るなどそれぞれ工夫されています。その工夫の一つにヨガを加えてはという話です。ヨガは大変でしょう、特に高齢者は身体が硬いし、と思われがちですが、ヨガのポーズの中でも特に便秘に効くポーズがあり、難しく無いので一度試してはいかがでしょうか。
 インド医学であるアーユルベーダは、理論が非常に高度で説明が難しいのですが、ものすごく端折って言うと、人間の体の中には風があって、その中でお腹の排泄をつかさどる風を強くすると便秘が改善するというものです。理屈はともかく自分で試して効果があったので体質が合う人には効果あると思います。効果がなかったら残念ですが、お金はかかりませんし、特に害もありません。
 便秘に効くのはヨガの月のポーズで、まっすぐ立った状態から両手を上げて掌を合わせバナナのように全体を横にカーブさせます。片方の体側を呼吸して伸ばす感じです。ポーズはそのようになりますが、少し捻ってみるのも良いようです。自分で効果があると思ったのは便が出にくいと思った時に便座に座っていて月のポーズを試してみようと思い立ち、いろいろ努力したらうまく出すことができました。狭いトイレの中でああでもない、こうでもないとやったので長く時間がかかり同居人にはご迷惑だったかも知れせんが、浣腸する手間を考えれば安いものです。何かの参考になれば幸いです。

 ヨガは長い歴史を持つ健康法ですし、インドでは120歳まで長生きできると考えられているので、高齢者の増える日本で役立てることがあるのではと思っています。





2024年03月06日

後藤先生の部屋老年医学編「老いと失敗」

 最近は電子書籍を購入する人が多くなりましたが、私は通勤中の空き時間に本屋さんで立ち読みして気に入った本を買っています。電子書籍では最初の数ページだけしかタダで読むことしかできません。本屋さんなら面白そうと思ったところをサラッと読んでみて、いいと思ったら買うことができます。
 先日畑村洋太郎先生の「老いの失敗学」という本を見つけました。巷に成功するためのハウツー本が溢れているのに失敗学とは逆を行っています。稀な成功を夢見るのも悪くはありませんが、よく起こる失敗を研究して日常に生かすことはまことに理に適っています。その失敗について研究していた畑村先生が高齢になリ「老いるということは失敗に似ている」という発見をして書かれたのがこの本です。
 どこが似ているかというとまず生きていく上でずっと成功し続けることはあり得ないので失敗は避けられない。同じく生きていけば老いることも避けられない、つまり両者とも避けて通れないことです。そして失敗に良い失敗と悪い失敗があるように老いにも良い老いと悪い老いがあると提唱されています。良い失敗とは「人が成長する上で必ず経験しなければならない失敗」です。例えば子供が歩き出して転んでは泣いて立ち上がりまた歩き出しそして転ばずに歩けるようになる、これは歩く上で必ず経験しなければならない良い失敗です。怠慢や不注意などが原因の失敗はするだけ無駄なので悪い失敗とされています。良い失敗を重ねて成長し、悪い失敗は避けるべし、そのとおりだと思います。

 老いについて良い老いとされるのは失敗することで豊かで充実した人生につながるものとされています。そんなものがあるのかとも思いましたが、以前私が神社の横で靴の底がすり減っているのに気がつかずに滑って転んで手を怪我したことがありました(2023年7月)。この時に走ってきた車に轢かれて死んでいたら良い失敗にはならなかったでしょうが、神様のご加護か幸い軽傷ですみました。そして安全に歩くには靴が大事だということに気づかされ用心深く行動するようになって将来起こるかもしれない大事故を防ぐことができたとすれば、それは老いがもたらした良い失敗であったと思います。
 以前は片足で立つのは全く問題なかったのですが、歳をとると力も弱くなりバランスも悪くなって片足で立つのは不安定になってきました。くよくよしても無駄ですので、どうすれば片足で立っていられるか、足のどこに力を入れればよいか、姿勢どうすればよいか、若い頃にはなかった課題を与えてもらったと思って楽しみながらいろいろ試しています。これは良い老いだと思います。悪い老いにはいわゆる老害というものがありますが、老害の場合は本人は自覚していないことが多いように思います。
 なるほどと思ったのは、悪い老いは老いた本人だけが原因ではなく、その人の周りの人が老いた人を理解していないことが原因となることがあるということです。老いとは人間の身体、精神、環境など全てが変わっていく過程ですので、本人はもちろん周りの人もその変化に上手に順応することが老いを失敗としないカギだと思います。



2024年02月17日

現代医学編「レントゲンは大丈夫」

 今年は暖冬の予報が出ていたと思いましたが、寒い。外出が出来ずに脚が弱ったという患者さんも居られます。環境に合わせて工夫して筋力が落ちないように身体を鍛えましょう。お家で簡単にできるのは片足で立つことです。相撲で盛り上がっていますが、四股を踏むのもよいでしょう。左右の脚を前後に広げてスクワットするのもおすすめです。不安定でグラグラするなら何かに手をついてバランスを取りましょう。座りっぱなしや寝転がっては脚は弱ります。頑張って鍛えているうちに春は来流でしょう。

 外来で患者さんに「それではレントゲンを撮って見ましょう。」と言ったところ「大丈夫ですか?」との質問がありました。「大丈夫ですよ。」と答えると「本当ですか。」と更に質問。「宇宙からも放射線は来ていますし。でも全部説明するには時間がないので。嫌なら撮影しませんが」 時々レントゲン撮っても大丈夫?との質問を受けます。

 放射線の安全性についてはネット上に多くの情報がありますが、不安を感じる方も多いと思います。放射線検査は科学的に絶対安全と言えないので不要な検査は避けなければなりませんし、妊婦さんはもちろん将来子供を持つ若い人には、できるだけ控えるようにしています。

 そもそも大丈夫とは何のことなのでしょうか。漢字で大丈夫とはもともと立派な男ということから安心していられる危なげないという意味になったようです。放射線の安全性については医学生の頃から疑問に思っていて放射線診断学の権威の先生が講義に来られた時に「放射線検査は安全でしょうか?」と質問したことがあります。その先生はニヤリとして「診断がつかずにあちこちの医者にかかっていろいろ検査をするのは患者にとって安全かな?正しい検査をやって正しい診断をつけるのが一番じゃないかな。」と言っていました。その通りだと思いました。レントゲン検査は科学的に絶対安全と言い切るのは難しいのですが、必要であればやらねばならないと考えて「大丈夫です」と説明しています。





2024年01月22日
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