腰部脊柱管狭窄症

治療について

 まず保存的治療をおこないます。
 保存的治療として骨盤牽引や温熱、マッサージによる理学療法で脊柱管の一時的な開大効果を期待します。
 内服薬治療として圧迫されている神経の血流を促進する薬、ビタミンB12等を用います。痛みがひどい時は、痛み止めを内服します。
 コルセットを着けると症状が軽減する場合もあります。症状が悪化して理学療法や薬で効かない時は、硬膜外ブロックを行います。これは脊柱管内に、注射にて薬剤を注入する方法です。ブロック注射は患部に直接針を刺しますので、刺し方によってはかえって足がしびれたり痛くなったり、頭痛が出る場合もあります。専門的にブロックを行っているところでよく相談し、納得した上で実施されることをお勧めします。
 これらの治療をやっても次第に歩けなくなり、日常生活に支障をきたす場合は手術を検討します。

手術について

 手術は狭い部分の背骨と肥厚した靭帯を削り、拡大する術式が一般的です。背骨の不安定性や、すべり症を併発している場合は固定術を併用することがあります。脊柱管を拡げるだけの手術では、術後2週間前後で退院可能です。固定術を併用すると通常1~3ヶ月入院します。手術の合併症としては、術後創感染、静脈血栓症、神経損傷による下肢麻痺等がありますが、頻度は多くありません。

 長期間足のしびれや麻痺を放置しておくと、手術しても症状が良くならないことがあります。適切な時期に適切な手術をすると、高齢者でも快適な生活を営むことが可能となります。この病気は命にかかわる悪性の病気ではありませんので、手術するかどうかは、手術を受けた場合のメリットとその危険性を、比較検討して決めることが肝要です。あくまでも本人が納得した場合に手術すべきです。よくかかりつけ医と相談し、判断してください。